改正に期待がかかるMM2H:担当大臣に試練

MM2H

私たちMM2Hファンが期待して止まない、非富裕層向けのMM2H条件改正の担当大臣であるチョン・キシン大臣は、筆者から見ると、とても正義感が強く、また意志の強い政治家です。

今回の記事から、大臣の氏名は、中国語名の「張慶信」とさせていただきます。その方が我々日本人には伝わりやすい。

その張大臣ですが、昨年から、あれこれと厳しい試練に耐えているようです。

つい先月も、暫定的に発表された「プラチナム、ゴールド、シルバー」の新型MM2H申請基準について、野党議員から「中国富裕層優遇」といった牽制的な意見に晒され、厳しく反発したことが報道ネタになっていました。そして、年が明けると同時に、新たな「不道徳」疑惑がSNSに浮上しました。

これは、しかし、日本の松本人志さんほどの重大問題ではなく、単に自分のオフィスで「酒と豚肉を摂った」というだけの話。

それでも、イスラムの国である、馬国では非難の対象になるわけですから、多彩な文化が同居する馬国の大臣と言うのは大変な仕事です。

正義感と信念を貫いている張大臣に、ぜひMM2Hの条件改定を我々一般ユーザーのために完成させて欲しいものです。

今回は、正月の記事と合わせて、2023年6月に報道された、国際空港での入国管理区域への乱入騒ぎについても紹介します。

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1月6日の報道(「アルコールと豚肉」騒動)

観光・芸術・文化大臣が「飲酒・豚肉」の噂を否定

出典 Free Malaysia Today (FMT)  January 6, 2024

Free Malaysia Today on line が報じている「アルコールと豚肉」騒動 張大臣は2023年に引き続き国内メデイアに登場する回数が多いようです。

ペタリンジャヤ発:マレーシアの観光・芸術・文化大臣張慶信氏は、WhatsApp上の「オフィスで飲酒・豚肉を食べている」との匿名情報に対し、2週間以内の実名の開示を要求した。

大臣は声明の中で、告発者が「より品位ある公正な手段」で問題を話し合う意思がない場合は、法的措置も検討すると付け加えている。

また、大臣は告発者に対し、「事実ならなぜ名乗り出ないのか? 何らか後ろめたいことがあるのか?」と問いかけている。

通常は根拠のない告発は無視しているものの、今回の中傷メッセージは人種差別的な内容を含み、明らかに人種差別をあおろうとしているため無視できないというもの。

告発者は、「保健省の高官である」と称し、張氏が豚肉料理とアルコールを消費した残飯を片付けるようムスリムのスタッフに命令しているのを見たとしているが、張氏はこれを否定。

声明の中で、「笑われるのを覚悟で言うが、現時点で我々のオフィスは清掃員を派遣していただくレベルにはない。食器はたいてい使った本人が洗っている。来客が使った食器も自分たちで洗っている」とした。

張氏はまた、中国からの重要人物をもてなす際もプトラジャヤのホテルから食事を調達しており、全てハラル対応食だと述べている。

曰く、「自分たちだけで食事をする時も、客人をもてなす時も、ナシ・レマかナシ・ブリヤニ、そうでなければKFCになってしまうので、同じような食事ばかりで笑われることさえある」

張氏はオフィスに私蔵のアルコールを常備していることは否定したが、アルコール飲料が存在することは認めた。「海外から様々な背景や文化を持つゲストから頂く贈り物であり、礼儀として受け取っている」と述べ、外交上贈り物を拒否するのは無礼にあたることだと付け加え、アルコールは、他の外国要人との夕食やイベントで提供されるものだと説明した。

Free Malaysia Today, January 6, 2024

KLIA騒動と入国管理官汚職疑惑

馬国内報道に基づいて調べた事例です。末尾に出典をおきました。

2023年6月29日、オンラインニュースポータルが、ある大臣がクアラルンプール国際空港(KLIA)ターミナル1で騒動を引き起こしたと報じた。報道によると、同大臣は通行パスを提示せずにKLIAの制限区域に入り、中国からの観光客が入国拒否されたことの「救済」として、空港保安官や入国管理官を叱責する騒ぎを起こしたと言われている。拘束された外国人観光客に関わる、この大臣の同様の行動は、3度目とされている。

翌日、張慶信氏は騒動を引き起こした大臣が自分であることを認め、一部のKLIA職員の汚職を暴いたものだと行動を正当化した。張氏は、拘束された観光客の携帯電話が違法に没収され、入国には数千 RMの賄賂が要求されたと説明。

大臣は、中国広州の在マレーシア総領事から事件を知らされ、マレーシア反汚職委員会(MACC)の職員とともに午後3時にKLIAに赴き、調査を行ったとした。また、2024年まで有効な入館証を持っているとして、入国ホールへの不法侵入疑惑を否定し、輸送大臣もその事実を確認した。

張氏はまた、マレーシア国内務大臣に対し、入国管理局内の「汚職文化」を根絶するための行動を要求。

この事件は、張慶信氏の行動に対する世論を二分し、公務員連盟CUEPACS会長アドナン・マット氏は「国家安全プロトコルに違反し、公務員の業務を妨害した」として張氏の行動を非難、UMNO青年部も同様に張氏の行動を「不正行為 (misconduct) 」として非難、大臣解任を求めている。しかし、DAPサラワクや観光業界関係者など、その他の団体からは、大臣の行動に対する(汚職を暴いたものとして)称賛の声も上がっている。

この事件を受け、入国管理局、反汚職委員会 (MACC)、マレーシア警(PDRM)、運輸省による調査が行われている。

張大臣をKLIAに向かわせた旅客とはどんな人だったのだろうか?image photo by envato lements

調査は、2023年7月から8月にかけて行われ、調査の結果、張慶信大臣がKLIA職員に対して暴言を吐いたり、入国管理局の制限区域に不法に侵入したりした事実は確認されたが、しかし、KLIA職員が中国からの観光客に対して賄賂を要求したという張大臣の主張は、証拠不十分として認められていない。

そのため、張大臣は、入国管理局制限区域への不法侵入と、空港保安官や入国管理官に対する暴言の2つの罪で、罰金5,000RM(約14万円)を科せられた。

事件は、マレーシアの政治と社会に波紋を投げかけ、張大臣は、汚職を暴こうとした英雄として称賛される一方、国家安全プロトコルを無視し、公務員の業務を妨害したとして批判されている。

出典(ニュースメディア、日付、記事のタイトル)は以下のとおり

  • The Star
    • 2023年9月2日 Tiong fined RM5,000 for KLIA ‘gatecrashing’
  • Malaysiakini
    • 2023年9月2日 Tiong fined RM5,000 for KLIA ‘gatecrashing’, corruption claims dismissed
  • Free Malaysia Today
    • 2023年9月2日 Tiong fined RM5,000 for KLIA ‘gatecrashing’, corruption claims unproven

参考 張慶信大臣について(Wikipedia)

張慶信(チョン・キングシン、1961年9月3日生)は、マレーシアの政治家、ビジネスマン。2022年12月にアンワル首相のもと、連立政権の観光・芸術・文化大臣に就任。過去、2020年4月からヤシン首相、イスマイル・サブリ・ヤアクブ首相、アンワル首相の中国特別使節、1999年11月からビントゥル国会議員、2021年12月からサラワク州議会議員を歴任。2014年1月から2018年6月まで、ナジブ・ラザク首相、マハティール首相の東アジア特別使節も務めた。

Wikipedia (中国語版)に掲載されている張大臣

サラワク州政党連盟(GPS)の一部である進歩民主党(PDP = Progressive Democratic Party)のメンバー、2017年11月からはPDPの党首。

by wikipedia “Progressive Democratic Party”

以前は国民党(BN)連盟の一部であったが、2018年総選挙後のBN政権崩壊とその後の混乱の中で、PDPは他の3党と共にBNを離脱、新しいサラワクを拠点とする政治連合であるGPSを結成。

最後まで参照いただき、誠にありがとうございます。

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