ブミプトラとマレーシア 2023年の統計情報

馬国

筆者は1995年から2006年までの11年間の馬国での就業経験から、この国の会社との共同企業体との事業運用、ブミプトラ・マレーシアの従業員の雇用、そしてマレーシア国籍の会社での就業という3種類の協業を経験しました。

共同事業体(ジョイント・ベンチャー)は、日本の企業と馬国の企業が、対等の条件で利益を分配する事業展開です。筆者は日本企業側の社員、

その後、独立開業してからは、短期間ですが、個人企業から約20名の小規模な会社を運用しましたが、ここでは(特にブミプトラと呼ばれる人たちを中心に)多くの馬国人を直接雇用した事業を展開、一時は馬国の準大手企業と日本企業との共同企業体をサポートしました。

自営業を断念してからは、馬国で成功している華人商人が経営する中小企業に就業することになり、ここでは華人系従業員と少数のブミプトラやインド系社員と共に日本企業を顧客とする商業ビジネスに従事しました。

まったく正直な記憶・感想を述べさせてください。

このブミプトラと呼ばれる馬国の中枢にある人間社会は、マレーシアという立憲君主国を形成する全てに携わっています。その能力と特性は非常にバラエティーに富んでいて、すそ野が広いと言えます。

当然ながら上層部にいる人財は、極めて優秀で本物の国際感覚を持った人たちです。特に欧米の最高学府を卒業した人財は、欧米のトップクラスの経営者や要人と同等の仕事をバリバリ熟していました。

日本の企業文化においては、日本人同士の会話として、マレーシア国内で一緒に働くブミプトラ系マレーシア人を評して、比較的能力が劣後するような会話がよくありますが、こういった情報は、マレーシアでの滞在期間が短く、本質に触れたことが無い日本人の情報でしかありません。

そして、日本人が管理する企業は組織に配置されてくるマレーシア人は、ほぼ100%が、「見習い」的な立場の人たちです。特に有能な人財は日本人の管理下には派遣されてきません。

勿論、日本を馬鹿にしているのではないです。日本の組織に多くの若手と育成対象者を派遣することで、マレー人の経験と能力を高めようとしているわけです。

11月21日に、Syed Saddiq という現在30代の代議士を紹介する記事を置きましたが、この人も優秀なブミプトラの一人で、学生であった時期には東南アジアの英語の弁論競技である Debate の国際大会で連勝した実力者です。日本の学生はこういった弁論の分野では、殆ど注目されていません。そういう分野で最高位だった学生もいるのです。

20代で馬国の スポーツ・文化大臣を務めた Syed Saddiq

筆者自身の経験として、馬国政府の環境事業の下請けとして働いた際、馬国側の企業の幹部のひとりと仕事をしました。彼は40代前半のブミプトラでしたが、その英語力と交渉力は「最も有能な欧米人」と比較しても全く遜色のないものでした。

一方、「ブミプトラ」という人種の明確な定義は何かという話になると、この部分は、曖昧な場合が多いです。要望を見て「明らかに華人」「どう見てもインド系」でない場合、その人は自分を「ブミ」だと主張した場合、否定し難いものがあります。

また、馬国で暮らしていて、ある人と初対面で互いに自己紹介する際に、「私はブミだ」という人はいません。殆どの場合は、名前で判断するのが習慣のようです。ですからブミプトラ系の人がそうでない種族の名前を名乗ることはありません。

ブミプトラ人口は2000万人の規模です。その中身はかなり複雑な歴史があります。つまり「ルーツ」の難解であることがブミプトラ優先政策を解り難くしているように思えます。同じ人間としては華人もインド人も同じ人的価値なのですから、あまり権威主義にならないようにすべきだとは思います。

もうすこし歴史が積みあがると、馬国は良い意味で人種の混合国家であるアジア的「アメリカ」のような社会になっていくのではとも思います。公立のPrimary Schoolをマレー系と中華系に分けたままでは、まだ先が長いようにも思えます。

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ブミプトラとは何なのか?

マレーシアにおけるブミプトラという人種概念を提唱したのは、マレーシアの法律家であり第2代首相であったアブドゥル・ラザク・フセイン(1922-1976)。この概念は、マレーシア憲法、特に第153条で定められているマレー人の「特別な地位」を認めるものでした。しかし、憲法では「ブミプトラ」という用語は使われていません。定義されているのは「マレー人」と「先住民」(第160条第2項)、「サラワク州の「先住民」(第161A条第6項(a))、および「サバ州の「先住民」(第161A条第6項(b))。そして、「ブミプトラ」の定義は、公共的使用において、機関、団体、政府省庁の間で異なっています。

Tun Abdul Razak Hussain ( by Kini X c/o Flickr @ some rights reserved )

マレーシア高等教育省は、2007/2008年度SPM/同等卒業生向け公立高等教育機関入学案内「Buku Panduan Kemasukan ke Institusi Pengajian Tinggi Awam、Program Pengajian Lepasan SPM/Setaraf Sesi Akademik 2007/2008」の中で、ブミプトラを個々の入学希望者の出身地域に応じて次のように定義しています。

半島マレーシア

「親のいずれかが連邦憲法第160条第2項に定められたイスラム教徒のマレー人/オランアスリである場合、その子はブミプトラとみなされる」

サバ

「子供がサバ州で生まれ、父親が出生時にサバ州に居住していた場合、かつ親のいずれかが連邦憲法第161A条第6項(b)に定められたサバ州の先住民である場合、その子はブミプトラとみなされる」

サラワク

「両親が共に連邦憲法第161A条第6項(a)に定められたサラワク州の先住民である場合、その子はブミプトラとみなされる」

上記の解釈に加えて、ブミプトラのより広範な定義には以下を含むそうです。ここまでになると複雑でよくわかりません。

  • Native Indonesians
  • Malaysian Siamese
  • Muslim Indian Malaysians
  • Perankan
  • Kristang people of Portoguese-Eurasian descent

大部分は、中国からの大規模な移民が見られた英国植民地支配以前の東南アジアに定着したコミュニティなんだそうです。

Putrajaya, Malaysia -31 ST August 2019 ; Youth celebrating during 62 Malaysia Independence Day Parade On August 31,2019 in Dataran Putrajaya.

ブミプトラの子供全員を含む定義を支持する人々もいます。ブミプトラの親1人とブミプトラ以外の親1人を持つ人がブミプトラではないとされた例もあります。

出典:Wikipedia “Bumiputera (Malaysia)”

統計情報 (新聞報道 The Star 19 Dec 2023 )

プトラジャヤ発 : マレーシア統計局が発表した2023年のブミプトラ統計によると、今年のマレーシアの人口3,340万人のうち、推定2,130万人、つまり63.9%がブミプトラ人口だった。

統計局担当技師のウジール・マヒディン氏は声明の中で、ブミプトラ男性人口は推定1,080万人、女性は1,050万人で、男女比は100人対102人であると述べている。

また、2022年の特定の専門分野における占有率を見ると、ブミプトラは医療従事者(assistant medical officer)の92.7%、看護士の83.8%を占めている。

「一方、ブミプトラは土地測量士の60.8%、数量測量士(quantity surveyor)の61.5%、歯科医の52.8%、インテリア・デザイナーの52.7%を占めています。

「しかし、ブミプトラは建築家(41.2%)、弁護士(38.2%)、会計士(31.8%)での占有率が50%を下回っている」と述べた。

一方、2022年の労働力に関する調査結果では、ブミプトラ労働力は合計960万人、男性580万人、女性390万人であることを示している。

ウジール氏によれば、ブミプトラの労働力占有率(LFPR: labour force participation rate)は2021年の65.8%から67.1%に上昇、男女別では、ブミプトラ男性のLFPRは80%、女性は54.1%であった。

「教育取得レベルの情報では、ブミプトラ労働力のうち、中等教育以下が62.3%、高等教育が37.7%を占めている」と述べ、ブミプトラ労働力の失業率は2021年の5%から4%に低下したと述べた。 (The Star online / Bernama)

The Star online

馬国の公官庁の官職や職員は、ほぼ全員ブミプトラだという話が出て来ないのは不思議ですね。報道規制がかかっているのでしょうか? ネット上の各種情報によれば、マレーシア連邦政府の雇用において、ブミプトラの割合は、2023年時点で約85%に達しています。また、州政府や地方政府の雇用においても、ブミプトラの割合は約80%となっています。ブミプトラの割合が高い公官庁の職種としては、警察官、軍人、教師、公務員などが挙げられます。

ブミプトラ人口比の変化(時系列情報)

ブミプトラの人口は年々増加しています。2019年から2023年までの増加率は5.1%であり、これはマレーシア全体の人口増加率(2.5%)を上回っています。

ブミプトラ人口の増加は、主に出生率の高さと、政府によるブミプトラ優遇政策の影響と考えられます。

Yearブミプトラ人口増分占有率(%)
201920,995 63.4
202021,23724263.6
202121,47924263.7
202221,72124263.8
202321,93020963.9
人数は全て1000人単位 (出典 Bumiputera Statistics 2023)

ブミプトラの出生率は、マレーシア全体の出生率よりも高くなっています。これは、ブミプトラの伝統的な価値観や、政府による家族計画の普及が遅れていることが原因と考えられます。

また、政府によるブミプトラ優遇政策は、ブミプトラの経済的地位向上につながり、結婚や出産を促進する効果があるといわれています。

言語生成AI:Microsoft Bard (資料:Bumiputera Statistics 2023 )

最後まで参照頂き、有難うございました。

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