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馬国に旅行したり移住したり、そしてMM2Hを申請してロングステイする皆さんは、当初どれだけ「中国茶」に注目しているでしょうか? 日本茶に強い誇りを持っていると、あまり中国茶への興味は湧かないものです。
筆者も例外ではなく、馬国にいるので、まずはテー・タリクだとか、テー・オといった「紅茶系」の飲み物や、ミネラルウオーターに注目していました。
次第に中国茶に親しむ機会が増えてくると、その種類の多さや、奥行きの深さに感心します。
中華系の皆さんは日本の緑茶をよく知っていて、あまり中国茶のことを話題にしませんが、調べてみると、馬国は実に中国茶の大規模な市場なのです。
マレーシア国における中国茶の年間売上額は、過去5年間で着実に増加しています。2018年にはRM500億(約1,400億円)でしたが、2023年にはRM700億(約2,100億円)に達すると予測されています。この市場規模は、馬国全体のフルーツの売上規模の5分の1です。(2023年の馬国フルーツの総売上額はRM3500億)
マレーシアには、約700万人の中国系マレーシア人が暮らしています。この人口増加は、中国茶の需要増加につながっています。
また、中国茶には、抗酸化作用やリラックス効果など、さまざまな健康効果があるとされています。この健康効果に対する関心の高まりも、中国茶の需要増加に寄与しています。
さらに、中国からの中国茶の輸入量も増加しています。2022年には、中国からの中国茶の輸入量は前年比で15%増加しました。この輸入量の増加も、中国茶の売上額の増加につながっています。
具体的には、後述する緑茶、烏龍茶、プーアル茶、ジャスミン茶、紅茶がマレーシアで人気となっています。
中国茶は、マレーシアのスーパーマーケットや茶葉専門店で販売されています。また、中国茶を提供する飲食店も増えています。
今後も中国系マレーシア人の人口増加や中国茶の健康効果に対する関心の高まりが続くと予想されることから、マレーシア国における需要はさらに増加していくと考えられます。
中国飯店で味わう中国茶
細かい話は後にして、知り合いと中華料理(中国飯店)に行った場面での中国茶について知っておくべき内容から紹介します。
ジャスミン茶 (Jasmine tea)
独特の香りと花の味が特徴的。中華料理店で提供されないことはめったにありません。マレーシアでは、”香片茶”(xiang pian cha)または”茉莉花茶”(mo li hua cha)を注文すると、温かい蒸したジャスミン茶のティーポットが提供されます。
ジャスミン茶は、緑茶または白茶をベースにジャスミンの花で香りづけして作られます。緑茶の味は一般的に強いですが、心地よい花の香りと味がそれを補っています。最近の研究では、ジャスミン茶を飲むことで、抗酸化物質のレベルを高めるなど、健康に良いという情報もあります。
菊花茶 (Chrysanthemum tea)
中国語では”菊花”または”菊花茶”と呼ばれ、マレーシアのスーパーマーケットやコンビニエンスストアでも缶やパックで販売されています。砂糖や蜂蜜を加える人もいますが、豊かなハーブの風味を存分に味わうなら、無糖で飲むのがベストです。香りは独特の甘さがあり、お茶はフローラルで爽やかで、特に暑い日に氷を入れて飲みます。
古代中国の伝承では、菊花茶は高血圧を下げる効果のある食品であると考えられていました。現代科学でも、このことを示唆する研究が報告されています。
菊花茶を保温ポットに入れて持ち歩き、一日を通して、ひんやりと落ち着きのある健康ドリンクとして飲む人も多いようです。
プーアル茶 (Pu-erh tea)
日本では馴染みの薄い名称ですが、すでに飲んだことのある方は非常に多いはずです。
独特の濃い色で他の茶葉と簡単に区別できます。プーアール茶や「ポレイ(po-lay)」とも呼ばれ、一般的に他のほとんどのお茶よりも高品質とされており、価格もそれに応じて高くなっています。
プーアル茶はもともと中国の雲南省で栽培されており、その赤褐色の色を補完する独特のバターのような土のような味を持っています。伝統的に、プーアル茶は平たい「かたまり」で提供されます。(英語では cake )お茶を淹れるには、まず茶選で葉の一部をちぎります。
菊花とプーアル茶 (Pu-erh with chrysanthemum)
菊花茶とプーアル茶のどちらの味が好きか決められないあなたに、両方を一度に味わえる解決策があります。ブレンド茶は、ほとんどの中国レストランで提供されています。これらは、ウーロン茶、緑茶、菊花など、さまざまな種類のお茶をブレンドしたものです。
それぞれの茶葉は独自の繊細な風味を持っているため、それらを混ぜ合わせることでまったく新しい味が生まれます。マレーシアでは、菊花プーアル茶、または一般的に”菊普”(guk bou)と呼ばれるブレンド茶が人気です。消化不良を緩和するのに役立つと言われており、そのため、マレーシアの dim sum shop(華人系マレーシア人が利用する軽食を提供するお店)で人気の高い飲み物です。
鉄観音 (Tieguanyin)
広東語で「鉄観音」(Tit Kun Yam)と呼ばれるこのお茶は、世界のウーロン茶の中でも上位にランクされています。観音は慈悲の女神であり、観音様にちなんだこのお茶は、清らかで浄化作用のある味がするという意味合いがあります。
鉄観音は、特定の種類のお茶を指すのではなく、ウーロン茶の広いカテゴリーであり、それぞれわずかに異なる味と香りを持ちます。しかし、これらすべての茶葉に共通しているのは、茶葉が枝なしで小さな、しっかりと丸めたボールの形をしていることです。
鉄観音の品質は、葉を収穫した時期にも左右され、春と秋が最良の収穫期と考えられています。
鉄観音は後述する「青茶」の銘柄です。
日本の「緑茶」と中国の「緑茶」の違い
2023年のマレーシアでの緑茶の年間売上額は、中国の緑茶が700億リンギット(約2,100億円)、日本の緑茶が300億リンギット(約840億円)と、中国の緑茶が2.3倍の売上となっています。
当然といえばそれまでですが。
日本の緑茶と中国茶の緑茶の違いは、大きく分けて以下の2つです。
- 茶葉の加工方法
- 味や香り
茶葉の加工方法
日本の緑茶は、蒸して殺青する方法が一般的です。これにより、茶葉の葉緑素が破壊され、鮮やかな緑色とさわやかな風味が保たれます。
「殺青」とは、茶葉の酵素の働きを止め、茶葉の色や風味を定着させるための工程です。茶葉の酵素が働き続けると、茶葉の色は黒ずみ、味や香りも変化します。(後述する発酵度と関係があります)
一方、中国茶の緑茶は、釜炒りして殺青する方法が一般的です。これにより、茶葉に独特の香ばしさやコクが増します。
味や香り
日本の緑茶は、さわやかで爽やかな味わいが特徴です。一方、中国茶の緑茶は、香ばしくコクのある味わいが特徴です。
もちろん、日本の緑茶にも香ばしいものや、中国茶の緑茶にもさわやかな味わいのものもあります。しかし、一般的に、日本の緑茶と中国茶の緑茶は、上記のように区分できます。
また、日本の緑茶は、中国茶の緑茶よりもカテキンの含有量が多い傾向にあります。カテキンは、抗酸化作用や殺菌作用、脂肪燃焼作用など、さまざまな健康効果が期待できる成分です。
日本では馴染みの薄い「白茶」
マレーシアに限らず、広義の中国茶を知るなら「白茶」も理解しておく必要がありそうです。
「白茶」(または黄茶)は、茶葉を蒸したり炒ったりせず、新芽や若葉をそのまま乾燥させたお茶です。発酵度が少なく、さわやかで爽やかな味わいが特徴です。
白茶の種類は、大きく分けて以下の4つがあります。
- 白毫銀針(びゃくごうぎんしん):新芽を摘み取って、蒸さずに乾燥させた白茶です。銀色の産毛がびっしり生えた姿が特徴です。
- 白牡丹(びゃくぼたん):新芽と若葉を摘み取って、蒸さずに乾燥させた白茶です。花のような香りが特徴です。
- 寿眉(じゅび):新芽と若葉を摘み取って、蒸さずに乾燥させた白茶です。細かく丸まった形が特徴です。
- 黄山毛峰(こうざんもうほう):新芽と若葉を摘み取って、蒸さずに乾燥させた白茶です。黄山の山脈をイメージした、細長い形が特徴です。
白茶は、中国の福建省や安徽省で生産されています。
白茶には、以下の健康効果が期待されています。
- 抗酸化作用
- 殺菌作用
- 脂肪燃焼作用
- 血糖値上昇抑制作用
白茶は、健康を意識する方にもおすすめのお茶です。
発酵度に着目して中国茶を大別
お茶の製法における「発酵度」とは、茶葉の酵素の働きによって、茶葉の成分が変化する度合いを指します。発酵度が高いほど、茶葉の成分は変化し、味や香りも変化します。
緑茶、白茶、黄茶、青茶、紅茶の5つのお茶の種類は、発酵度によって分類されます。
種類 | 発酵度 |
緑茶 | 0% |
白茶 | 0% – 10% |
黄茶 | 0% – 10% |
青茶 | 10% – 80% |
紅茶 | 80%以上 |
緑茶と白茶は、発酵度が低いお茶です。緑茶は、蒸すまたは炒ることで茶葉の酵素の働きを止め、発酵を抑えます。白茶は、蒸さずに乾燥させることで、茶葉の酵素の働きを徐々に止めます。
黄茶は、発酵度が中程度のお茶です。黄茶は、蒸して乾燥させた後、密閉容器に入れて悶黄と呼ばれる工程を行います。悶黄によって、茶葉の色が黄色に変化し、独特の香りと味わいが生まれます。
青茶は、発酵度が中程度から高いお茶です。青茶は、蒸して揉捻した後、発酵させる工程を行います。発酵度によって、茶葉の色が青緑色から褐色に変化し、さまざまな味わいが生まれます。
紅茶は、発酵度が高いお茶です。紅茶は、萎凋と呼ばれる工程で茶葉の水分を抜いた後、発酵させる工程を行います。発酵によって、茶葉の色が赤茶色に変化し、独特の香りと味わいが生まれます。
「黄茶」と「青茶」の代表的な種類は、以下のとおりです。
黄茶
- 君山銀針(くんざんぎんしん)
- 蒙頂黄芽(もうちょうおうが)
- 霍山黄芽(かくさんおうが)
青茶
- 鉄観音(てつかんいん)
- 武夷岩茶(ぶいいわちゃ)
- 安渓鉄観音(あんけいてつかんいん)
- 凍頂烏龍(とうちょううーろん)
烏龍茶は「青茶」の一種
発酵度の区分で「青茶」に含まれる「烏龍茶」の種類は、さらに細かく分類できます。発酵度が低い烏龍茶は、緑茶に近い味わいと香りが特徴です。発酵度が高い烏龍茶は、紅茶に近い味わいと香りが特徴です。
烏龍茶の代表的な種類は、以下のとおりです。
- 発酵度が低い烏龍茶
- 文山包種茶(ぶんざんほうしゅんちゃ)
- 凍頂烏龍茶(とうちょううーろん)
- 木柵鉄観音(ぼくさくてっかんいん)
- 発酵度が高い烏龍茶
- 東方美人茶(とうほうびじんちゃ)
- 武夷岩茶(ぶいいわちゃ)
- 大紅袍(ダーホンポー)
まとめ
中国茶は多くの種別や銘柄があるので、全てを知るためには、実際に試飲するなどして何年もかけて研究する必要がありそうです。
中国茶は、発酵度の調整により「白茶(黄茶)」「緑茶」「青茶」「紅茶」に分かれます。(西洋では紅茶を Black Tea と呼びます)
中華飯店で人気のある中国茶のメニューは「ジャスミン茶」「菊花茶」「プーアル茶」「鉄観音」や組み合わせ的な「菊花プーアル茶」です。
価格についても、100g あたりRM10(300円)から、その10倍まで千差万別なので、お好みで購入して楽しみながら理解してゆくことをおすすめします。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
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