【がちで起業】馬国で事務所開設を引き受けて失敗した

自営業主

この投稿は本編「がちで起業」の詳細記事(失敗例)です。

日本の事業者が馬国への進出を考えていて、馬国内に適当な協業パートナーが存在しない場合、筆者のような小さなサービス会社に「事務所開設」の相談を持ちかけることがあります。

つまり、大手のサービス業に依頼するとお金がかかるので、「安く事務所を開設できないか?」というわけです。

もちろん馬国で2年ぐらいサービス系の事業をやってきていれば、こういう相談は二つ返事で受け合います。

ホテル住まいの事業はコスト高?

都市部でも郊外でも、日本人から見ると馬国のホテル代は安く見えます。

筆者が馬国で起業した時期は、円換算で5千円出せば充分満足できる宿泊サービスを利用できました。会社規定で1万円台の宿泊費が出る企業の幹部は馬国に来るとファーストクラスの高級ホテルを体験できたのです。

そうは言っても、滞在期間が半年から数年になるような事業では、ホテル住まいを続けるわけにはいきません。メンバーが5人以上のグループで来馬(マレーシアに来訪)している場合、会議室も必要になります。オフィス機器のような備品も必要です。

どのようにして有利に、しかも安全な賃貸契約や事務所開設をするかという課題は海外進出する事業者にとっては結構難しい課題です。

企業活動であれば、「何とかなるさ」では済まされない仕事です。

事務所と住居の賃貸契約

筆者の20年の馬国滞在を通して、賃貸契約で大きなトラブルがあったという事例はありません。

むしろ日本の方がトラブルが多いぐらいに思えます。

恐らく我々が日本人であることがトラブルの回避になっているからかもしれませんが、とにかくトラブルは少なかったといえます。

賃貸契約は英文の tenancy agreement が一般的に運用されていますので、よほど地方の寂れた場所で賃貸するのでなければ物件のオーナーは契約書のテンプレートを持っています。

ただ、オフィススペースとして使うとなると、やはり、全く面識のない他人と賃貸契約は不安です。

この部分で日本人の個人事業が仲介するのはビジネスとして悪くありません。別の投稿で紹介したように、しっかりしたアカウンタントを雇っていれば、そのアカウンタントに任せることで賃貸契約のやり取りは日系のお客さんの代行として綺麗に整えてくれます。

この辺り、実はどの日系企業も、やる気になれば自分でできるのですが、その企業が馬国に会社を持っていない場合や、短期の観光ビザで入国している場合は、賃貸のオーナー側との契約を建て難いという不便があります。そのあたりを我々自営業が支援するわけです。

家具と備品

オフィスの家具と備品については、日本と同じで、

🔳   既に机・椅子・備品のある事務所を「居抜き」で借りる

🔳   賃貸したスペースに家具・什器・備品を持ち込む

の2択になります。

家具と備品は現地に強いコネがあれば、普通のホームセンターで買うより安く入手できます。

この辺りはあまり難しい仕事ではないです。運搬車両の手配や運送会社への下請けも、ある程度のコネがあれば、問題なく手配できます。

失敗は「あと一歩」のタイミングで起きる

小規模な個人自業が日本の企業を支援する場合に重要なことは、

きちんとした契約を確認する文章が出るまで下請け手配をかけない

という原則です。この部分を楽観視すると、とんでもない損害を被ることになります。

筆者の場合、ある年にあるタイミングである日系企業の依頼を受けて、馬国の自営業の知り合いと組んで事務所開設の仕事を受注しました。

この事務所は、おおよそ10名ぐらいの日本人と現地スタッフが執務する場所で、我々自営業軍団にとっては結構な売り上げになる案件でした。

筆者の知り合いであるQさんは地元の家具・備品の問屋に連絡があり、さらに輸送関係では元は日本お輸送業の経験があるので容易に支援できる体制でした。

この仕事を客先の部長さんから頼まれて、見積書を提出、内容を見てもらって多少の調整はあったものの、部長さんからは「君たちに頼むのでよろしく」という口頭内示を(口約束)をもらいました。

そこまでは良かったのですが

筆者は自ら日本企業で働いていた経験から「契約が紙になって出てくるまでは動くべきじゃない」として協業のQさんの動きを止めていたのですが、Qさんの方は、「手遅れになると結局納期遅延でクレイムされる」ことを懸念していました。

そしてQさんは独断で家具と備品の購入とレンタルの段取りを進めてしまっていたのです。

ところが、このお客さんの「部長さん」にあたる人というのが、実はその企業には最近になって中途採用で入ってきた部長さんで、お客さんの社内規定をよくご存知なかった。

だから我々に口頭内示した後に、企業の役員会の承認を取り付ける手配を始めたのです。

口頭内示から数週間経過したある日のこと

その部長さんから、事務所の開設の下請けは「キャンセル」という連絡が来ました。

役員会の承認が取れなかったようです。

我々は憤慨して抗議しましたが、部長さんからは契約書をもらっていなかったので、契約の件は「言った・言わない」で口論となり、結局Qさんが手配した家具と備品の買い付け費用は全部無駄になってしまったのです。

この事例は、「馬国だから」という事例ではないのですが、

もし日本なら、我々のような自営業に回ってくる仕事ではない(全部お客さんが自分でやる仕事である)ので、やはり教訓としては記事を書いておこうと思った次第です。

教訓

くれぐれも「口頭内示」には注意しましょう。

タイトルとURLをコピーしました