【MM2H情報】「靴下問題」の顛末 法規的手続き 

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馬国の各政党や民間業者を巻き込み、国民的論争となった「靴下事件」。
先週末に終息ムードとなりましたが、3月25日のメディア各社は、その顛末として、

  • 司法当局による違法行為の容疑者への出頭命令
  • コンビニエンスストアによる靴下供給業者に対する告訴

を報じています。

  • Five expected to be charged over socks issue on March 26 (The Star, 25-March-2024)
  • KK Supermart sues vendor of controversial socks, claims it was business sabotage (The Star, 25-March-2024)
  • KK Mart sues socks supplier for at least RM38m over brand damage, aborted listing on stock market (malay mail 25-March-2024)
  • AGC confirms KK Mart’s top management, vendor to be charged tomorrow over ‘Allah’ socks issue (malay mail 25-March-2024) ※ AGC はマレーシア司法長官の略語
  • KK Mart sues vendor over alleged sabotage (FMT 25-March-2024)

同様の記事が New Straits Times にもアップされていましたが、今回は割愛しました。

一連の刑事・民事的な展開は、MM2Hファンであるわれわれ日本人にとって、全く無関係とは言えません。

なぜなら、外国人でも、不慮の不注意から不敬罪に問われて被害届を出され、刑事罰を受け手しまうリスクが有ります。

宗教的な部分に関与しなかったとしても、馬国の法規制の網が外国人である我々の滞在生活に関わってくる場合もあります。この手の事象には普段から目を向けておくことをお勧めしています。

警察当局と司法長官の動き

今回の靴下事件について、政府は警察当局による調査報告を急ぐよう指示していましたが、去る23日。警察長官の記者会見で以下のとおり公表されました。

警察は143件のPolice Report(被害届ないしは違法行為を指摘する届)を受理した上で、4件の調査報告を提出した

調査報告では KK mart と商品供給業者の双方に違法行為があったとしている

以上を受けたマレーシア司法長官からの令状により、26日朝 Shah Alam 法廷に召喚されたのは2つの会社からの5名の容疑者である

司法長官の発表によれば、対処となった会社役員はマレーシアの刑法298条より、「第三者の宗教心を意図的に傷つけた」疑いがもたれている。

被疑者が出廷するのは Shah Alam Session Court (シャーアラーム法廷)

司法当局の e-filing system からmalay mail が調べた結果、召喚されたのは、謝罪会見を行った KK mart創業者 Datuk KK Chai氏、そして靴下を納入したXin Jian Chang Sdn Bhdの代表者Soh Chin Huat氏(同氏は刑法109条、違法行為の支援行為の容疑)。

The case is classified under Section 298A of the Penal Code for causing “disharmony, disunity, or feelings of enmity, hatred or ill-will, or prejudicing the maintenance of harmony or unity, on grounds of religion”.
Police are also investigating under Section 233 of the Communications and Multimedia Act 1998 for misusing network facilities.

今回の具体的容疑は刑法298A条の「宗教(活動)に関わる不調和、不統一、敵対心、悪意、あるいは調和と統制の維持の妨害」に繋がる行為。
警察当局は、上記とは別に、1998年の通信のマルチメディア法の233条(ネットワーク設備の誤用)の容疑も調査中である。

(The Star, 25-March-2024) Five expected to be charged over socks issue on March 26

商品ベンダーに対する告訴

マレーシア司法の動きと並行して、コンビニエンスストア商品提供者の間の訴訟問題が具体化しました。

コンビニエンスストア側のKK mart は、商品を供給したXin Jian Chang Sdn Bhdを相手取って告訴を前提とした召喚状の発行申請を行った。

KK mart の弁護士事務所がFMTに公表したところによれば、KK mart は、Xin Jian Chang Sdn Bhdならびに代表者Soh Chin Huat氏に対して訴訟を起こしている。

訴状によれば、被告側のXin Jian Chang Sdn Bhdの担当者は去る2月5日、原告のKK mart に違法な靴下を納品したが、その際にKK mart 側のチェックを受けずに店舗の棚に商品を展示したとしている。

また、当事者間の委託販売契約は arm coverと称する商品が対象であり、「靴下」の委託販売は契約の対象ではなかったとしている。

原告は、上記の違法行為により、KK mart が多数の第三者からのボイコット、いやがらせのメッセージ、脅迫、SNSによる名誉の棄損に晒された結果として、 Loss and Damage(損害)を訴えている。

この際、原告は、委託販売の契約条件として、違法行為を行わないという基本合意事項を守らず、違法な商品を意図的に許可なく KK mart の店舗に展示したとしています。

原告側の賠償請求は、KK mart の「証券市場への上場機会を逸失させた損害」として2千万RM(約6,400万円)、KK mart のブランドの棄損の損害額 1千50万RM(約3,400万円)等を含む総額3千2百万RM(1億円超)

加えて、結審した日付以降、毎週の利益の棄損の保証として毎週 1.5百万RM(4500万円)の保証を要求している。

今後の展開について

靴下数足の問題でしたが、かなり大掛かりな刑事訴追や訴訟に発展してしまいました。

筆者の馬国での限られた取引経験から想像するに、今後の展開は次のようなものと思われます。

先ず、司法により「お裁き」については、当初より国王が発言して「厳しい措置」を指示していることから、情状酌量は望めず、一定期間の拘留、ないしは高額の罰金が課せられる可能性が高いです。

判決はすぐにでも出ると思われますので、その結果、民族間の不調和に繋がることを危惧します。

KK mart は、本件で陳謝しており、国民の声として、「これ以上追及する必要はない」という声があります。全国民が司法判断に注目することになります。

一方、KK mart の告訴ですが、ご存知の方も多いと思いますが、この手の訴訟の司法での審議は非常に時間がかかりますから、おそらく2年ぐらいは長々と判決が遅れると思います。

もちろん、KK mart 側も、この手の裁判が長引くことはよく知っています。

賠償額を取ることよりも、KK mart は故意に靴下を販売したのではないという事実が社会に浸透することを強く期待していると思います。

2月初頭に、Xin Jian Chang Sdn Bhdの関係者が、「勝手に」靴下を陳列せしめたあたり、については、KK mart 側の「監督不行き届き」という評価も出て来そうなので、微妙です。

現段階では、明るみに出ていない、靴下に意匠をプリントした中国のメーカーの特定の問題が残っています。このあたりは、動きが出た時点でご紹介する予定です。

最後まで参照いただき、ありがとうございます。

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