この記事は、本編【MM2H体験】の詳細記事です。「おすすめ」のまとめ記事はこちらです。
グヌン・ムル国立公園は、2000年にユネスコの世界遺産に登録されました。
52,864ヘクタール(528.64 km2)の面積を有するこの公園は、世界的に注目されている熱帯カルスト地帯。3つの山で構成されています。公園内の地形は、険しい山頂、急な尾根と断崖、絶壁、渓谷、カルスト塔、洞窟と段丘、温泉、氾濫原、滝で構成されています。
そして、注目すべきはギネスブック級の洞窟群です。
ネットに旅行案内の記事が沢山あります。そこで、観光情報は割愛して、壮大な洞窟の情報に特化します。
この記事では、日本のツーリスト・メディアであまり注目されていない、洞窟探査の歴史と沿革を紹介します。これらの洞窟のうち、観光地として公開されているのは、まだ一部であり、今後も新たな洞窟が発見・探査され続けるようですので、注目です。
2022年以降の探検・探査情報としては、以下のようなものがあります。
- 2022年12月、イギリスの探検隊がウィットロック洞窟で新たな通路を発見しました。この通路は、クリアウォーター洞窟システムに新たに10kmを追加するものです。
- 2023年2月、アメリカの探検隊がディア洞窟で新たな通路を発見しました。この通路は、ディア洞窟の長さをさらに1.5km延長するものです。
- 2023年5月、イギリスの探検隊がサラワクチャンバーで新たな鍾乳石群を発見しました。この鍾乳石群は、直径が1mを超える巨大なものも含まれています。
ということで、今回は、おすすめ記事というより、「おすすめ情報」です。
この記事の写真は全て、Wikipediaの Gunung Mulu の解説から、ライセンスに準拠したうえで、フルサイズで転載させていただきました。
世界有数の洞窟群
ムル洞窟群は、ボルネオ島サラワク州にある世界最大の洞窟群。1858年にイギリス総領事のスペンサー・セント・ジョンが著書の中で言及したことが、ムル洞窟群に関する最初の記録。1960年代から総延長295kmにおよぶ洞窟探査が進んでいます。
世界最大の地下空間の一つであるサラワクチャンバー(Sarawak Chamber)、世界最大の洞窟通路であるディア洞窟(Deer Cave)、東南アジア最長の洞窟系であるクリアウォーター洞窟(Clearwater Cave)の3つの注目すべき洞窟があります。
サラワクチャンバー(Sarawak Chamber)は、長さ600m、幅415m、高さ80m以上で、容積は12,000,000m3、天井の大きさ(支柱のないスパン長)は300mです。ディア洞窟(Deer Cave)は直径120m〜150mです。
この地域にある他の洞窟には、グア・ナシブ・バグス (Guna Nasib Bagus)、ベナラット洞窟 (Benarat Cavern)、風の洞窟 (Cave of the Winds)があります。
探査の歴史
1961年に、イギリス・ボルネオ地質調査所のG.E.ウィルフォードがムル洞窟群を訪れ、ディア洞窟と風の洞窟を調査しました。彼はまた、将来、さらに多くの洞窟が発見されるだろうと予測していました。
1974年に、ムル山とその周辺地域はサラワク州政府によって国立公園に指定されました。
1978年には、英国王立地理学会がムル国立公園への科学探検隊を組織。これは、英国から派遣された史上最大規模の探検隊。探検は15ヶ月間続き、その間に小グループがクリアウォーター洞窟、グリーン洞窟、ワンダー洞窟、プレディクション洞窟など、50kmの洞窟を探索・調査しました。
当時、ムルには空港も伐採用の道路もありませんでした。ベースキャンプはロング・パラに設置され、ミリンから川を遡って3日間の旅でした。こうして、アピ山の西側斜面の洞窟の探索が始まりました。
1980年12月、別のイギリスの探検隊が4ヶ月間ムル洞窟群に派遣されました。この探検隊では、グア・ナシブ・バグスにあるサラワクチャンバーが発見されました。1984年に、グヌン・ムルはASEAN遺産公園に指定され、1985年には、公園が一般に公開されました。
1988年のイギリスの探検隊は、クリアウォーター洞窟と風の洞窟を結ぶ通路を発見。
クリアウォーター洞窟は58km(36マイル)に延長され、東南アジアで最長の洞窟通路であると評価されています。また、この探検ではブラックロック洞窟も発見されました。
1991年には、ブラックロック洞窟とクリアウォーター洞窟を結ぶ通路が発見され、クリアウォーター洞窟の通路は102km(63マイル)に延長、世界で7番目に長い洞窟通路となりました。
1995年から2000年にかけて、アメリカ合衆国洞窟探検協会の探検隊がグヌン・ブダ(ブダ山)を調査しました。この探検で、デリバランス洞窟が発見されました。
2000年以降、イギリスの探検隊はベナラット山の周りの洞窟の探索に重点を移してきました。その結果、2003年にウィットロック洞窟(アピ山)が発見されました。2005年には、ウィットロック洞窟がクリアウォーター洞窟系に接続され、さらにシステムを129.4kmに延長しました。また、同じ探検隊の間にアピチャンバー(Api Chamber) が発見されました。
その後、ウィットロック洞窟でさらに隠れた通路を発見することに焦点を当てて探索が行われました。
2017年には、ウィットロック洞窟は100km、クリアウォーター洞窟(Clearwater Cave)は226.3kmと測定されました。
2018年10月現在、クリアウォーター洞窟は227.2kmの探査通路を確保しています。
(出典:Wikipedia English version)
地質学的情報
洞窟の形成は、200万年から500万年前にカルストが隆起した結果生じたものです。
これらの洞窟は、熱帯河川洞窟の特徴を備えており、異なる階層の洞窟を結ぶ楕円形のチューブや、アラゴナイトや方解石の針状の鍾乳石など、さまざまな特徴が見られます。
石灰岩は非常に白いか灰色をしています。アピ山の尖塔は、石灰岩が極度に風化した結果生じたものです。国立公園内の土壌は、泥炭質ポドゾルから赤黄ポドゾル、黒色有機質土壌までさまざまです。
グヌン・ムルの写真
写真投稿サイトの flickr にアクセスして、検索窓に Gunung mulu cave と打ち込んでください。プロ・アマチュアのすばらしい写真が沢山アップされています。
検索サイトのイメージ検索でも充分参照可能です。
(残念ながらこれらの写真は all rights reserved のため、この記事では紹介できません。)
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
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