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Matriculation (マトリキュレイション?)という日本では馴染みの薄い制度をご紹介します。
荒っぽく説明すれば、これは、公的な大学予備校です。予備校といっても大学試験を突破するための予備校ではなく、進学を前提とした教育課程なので、予備校に入る段階で選抜があります。
つまり、選ばれた学生だけが進む大学予備校です。誰でも入れるわけではないです。
ネットで検索すると、matriculation は単に「入学」と訳されていて、wikipedia では日本の通常の入学を解説しています。フラットに、日本の入学試験とか裏口入学などを解説していて、世界で通用している matriculation の意味とはだいぶ違う解釈になっているようです。
とはいえ、筆者の勝手な解釈はよくないので、wikipedia で説明されている Matriculation を紹介した上で、今マレーシア国内でどのように運用されているか、オンライ記事を要約してみます。
結論として、SPMで好成績を記録した馬国の学生は、民族の区別なく matriculation に進む資格を得ます。SPMについてはしたのバナーの記事も参照いただくと馬国ないの微妙な現状がわかります。
さらに、受け入れる大学側のブミプトラ比率の制約はまだ残っているようです。
ブミプトラ比率に関する新聞社の表現は、独特の作法があるように思えます。源流は憲法153条ですが、複雑な経緯があるので、どの新聞社もある程度曖昧な表現に止めています。
Matriculationとは?
Matriculation とは、大学に入学するための正式な手続き、または入学試験などの特定の学業要件を満たすことによって入学資格を得るプロセスを意味します。これには、特定の学業要件を満たすことや、必要な試験に合格することも含まれます。また、新入生が正式にその機関に迎え入れられる儀式も指すことがあります。世界の多くの大学では、学生が正式に迎え入れられる matriculation の儀式があります。
マレーシアでは、公立大学と教育省(MoE)が matriculation program を運営しています。ただし、公立大学が提供するプログラムは、運営元の大学に限定されるため、プログラム修了後の進学オプションが限られます。
教育省が提供する matriculation program は、マレーシア政府が支援する1年間の大学予備課程 (pre-university program) です。SPM(Sijil Pelajaran Malaysia :マレーシア教育証書)取得者は、SPMの年(中等教育5年目)に教育省の matriculation program に応募することができます。 matriculation program に選ばれた学生は、マレーシア国内の複数の入学カレッジに配属されます。
教育省の matriculation program 修了後、学生はマレーシア国内の大学に進学することができます。イギリス、オーストラリア、ニュージーランドのいくつかの大学は、教育省の matriculation program を大学予備課程 (pre-university program) として認めています。
matriculation program の他に、STPM(Sijil Tinggi Pelajaran Malaysia : マレーシア高等学校証書)プログラムという制度もあります。これは、中等教育6年目の学生が受ける全国試験です。STPMと matriculation programの違いは、期間(2年間 vs1年間)、シラバス(科目の幅や深さ)、採点方法(全国統一評価 vs 入学カレッジ自体による評価)、および合格率です。
プログラム | 受験資格 | 期間 | 評価方法 |
Matriculation | Form 5 | 2年 | 全国統一テスト(SPM) |
STPM | Form 6 | 1年 | 各カレッジによる評価 |
出典:wikipedia (English) “Matriculation”
イギリスの場合: オックスフォード大学やケンブリッジ大学では、新入生が正式に入学するmatriculationの儀式があります。
アメリカの場合: この用語はあまり使われませんが、入学してコースに登録するプロセスを指します。
新たな選抜制度の発表
Your matriculation spot is guaranteed, Education Ministry tells SPM top scorers
By Malay Mail Monday, 01 Jul 2024 4:30 PM MYT
この記事では、馬国の教育省の発表として、次の内容を報道しています。

SPM受験結果から優秀な学生を選抜
SPM試験の受験結果を受け取り、10科目以上でAを取得した学生は、2025年の入学シーズンの地元の公立高等教育機関の matriculation program (大学進学プログラム)に進めることが保証される。
候補者の人種的背景や出身地の影響は受けない。特に今年は、アンワル首相が人種や出身地に関係なく高等教育への平等なアクセスを約束した。
この目標を達成するために、教育省は高等教育省と協力し、マレーシア高等教育機関の学生入学部門(UPU Online)を通じて matriculation program (大学進学プログラム)に応募した10A以上の優秀な成績者の数を確認する。(様々な入学コースがあるため)希望するプログラムに入学できなかった者を調整する目的もある。
この決定は、馬国のB40グループと呼ばれる低所得家族を含む優秀なSPM学生が(大学への)進学を実現する機会を確保することを目的としている。

B40グループとは馬国の経済的底辺から40%に当たる低所得世帯で、その月収レベルは RM5,250(約16万円弱)です。世帯数はおよそ3百16万世帯で、月収の中間地はRM3,000(90万円)に止まります。馬国において「貧困」の範囲に入る世帯は月収RM2,500(7.5万円)の世帯です。
ブミプトラ枠の運用
入学プログラムの既存のブミプトラ枠制度は変更されず、そのまま維持される。
2002年に公立大学入学の人種枠は廃止されたが、マトリキュレーション・カレッジ(進学予備校的な教育機関)は依然としてブミプトラ・マレーシア人に90%枠を維持しており、特定の基礎コースはブミプトラ専用
アンワル首相は、教育制度の公平性を確保するために、2023年6月30日に人種に関係なく全てのトップ成績者に matriculation program (大学進学プログラム)の枠を開放することを発表した。
ただし、連邦憲法第153条に従い、 matriculation program (大学進学プログラム)の既存のブミプトラ枠は変更されない。
All SPM leavers with 10As and above guaranteed matriculation places without affecting Bumiputera quota, says PM Anwar
Sunday, 30 Jun 2024 7:21 PM MYT Malay Mail
首相がみずから発表する熱の入れようです。

尚、マレーシア憲法153条の詳しい内容を知りたい方は、この記事を参照願います。かなり重い内容ですので、お時間がある時に参照されることをお勧めします。
最後まで参照いただき、ありがとうございます。
こちらもお時間があれば、どうぞ・・・