【MM2H情報】馬国警察   UMNO代議員を捜査

MM2H

この記事は、本編【MM2H体験】の関連記事です。馬国の「おすすめ情報」まとめ記事はこちらです。

前回の関連記事はこちら

前回の記事で経緯を説明しました、靴下論争と火炎瓶事件の続報として、2024年4月6日の Star紙のオンライン報道で、KK mart のボイコット運動を推進しつづけている ムハマド・アクマル氏 (Muhamad Akmal bin Saleh) が、突然警察当局に連行され、調書を取られていたことが判明しました。

筆者は、けして本件を面白半分に紹介しているのではなく、本件は、マレーシアという多宗教・他民族の立憲君主制国家として、いかに微妙で難しい国政を行っているかを、外国人である我々はよく理解すべきだろうという観点から記事にしています。

MM2Hは、確かに魅力あるロングステイ制度ですが、万一ユーザーである私たちが、この国の内政にある「触れてはいけない部分」に触れてしまった場合、どのような誤解を受けるかわかりません。異国は異国です。

筆 者
筆 者

今回の警察の動きは、他民族・多宗教国家が、たといイスラムを国教としていても、イスラムの名を借りた「違法」が潜んでいるなら、それを裁く姿勢を持っていることを表明しているものだと思います。

スポンサーリンク

UMNO青年団長に Police Report

馬国民による Police Rort は、日本語で言えば「通報書」が類似の表現では無いかと思います。この場合、「被害届」という表現はちょっと違います。なぜなら、直接被害を受けた国民でなくとも、(あるいは外国人でも)、違法行為を目にしたものは、警察に対して通報書類を提出できるからです。それが Police Report なのです。

KK mart の件についても、イスラムの神格が文字でプリントされている事実を「違法」と訴える通報書が多数提出されたことで、当事者の KK Chai 会長や、靴下の供給業者が調書を取られ、司法長官から召喚されて判決を待っている状態です。

今回この「通告書」が出たのは、他でもない UMNO青年団長の Akmal氏が、ボイコット運動を公言している事実に関連したものです。報道内容を要約します。 

Akmal faces sedition probe

The Star, online, April 6, 2024 

法的には「容疑者」となったムハマド・アクマル氏は、去る4月5日に、出張中のコタキナバルで警察当局に拘束され、「扇動」の容疑で調書を取られている。

アクマル容疑者が拘束された理由となったのは、2通の通告書(Police Rport)であり、容疑は、馬国の扇動法第4(1)条と通信およびマルチメディア法第233条(ネットワーク設備の誤用)違反で、調査資料はまとまり次第、マレーシア検察庁に送検される。

警察の発表では、通報の内容として具体的な扇動罪の容疑が疑われるのは、アクマル容疑者が某所で行った演説内容とその情報が流されたSNS情報。 

筆 者
筆 者

関係者へのトラブルの波及防止のため、ここでは地名を伏せますが、Star紙の報道では具体的な地名が公表されています。 有罪となれば罰金等の刑罰となる可能性があるようですが、新聞社はそこまでの報道は控えています。

警視総監からの発表と忠告

Two police reports lodged on Dr Akmal’s speech, says IGP

The Star, online, April 6, 2024

アクマル氏に扇動容疑がかけられた件は、馬国の警視総監が記者会見で説明するほどの事態となりましが、警視総監からは

KK mart の件の関係者はすでに起訴されているため、物議を醸す靴下に関連する問題をこれ以上公に提起すべきでない。」「法の正当なプロセスが進むのを待ち、裁判所によって正義が判断されるのを待ちましょう」というコメントが出ています。

アクマル氏への容疑には直接言及していませんが、今回の扇動容疑は、既にKK mart 事件の容疑者が、法的処置を受けているにもかかわらず、アクマル氏が、ボイコット運動を毎日のようにSNSで呼びかけたことで、3件の火炎瓶による放火事件を誘発したことが根拠となっていることは明らかです。

この件に関連して、以前内務大臣からは、KK mart に関わる民衆に対する呼びかけが、ある線を超えるようであれば、その時は法的措置をとることになるだろう。超えてはいけない線は有るといった談話を残していました。

Previously, Home Minister Datuk Seri Saifuddin Nasution Ismail said those who “cross the red line” by drumming up seditious sentiments would face the law.

His warning follows a rise in incendiary public comments on communal issues by certain groups, including on socks bearing the word “Allah”, which has sparked Molotov cocktail attacks on three KK Super Mart outlets.

“There are sensitivities that have their red line. There exist groups whose work is to give rise to uneasiness through seditious matters that are extreme and which are then acted upon.”

The Star online, 6 April, 2024

アンワル首相のコメント

ジョージタウンで遊説中のアンワル首相は、今回のアクマル議員の拘束と操作について言及しました。首相の見解としては、どのようなポジションにある人物であっても、馬国の3R( Religion・Race・Royalty, 宗教・民族・忠誠)を守るために定められた法制に触れるなら、妥協のない措置を取るという見解です。

「この国の平和を乱す行為は、誰であろうが、どの政党に属していようが、分け隔てなく処置する。」

具体的な政党名や氏名は首相発言に含まれていませんが。今回のアクマル議員のスピーチに関する「通告書」に関連があることは明らかです。

出典: The Star online, April 6, 2024

ここから先は、筆者の個人的印象ですが、

コタキナバルでアクマル議員が位置的に拘束された段階で、恐らく国王陛下か、あるいは政府筋からアクマル議員本人に何らかのメッセージが伝えられていると思います。

そのメッセージは、恐らく、ボイコットの件です。

事実、拘束された後のアクマル議員の公的発言は、「我々は警察当局に引き継き協力する」であったり、「我々は何ら違法なことは行っていない」といった発言に終始していて、

ボイコットの続行については全く触れなくなりました。

もし本日以降、アクマル議員からボイコットの話題が出てこなければ、今回の馬国最上層部からの圧力が相当強いものであると考えられます。

後述しますが、アクマル議員が過去に親族との間で名誉毀損の訴訟を起こしており、罰金を課せられた経緯もあります。政府から見て、この人物が必ずしも政治政党のリーダーとして好ましいかどうか疑問があるとする意見もあるでしょう。

参考 アクマル議員について

Muhamad Akmal bin Saleh(マレー語発音:[ムハマド・アクマル]、1988年7月2日生)は、マレーシアの政治家・医師。既婚で2児の父親。

photo by wikipedia “Muhamad Akmal bin Saleh” (public domain)

政治家としては、バリサン・ナショナル連合の構成党である統一マレー国民機構(UMNO)のメンバー。2023年3月以来、UMNOの第15代青年部長およびUMNOジャシンの部門長。

2023年4月以来、バリサン・ナショナル(BN)のマラッカ州執行委員会(EXCO)メンバー。

名誉毀損事件

2023年12月、メラカ地方裁判所はDr. Akmal Salehに対し、名誉毀損の罪で、兄である Dr. Solehin Saleh に RM45,000 の損害賠償を支払うよう命じた。(2023年9月にAkmalに対しての訴訟結果)

兄である Solehinは、2022年8月26日のFacebook投稿で、Akmalが偽のアカウントを使用して彼に対して悪意のあるネガティブなコメントを投稿したと主張。コメントが彼を詐欺師、不道徳、不誠実、無責任な兄であるという意味を含んでいると主張。


出典:英語版 wikipedia “Muhamad Akmal bin Saleh”

本日のアイ・キャッチ画像の写真は envato element のイメージ素材です。今回の記事との関連のある写真ではありません。 photo by envato elements (all rights reserved)

最後まで参照いただき、ありがとうございます。

この記事は、本編【MM2H体験】の関連記事です。馬国の「おすすめ情報」まとめ記事はこちらです。

タイトルとURLをコピーしました