【MM2H情報】炎上収拾 靴下論争の終焉

MM2H

この記事は、本編【MM2H体験】の関連記事です。馬国の「おすすめ情報」まとめ記事はこちらです。

イスラムの神格が大手コンビニエンスストアの靴下(数足だけ)にプリントされていた件は、SNSで炎上し始めた3月13日以降マレーシア国内で大きな論争となりました。

これまでのレポートはこちらです。

3月23日の夕刻から24日(本日)にかけて、この事件についての報道はぐっと少なくなり、約10日間の騒ぎも、どうやら穏便に終息つつあるようです。

筆 者
筆 者

筆者は、昨日と本日の馬国内のオピニオン・リーダーや有識者の見解を知ることで、この国の良心と良識の認識が深まりました。そして、この国が無駄な論争に金と時間を浪費しない動きをしたことに、大いに敬意を表します。

本日ご紹介する記事は、以下の出典リストにある通りです。直訳すると長くなるので、それぞれ要点だけを抽出しています。

マレーシアという国は、充分大人だったんだなと思える出来事でした。

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馬国の文化人・有識者・学者が連名で見解を示す

‘Concerned Malaysians’ accept KK Marts apology, reject boycott

異なる民族、信条、宗教、地域の23名の有識者(元政治家、教育機関のトップ、活動家、等)の連盟が、KK mart の「謝罪を受け入れる」と発言。

「我々は、関係当局に調査と罰則の決定を委ねる。」としています。

また、同連盟は、Umno青年団とUmno 党首によるコンビニエンスストアの「ボイコット方針に反対する」ことも表明しました。

とても単純で、さらっとした記事ですが、The Starが23日の夕刻に報道したもので、馬国の有識者・学者の見解を明確にしたものとしてわかりやすい内容です。

ムスリム系大手商店経営者がUmnoの運動を抑制

Mydin Hypermarket’s MD tells Umno Youth chief to stop exploiting ‘Allah’ socks issue

Malay mail 紙は、後述のFMTの記事に言及。

マレーシアのムスリム専用のハラル食品を扱う卸売市場と小売店の最大手Mydin Mohamed Holdings Berhad (Mydin)の社長で、ブミプトラ小売店教会の会長でもある

Datuk Ameer Ali Mydin氏(68歳)は、

Umno青年団が今回の Kk mart ボイコット運動が、政治的な点数稼ぎに利用されていることに違和感を訴えています。

Mydin社長は、Umnoの点数稼ぎは、コンビニで働く民衆の生活を犠牲にするものだと明言。「ほとんどの重要員はムスリム」であることを強調。

靴下の問題は、確かに深刻な問題だが、

KK mart流通会社も、謝罪したではないか?他に何を期待するのか?」

と話しており、これ以上この件が政治的な目的でエスカレートされる必要はないと発言しています。

Umno青年団の見解

Mydin wouldn’t be spared too if they sold those socks, says Akmal

前述の malay mail が報じた内容の発信元のFMTの報道では、

件のMydin社長の牽制目的の発言に対するUmno青年団の反駁も掲載しています。

団長のAkmal氏曰く

「僕らは、KK mart華人組織だから糾弾しているのではない。」

「問題は、ムスリムへの侮蔑行為であり、そのことに対しては厳しい措置が必要だと言っている。」

Myden社長のコメントに値して、Akmal団長は、ムスリムへの脅威を排除することは、ビジネス上の損得よりも優先されるべき課題だと説明しています。(23日、馬国時間11時PMの報道)

「事件に関する謝罪があれば、あとは富豪たちのビジネス上の利害を優先してくれというのか?」

Akmal氏が主張するのは、ボイコットという運動自体、戦争をしようというわけではなく、ムスリム蔑視を防止するための防衛措置でしかないということであり、

裕福なビジネス・オーナーへのインパクトは、致命的なものじゃないとという認識のようです。

筆 者
筆 者

KK mart の従業員のほとんどがムスリムであるしたMydin社長のコメントには直接触れていませんね。その辺り、ちょっと冷静さが足りないかな?

Akmal氏は、靴下の販売元が Myden社長 の店舗であったとしても、同じボイコットの主張をすると言っているそうですが・・・

宗教と既得権の「すり替え」を問題視する説

誤解を招く可能性のある論説ですので、転送や引用はご遠慮ください。内容は筆者の解釈であり、新聞記事の直訳ではありません。また、この内容は新聞社FMTの見解ではありません。

‘Allah’ socks hysteria only about race, not religion

24日の朝8時にFMTは、有識者の論説を掲載しました。

発言者のAdzhar Ibrahimは、馬国の大手企業(投資、テレコム事業)などの役員を歴任した有識者で、天才的な実業家です。この人が、今回の靴下騒ぎについて、普通では言えないような「そこまで言っていいのか」的な評論を出しています。

興味のある方は、原文を翻訳して読んでみてください。筆者の解釈は以下の通りです。

Ibrahim氏曰く

今回の靴下騒動は、馬国の有識者が、心配するほどエスカレートしてしまった。背景に何が見えるか?

この問題は「イスラムへの脅威」じゃない。この問題は、「マレー人の多くがが脅威を感じている」という話だ。この2つは、似て非なるものだ。

マレーシアに滞在した外国人でイスラム教徒に改宗した人と話をすると、わかるが、彼らは、回教徒になってしばらくすると、ムスリムであることを隠すようになる。

なぜか?

多くのムスリムは、宗教の本質を学んでいるのではなく、日々の生活の中で、「宗教」を隠れ蓑にして、既得権を奪うことに慣れてしまっている。

既得権は、民族としてのパワーになる。我々が払っている税金を好きなように使えるパワーだ。

だから、一部のムスリムは、ムスリムとして得られた既得権が脅かされることを恐れる。

この「一部の」ムスリムは政治家連中に限られていたんだが、最近は政治家だけでなく、官僚、連邦レベル・州レベルのイスラム系の団体、商業機関、教育機関、そしてNGOにもみられるようになった。

今手にしている権利が脅かされれば、「怒り」を感じるわけだ。怒りに任せて、先を争って一つでも上の利権を求める闘争に進む。

華人集団への攻撃にとどまらず、彼らは「イスラムへの攻撃」と言える事象を見つければ、徹底した対立行動に打って出る。

この国の課題は、国際競争力の無さであり、不十分な教育による足腰の弱さであり、不健康、政治的利権の奪い合いだが、

ムスリムの脅威という「課題のすり替え案」が浮上すれば、ここぞとばかりに大騒ぎをする。そのあいだは、本当の課題は注目を浴びなくて済むわけだ。

この「靴下騒ぎ」だって、もう充分国民のエネルギーを浪費したし、エンタメとして話題にできたろう。

もちろん、マレーシアがこの悪夢(のような宗教偏重)から目覚めて本質的な問題に取り組む日は来るだろう。でも、まだしばらく(病気の熱が冷めるまで)時間がかかる。我々が病魔に苦しんでいる最中に、他(の国)はどんどん先に進んで行くんだ。

I’m sure one day we’ll wake up from this nightmare and deal with our real issues. But it won’t happen anytime soon, the fever must run its course, there’ll be a lot of pain all around, and we’ll be far behind where everybody else is.

多くの人々は、しばらくは(靴下騒ぎから)卒業できないだろう。僕は、もうこの件は卒業して次の課題に進むつもりだ。

I’ll move on, even if I know most won’t.

FMT Adzhar Ibrahim

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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