【MM2H体験】おすすめ(予備群)馬国「新幹線」

MM2H

この記事は、本編【MM2H体験】の詳細記事です。「おすすめ」のまとめ記事はこちらです。

クアラルンプール(KL)からシンガポールのジュロン地区まで、イミグレーションの手続きを含めて1時間で移動可能?

本当にそうなるなら、確かに便利ですし、利用しようというモチベーションが湧いてきます。

from wikipedia “KL-Singapore High Speed Rail (HSR) Project ” このマップはあくまで計画です。また停車駅は未確定です。

日本からマレーシアに入国する場合でも、急な渡航でKLへの直行便が取れない場合に、一旦シンガポールに入ってそこから新幹線でKLに移動することも考えられます。(乗り継ぎ時間にもよりますが)

このKLとシンガポール間の新幹線の計画には、マラッカなどの主要都市に立ち寄るダイヤも設計するようですから、馬国の国内移動の場合も便利です。

マレー半島に日本の新幹線が走ると便利になることは確かです。 写真は wikipedia に掲載されているもの。

今回紹介するKLから南方向への新幹線は、2018年に失脚したナジブ首相の時期に発足したプロジェクトで、過去に一度挫折しています。とにかく2兆円規模の予算ですから、政府としても簡単には発注できないわけです。文字通りの「メガ・プロジェクト」です。

中国の「一帯一路」政策に暗雲が立ち込めているようですが、少なくとも表面上は、この馬国新幹線は中国の紐付きローンではないようです。政府が、民間企業にファイナンスを託した時点で日本の企業体は撤退を決めました。

筆者は、この手のメガ案件は専門です。2兆円規模の案件を無名の民間企業が請け負うという話は、通常は「論外」ですので、日本企業の撤退は当然です。

問題は、予算を持つといっている民間企業の背後に何らかの制度金融の支援がついているかどうか?ということになります。

そのあたりは、現在の報道内容からは全く見えません。今後の成り行きに注目していきます。

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【報道】高速鉄道:日本企業撤退で中国勢有利に

1月12日の全国紙 malaymail のオンライン記事です。

日本企業の撤退を報じる malaymail 紙。 「撤退」が記事になるのは日本ならではです。

マレーシアの首都クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道(HSR)プロジェクトについて、JRを含む日本企業の参加は見送られる方向であることが明らかになった。

(入札の前段階として応札予定グループへの問い合わである)情報提供要請(RFI)への回答提出の締め切りを来週に控え、日本のメディア(共同通信)が報じた。

当初、東海道新幹線システムを活用して350キロメートルの鉄道プロジェクトに参画する意向だった日本企業グループだったが、断念したという。政府と企業からの情報筋によると、マレーシア政府からの財政支援なしではリスクが大きすぎることを撤退理由としている。

クアラルンプール・シンガポール間の高速鉄道(HSR)は約1,000億RM(約2兆6,600億円)の費用がかかる見込みだが、マレーシア政府は政府支出や債務保証ではなく民間資金による推進を掲げている。

今回の報道によると、日本企業の撤退により、中国の鉄道関連企業がプロジェクトを受注する可能性が高まった。2023年にインドネシアで高速鉄道を完成させ、現在タイでも建設中である中国のインフラ整備能力の高まりが背景にある。

一方、共同通信は日本企業の撤退を受け、マレーシアの複数の地元企業が中国や欧州の企業と共同で入札を検討しているとしている。

昨年7月に開始された高速鉄道プロジェクトのRFIは来週締め切りを迎える。その後、マレーシア政府は数カ月以内に候補企業を絞り込み、早ければ今年後半にシンガポール政府との本格的な交渉を開始する見通しだ。

マレーシア政府は昨年3月、350キロメートルの高速鉄道(HSR)については政府資金を利用しないものの、プロジェクトの再開に前向きな姿勢を示した。同7月には、MyHSR Corporation Sdn Bhdによる民間資金によるプロジェクト実施が報じられた。

さらに昨年12月、次期国王に就くジョホール州のスルタン・イブラヒム・イスカンダル氏は、中国系の利用者を意識したジョホール州の大型高級開発プロジェクト「Forest City」を通過するよう路線を再調整してHSRプロジェクトを再開するよう求めた。

マレーシアとシンガポールは2016年にHSRプロジェクトに関する協定を締結。時速300キロメートル以上の列車を運行し、クアラルンプールとシンガポール間の移動時間を90分以内に短縮することを目指している。

2026年の完成を予定し、主に以下の3つのサービスを提供する計画だった。

  • マレーシアとシンガポールの直通便(90分以内)
  • マレーシア国内列車
  • ジョホール州イスカンダル・プテリからシンガポールへのシャトル便

プロジェクトは2018年9月に当時のマハティール政権で一時中断されたものの、コスト調整を経て3カ月後に再開された。その後、2020年12月31日の協定期限までにマレーシアが提案した変更事項について両国が合意に至らず、2021年1月1日に協定は破棄された。マレーシアは開発コストとしてシンガポールに1億280万シンガポールドル(約3億2,000万RM)を補償した経緯がある。

malaymail Jan.12, 2024

高速鉄道(HSR)の来歴

紆余曲折がありました。」wikipedia と新聞報道の内容からまとめます

当初の計画と挫折

クアラルンプール – シンガポール HSR は、マレーシアのクアラルンプールとシンガポールを高速鉄道で結ぶ計画。2010 年 9 月に当時のマレーシア首相ナジブ・ラザク氏によって提案され、2013 年 2 月にシンガポール首相リー・シェンロン氏も正式に共同プロジェクトに合意した。この合意では、2026 年の完成を目指していた。

マレーシア政府が計画しているHSRの停車駅の計画。 wikipedia による

2018 年のマレーシア総選挙でナジブ・ラザク氏が敗北、後継のマハティール首相がプロジェクトの中止を発表したが、後日(2018 年 6 月)、本件は「コスト高」を理由に延期するだけであると明言。同年 9 月 に 2031 年 1 月の HSR 運営開始を目標とする計画が発表された。

2020 年の政治危機の後、マハティール首相が退陣して、ムヒドディン・ヤシン氏が首相に就任。プロジェクトの見直しのため延期要請があり、シンガポールは 2020 年末までの期限に同意した。しかし、両政府はプロジェクト継続の合意に至らず、2021 年 1 月 1 日に共同声明で中止を発表している。

プロジェクトの再開

2016年になって、マレーシアとシンガポールはHSRプロジェクトに関する新たな協定を締結。時速300キロメートル以上の列車を運行し、クアラルンプールとシンガポール間の移動時間を90分以内に短縮するとした。

HSR は全長 350 km で、クアラルンプールとシンガポールの所要時間を 90 分に短縮すると見込まれている。クアラルンプールのバンダーマレーシアから始まり、西マレーシアの西海岸沿いにマラッカやセレンバンなどの都市を経由してシンガポールのジュロンイーストに到達する。

建設コストとスケジュール

当初の計画では、建設費は、ナジブ首相のバリサン・ナショナル政権によって 720 億RM (約 174 億米ドル) と見積もられていたが、マハティール政権が2018 年にこれを見直し、隠れたコストを考慮して 1,100 億RM (約 266 億米ドル) とした。専門家やこれまでの報道による推定額は、400 億RM(約 97 億米ドル) 程度とされていた。

2024年1月の malaymail の報道では、建設コストは約1,000億RM(約2兆6,600億円)としている。

マレーシア政府による 2021 年の計画中止以前のスケジュールは2024 年 – 2026 年を 試験運転から正式な運行開始時期としいた。

参考  中国新幹線

中国は、近年、海外での高速鉄道建設に積極的に取り組んでいます。2023年8月時点で、中国国外の高速鉄道の総延長は4,700キロメートルを超えており、そのうち、中国企業が設計・建設を担った路線は3,600キロメートルを超えています。

中国による海外での高速鉄道建設の代表的な実績としては、以下のようなものが挙げられます。

  • トルコ:イスタンブール・アンカラ高速鉄道(2019年開業)
  • タイ:バンコク・スワンナプーム空港高速鉄道(2023年開業)
  • インドネシア:ジャカルタ・バンドン高速鉄道(2023年開業)
  • パキスタン:ラホール・イスラマバード高速鉄道(2020年開業)
  • ネパール:カトマンズ・ギャトケー高速鉄道(建設中)

これらの路線は、いずれも時速250キロメートル以上の最高速度で運行されており、中国の高速鉄道技術の高さを世界に示しています。

中国製 CRH380 モデル。  出典は wikipedia “high speed rail”

完成後の不祥事や事故としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 2020年11月:パキスタンのラホール・イスラマバード高速鉄道で、脱線事故が発生。
  • 2022年7月:インドネシアのジャカルタ・バンドン高速鉄道で、線路の亀裂が発見される。

これらの問題や事故は、中国による海外での高速鉄道建設の課題を浮き彫りにしています。今後、中国は、これらの課題を克服しながら、海外での高速鉄道建設を拡大していくことが予想されます。

中国が建設した高速鉄道で時速300kmを越えるスピードを記録した事例は、以下のとおりです。

  • 2017年12月26日:中国の上海市と北京市を結ぶ京滬高速鉄道で、CRH380A型列車が時速350kmの営業運転を開始。 
  • 2019年10月1日:中国の北京市と天津市を結ぶ京津城際鉄道で、CR400AF型列車が時速350kmの営業運転を開始。
  • 2020年12月28日:中国の西安市と鄭州市を結ぶ鄭西客運専線で、CR400AF型列車が時速350kmの営業運転を開始。
中国製のCR400AFモデル。この車両はインドネシアで運行しているもの。 出典は wikipedia “high speed rail”

また、中国国内の高速鉄道では、時速350km以上の試験運転も行われており、2023年8月現在、時速400kmの試験運転を実施している路線もあります。

参考  RFI

情報提供依頼書(request for information, RFIとは、各種事業への参画能力についての情報を収集するための文書(事務手続)である。その書面には、事後の比較・検討を容易にするため、提出時に使用する定型文書が添付されるのが通例である。

情報提供依頼書は、主として、事業を次のステップに進めるための情報収集が必要な場合に用いられる。このため、事業の最終段階に用いられることは少なく、提案依頼書(request for proposal, RFP)、入札依頼書(request for tender, RFT)または見積依頼書(request for quotation, RFQ)とともに発出されることが多い。また、単に情報を収集するためだけではなく、事業を行う可能性のある企業に対し、その事業を行う契機を与え、戦略を策定させ、データベースを構築させて、提案依頼書、入札依頼書および見積依頼書に対応する準備を促進するために発出される場合も多い。

出典:Wikipedia “情報提供依頼書”

最後まで参照いただき、ありがとうございます。

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