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この記事は、本編【MM2H体験】の関連記事です。馬国の「おすすめ情報」まとめ記事はこちらです。
このブログでも何度も詐欺被害のオンライン報道を紹介してきました。
ひとくちにオンライン詐欺といっても、その種類は多岐に渡り、被害者の資産を騙し取る手口はどんどん巧妙になってきています。
最近は、学校の教師や、企業のビジネスマンなど、教養豊かな市民が騙されている事例が出ていますから、MM2Hや仕事で長期滞在する我々日本人も油断は禁物です。
事態を重く見た馬国政府機関は、2024年の6月17日に国内大手の新聞報道を通して、現在の政府機関の取り組みと協力依頼を発表しました。
この記事では、News Straits Times の記事と、Star Online の記事から、関係当局や消費者団体の発表を要約してご紹介します。
この記事を読んでおく利点として、マレーシア国内で使用されている詐欺関連の専門用語(特に英語表現)と、その意味に慣れておくことができます。
被害に遭った際の相談先のホットライン情報も下記の通り紹介されていましたので、参考としてください。
詐欺の被害者は、それぞれの銀行が設置した専用ホットライン(24時間対応)に連絡するか、NSRC(ダイアル 997)に連絡することができます。NSRCは毎日午前8時から午後8時まで、祝日も対応しています。
NSRC : National Scam Response Centre
詐欺被害の現状報告と防衛手段
New Straits Times のオンライン報道から要約してお伝えします。
円換算は筆者の計算です。一律¥30/RM としました。
Fear is scammers’ best weapon (詐欺師が「恐怖」を武器に暗躍)
June 17, 2024 @ 1:03am new straits times
詐欺被害の統計情報
国家詐欺対応センター(National Scam Response Centre, NSRC)に報告された被害額は合計で13億4000万RM(402億円)。被害者は殆ど全員、損失額を取り戻せていない。
このうち被害の大きい詐欺の手口 Top 3 (2021年1月〜2023年8月)は
- 「電子商取引詐欺」e-commerce scams (26,663件、833件/月)
- 「ローン詐欺」loan scams(10,759件、336件/月)
- 「投資詐欺」investment scams(その他を含めて 9,640件、301件/月」)
投資詐欺では、2022年の2億900万RMから2023年には4億3700万RM(131億円)へ、被害額が2倍以上に増加
2021〜2023年にかけて発生した詐欺被害(27億RM)の内、高齢者被害は20%(馬国警察の数字)
進化する詐欺の手口
最も多い手口は被害者の感情操作
警察、マレーシア汚職防止委員会(MACC)、税関、または内国歳入庁の職員を装い、人々を騙しで金を奪う手口
詐欺師は、被害者に対して逮捕される可能性や、すぐに投資すれば高いリターンが得られる等、緊急性を伴う境遇や場面を演出している
詐欺師がデジタル通信の内容にマルウェアを仕込むケースも報告されている
既に投資した金額を取り戻す目的で、さらにお金を投入させるのが「サンクコスト」戦略 (sunk-cost strategy)
政府の生活保護的な公的制度を騙って、受益者に接触して詐欺を行うこともあります。(government aid schemes)
他に、マカオ詐欺、就職詐欺、恋愛詐欺 (Macau scams, job scams and love scams)
自己防衛の基礎知識
詐欺がますます高度化する中、最良の防御策は自己防衛。 詐欺から自分を守るためのヒントを列挙する:
- 電話、メール、またはメッセージで個人情報、特に銀行のデータを求められた場合、すぐに応答を停止する
- 詐欺師は「逮捕される」、「マネーロンダリング防止法に基づいて起訴される」、「犯罪を犯した」、「誰かがあなたのアカウントやクレジットカードを使用した」などと脅すことがよくある。こういった会話に惑わされない
- 銀行の職員を装った者からの依頼で別のアカウントにお金を移動させるように指示された場合、絶対に従わない(銀行がそのような要求をすることは無い)
- あまりにも有利なリターンを約束された場合、それはおそらく詐欺と考える
- 詐欺や疑わしい活動に遭遇した場合は、国家詐欺対応センターや警察などの当局に報告
消費者協会連盟について
マレーシア消費者協会連盟(Fomca)は当局に対し、特に脆弱な消費者に対する詐欺教育の強化を呼びかけている。個々の行動が他の人々が被害に遭うのを防ぐという考え方。
FOMCAは、全国規模の非政府組織であり、任意の、非営利の、非政治的で、市民志向の団体。マレーシアにおける13の消費者協会の統括機関。
マレーシアの消費者協会の活動を連携させ、消費者保護を強化するために国内および国際レベルで協力している。
政府機関の取り組み
The Star のオンライン報道から要約してお伝えします。
Plans to fortify anti-scam centre (詐欺対応センター要塞化計画)
By ZAKIAH KOYA Monday, 17 Jun 2024 The Star online
Jangan Kena Scam は「騙されないで」を意味する標語
国家詐欺対策センター(NSRC)
副局長のカマル・バハリン・オマール氏の公表内容から ( National Scam Response Centre (NSRC) deputy director Kamal Baharin Omar)
詐欺対策の4大な公的機関とは?
- マレーシア王立警察 (the Royal Malaysia Police)
- マレーシア中央銀行 (Bank Negara Malaysia)
- マレーシア通信・MM委員会 (Malaysian Communications and Multimedia Commission)
- 国家金融犯罪対策センター (National Anti-Financial Crime Centre)
2022年10月に設立されたNSRCは、オンライン金融詐欺に対する迅速な対応のため、各機関間の調整を簡素化する目的を持つ。
現時点では、NSRCと主要な4機関は金融機関や通信会社と連携し、オンライン金融詐欺と戦うために連携行動を調整し、収集されたデータを分析して次の対応に活かしている。
NSRCは、全てのオンライン詐欺対策業務に対するワンストップセンターとしての役割を完全に果たせることを目指している。
NSRCの主な役割
- 997ホットラインを通じて受け取った苦情に対して、関連機関を動かし、関係当局全体が迅速に対応を開始する体制を維持すること
- 資金の流れを追跡して、銀行システム内の残存資金を凍結することです。(捜査が完了した時点で被害者に盗まれた資金が返還される可能性を高める)
- 警察当局のCCIDが提供しているアプリに載せることや、個人や企業の番号をブラックリストに登録し、使用を禁止する (CCID: Criminal Investigation Department)
このような取り組みは、全ての関係者およびメディアの協力を得て、一般市民の間で詐欺対策意識を促進することと並行して行われる
標語:「予防は治療よりも確実に効果的」
“Prevention is definitely more effective than cure,”
現在、詐欺の被害者は、それぞれの銀行が設置した専用ホットライン(24時間対応)に連絡するか、NSRC(997)に連絡することができる。NSRCは毎日午前8時から午後8時まで、祝日も対応している。
原文:Currently, victims of scams can contact the dedicated hotlines set up by their respective banks (available 24/7) or contact the NSRC at 997, which operates from 8am to 8pm daily including on public holidays.
マレーシア中央銀行
マレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia) は、NSRC強化の一環として、銀行などの金融機関に「より強力な詐欺調査」を行うよう求めている
同銀行は、NSRCの詐欺摘発プロセス、詐欺検出能力、資金追跡能力を強化するために、今年中に「国家詐欺ポータル(NFP)」を運用する予定。(National Fraud Portal (NFP))
「マレーシア中央銀行は最近、金融機関のリアルタイムでの不審取引検出能力を向上させるための詐欺検出基準を発行した」
「デジタル安全法」の制定により、SNS等、オンライン・チャネルでのフェイク・メッセージの拡散を迅速に止めることができるようになる。(Digital Safety Bill)
原文:The central bank also said the enactment of the Digital Safety Bill will enable rapid response to stop the spread of fake messages in online channels.
「マカオ詐欺、偽装求人広告、不正な投資などの詐欺を助長するソーシャルメディアプラットフォームの悪用を抑えるために非常に重要です。」
原文:“This is critical to curb the misuse of social media platforms that abet impersonation scams such as the Macau Scam, fake job advertisements or illegitimate investments.”
同銀行は、マレーシア王立警察およびマレーシアサイバーセキュリティとともに、銀行業界との教育および広報プログラムを継続し、マレーシア市民に良好なサイバー衛生習慣を推奨する
標語「より分別のある顧客が最良の防衛線となります」“More discerning customers remain the best line of defense,”
参照 これまでの報道事例
このブログ「ガチで起業してマレーシア在住」ではこれまでに、5種類の詐欺事例(実例)を紹介してきました。自己防衛の予備知識として一読をおすすめします。
参考 マカオ詐欺とは?
犯罪者が法的権威のある組織、宝くじの管理組織、身代金を要求する誘拐犯、または銀行の権威を装い、人々を騙してお金を支払わせる詐欺。
(Malaysia) A scam where criminals impersonate a legal authority, a lottery, a kidnapper demanding a ransom, or a bank authority, to trick people into paying them money.
最後まで参照いただき、ありがとうございます。
こちらもお時間があれば、どうぞ・・・