【MM2H情報】最新条件と2024年のMM2H 

MM2H

この記事は、本編【MM2H体験】の関連記事です。

2023年中旬以降、このブログで馬国内外のさまざまな報道内容を引用していますので、この記事と合わせて参照下さい。

これまで引用してきたオンライン報道やSNSの内容を集約。現在のMM2Hの各国有識者の共通の理解を確認した上で、今後MM2Hがどのように展開していくか、そして日本の利用者はどう考えるべきなのか、10年のMM2H体験から筆者の理解と展望を述べます。

先に結論めいたことを言えば、

  • 馬国政府はMM2Hの申請者の増大に強い期待をもちつつも、富裕層の申請者の比率を高めようとしています。厳しい条件を少しづつ調整しながら富裕層と一般利用者の申請具合を見定めようとしています。
  • 23年12月に発表した改正案への反応が芳しくなく、他の東南アジア諸国に利用者が流れるようであれば、国外月収額の閾値(しきいち)や流動資産証明の条件を緩和するはずです。
  • 富裕層の動静がはっきりするまでは、現在の中途半端な改正内容のまま、一般利用者はじらされることになります。
  • PlatiniumやGoldのカテゴリーに該当しない、我々一般の利用者は、申請代理店を通して、更なる条件緩和を訴え続けるべきです。

アイキャッチ画像(上)の出典は Wikipedia “Taman Negara” photo by Vyacheslav Argenberg / http://www.vascoplanet.com/ です。

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新たなプレミアム条件の需要は伸びない

各論の前に、大きな枠組みとしてPlatinumとGoldというカテゴリーで海外の富裕層(あるいは中国が視野にあるのか?)を対象に永住権や15年の滞在期間をインセンティブとしている部分について述べます。

筆者はこの枠組みでのMM2Hの申請数にはあまり期待が持てないと思います。理由は次のとおりです。

  • マレーシアの永住権がそれほど魅力的とは思えない
  • マルチ・エントリーVISAの期間の15年はSilver申請と殆ど同等

MM2H利用者の中に「永住権」を期待している家族がどれだけいるでしょうか?現役を引退したような60歳から上の利用家族は、自国のパスポートを保持しながら、余生をマレーシアで過ごすことを望んでいて、完全にマレーシアに移住する必要は感じていないと思います。

筆者も「永住権」を持っている日本人といっしょに仕事をしたり、馬国について話し合った体験がありますが、「永住権」を持つと言うことは、馬国に永住する上で本当に馬国人としてその国でどんな貢献をして、何を人生の主題として生きていくか?ものすごくはっきりした意思を持つと言うことになります。

「住みやすいマレーシアに長期滞在したい」といった程度の意志表示やモチベーションでは永住権の申請すらできないと思います。

少なくとも、馬国に投資をしていて、会社のひとつやふたつは運営している人物であり、さらにそういった事業を通して馬国の経済や社会に「貢献」出来ている人です。

そのレベルをMM2Hの利用者に求めるのは、ハッキリ言って本末転倒ですし、政府はその点では何か思慮不足のように思われますが、張慶信大臣が説明しているように、Platinumの条件は「永住権を申請する資格」に繋がるものであり、実際の永住権取得はかなり難しものということを示唆しています。

これまで引用してきた幾つかのユーザーの声から判断しても、永住権をちらつかせる申請条件としても、Platiniumの投資要件は他の東南アジア諸国のプレミアム・ビザの条件に劣後しているようです。

恐らく、限られた数の中国系の資産家や欧米の資産家が特にマレーシアを永住地として希望する場合に申請が出るでしょうが、永住権の取得段階で結構なトラブルになると思います。あまり需要が伸びる部分とは言えません。

シンガポールの cna がまとめた新たなMM2H改正案の構造図 出典=Malaysia eases rules for retirement residency visa but piecemeal announcement has wealthy foreigners holding off – CNA (channelnewsasia.com)

Goldカテゴリーの15年VISAについては、あまり説明は要らないと思います。

Silverカテゴリーの最低条件で申請して5年までのMulti Entry を取得(それも、各国のパスポートの有効期限範囲内であり、5年満期までの利用はパスポートの更新が大前提)してあれば、5年後にまた延長申請をすれば良いだけです。10年までは確実ですし、それ以降の延長交渉も充分あり得る話です。それに10年という月日が経過すると馬国の政治経済は大きく変化します。その時点で長期滞在は再検討すべきです。

Goldで2百万RMも定期預金(Fixed Deposit)を設定する意味はあまりありません。

筆者は、長期滞在の上限は10年と考えています。それ以上の滞在期間を確定しても、あまり意味がありません。日本や馬国の政治経済、生活環境は10年も経てば大きく変化します。

悪い方向に変化する場合だってあります。ですから10年後にはマレーシアから撤退することになるかもしれません。

このあたりは、日本人だけでなく、他の先進国の利用者も同じだと思います。

Silver限定:条件緩和は評価できるが申請に踏み込めない

改正案のSilverを基準として、現在までの申請条件の経緯をまとめると

MM2H条件新条件(2023年12月)旧条件(2021-2023年)2020年までの条件
定期預金額50万RM (1500万円)100万RM(3000万円) 30万RM (900万円)
本人の流動資産額不明150万RM(4500万円) 50万RM(1500万円)
国外の所得(月)不明40000RM(月120万円)10000RM(月30万円)
最低滞在日数60日 (家族基準)90日(本人基準)特に規定無し
査証上の期間5年(延長可)10年(延長可)10年(延長可)
筆者の調査結果 為替レートは、便宜的に1RM=30円

歓迎すべき緩和条件は2つであり、ひとつは半額になった定期預金額、もうひとつはマレーシア国内での滞在期間の短縮です。滞在期間については、申請者本人だけでなく、家族の誰かが滞在した日数を合算することが認められるので、主人が海外で仕事をしていても、配偶者や他の扶養家族が60日以上マレーシアに居れば良いことになります。

定期預金の50万RM(30円換算で1500万円)は一見して高額ではありますが、将来消えてなくなる資産ではないので、利用者は日本国内で1500万円を全額借り入れて、ローンの返済のように月額で返していくような準備をすれば、5年後か10年後に全額返済できます。

筆者の場合(2010年に申請)は定期預金は15万RMでOKでしたので、自分の預金を定期に回したのですが、MM2Hを解約した際に利息が付いて戻ってきました。

今思えば、この15万RMは日本で低金利で借り入れすれば何とかなったのです。

以上から、比較表の中で「不明」としている流動資産額や国外所得が無効であると仮定すれば、改訂された条件は2020年までのものと同等と言えそうです。

水面下の条件に注目が集まっている。 Kuala Lumpur, Malaysia cityscape in the evening. photo by envato elements (all righst reserved)

問題は流動資産証明と月額の所得証明に絞られます。

これまで引用してきた、国内外の記事においても、この2つの申請障壁について「どうなるのか未明だ」であったり、「解消されるべき」といった声が多いようです。

アルジャジーラの報道に出て来る馬国の弁護士は、おそらく「収入証明や無犯罪証明は必要だろう」としています。閾値(最低額)が無くても月収を証明する書類は必要になることが予想されます。

流動資産(土地・建物等を除く資産額)については、今後どのように扱われるのか、改正の発表以来1か月経過しても何も情報が出てきません。

このあたりの条件緩和は、現在公開されている新条件に対する需要家の声がトリガーになっているように思えます。そうでなければ、「新条件の実施は〇月〇日から」といった期日が公表されるはずです。

実行する期日が公表されないということは、これは政府側が「需要家の反応を見ている」としか思えません。そうであれば、我々需要家はおおいに反応すべきなのです。

例えば、Silver カテゴリーの流動資産証明は、15万RM程度に低減すべきだとか、この際撤廃すべきだ(PlatinumやGoldで条件を置けば良い)といったアイデアを出していくべきなのでしょう。

現役を退いたMM2H利用者のことを考えれば、月収条件は、例えば年金の証明書類程度で良いといった条件にすべきです。それが本来のMM2Hの趣旨だと思います。

以上から、流動資産や所得額の閾値の条件が明確になるまで、我々一般の需要家は「さらなる条件緩和」が確定するまで申請を見合わせるという「需要家の声」を挙げながら、今回発表された3階層の申請条件への世界の反応を見ていくことになります。

馬国政府と需要家の「綱引き」が始まっている

今回の改訂内容の公開以降のシナリヲを考えると

  • Platinum、Goldの需要が充分伸びて来て、政府が期待する数の申請が出てきそうな機運になる場合は、残念ながらSilverの更なる条件緩和は発表されない
  • PlatinumやGoldの申請数が延びる機運でなく、新条件が不評であれば、Silver の条件にさらなる緩和要件が追加される

の何れかではないかと思われます。

しかし、新条件の「実施日」が未定のままでは、実質的に新条件が好評なのか不評なのか定量的な評価が出来ません。

恐らく政府は、申請代理店を情報源として反応を見ていくのだろうと思います。

マレーシア政府はMM2Hの条件設定を戦略的に展開していると思われます。  photo by envato elements (all rights reserved)

申請代理店や代理店連合組織のリーダーは、Silverカテゴリーが実質の需要家の興味の対象だと知っているので、おそらく半年ぐらいの間にはSilver の条件緩和(つまり流動資産と所得証明の閾値)について対話が進み、遅くとも2024年の夏ごろまでに条件緩和が確定して新条件が実行されると予想できます。

冒頭での述べましたが、筆者は今回発表された3階層の申請構造の内、PlatinumとGoldはロングステイのVISA申請要件として、いまひとつ国際競争力に欠けると考えています。

この富裕層の需要家として期待がもたれているのは恐らく中国国籍の利用者でしょうが、Forest City の荒廃状況や碧桂園の経営危機でも明らかなように中国経済は低迷期に突入しています。2021年に馬国政府が予想した中国需要は当分の間望めないと考えるべきではないでしょうか?

そうであれば、MM2H改正の機運は、どちらかというと欧米と日本の利用者に有利な方向に動いていると言っても過言ではないです。

最後までご参照いただき、ありがとうございました。

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