【マレーシア交通】渋滞は解消できるのか?KL

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今から20年前、筆者がレンタカーを使い倒して馬国内を走り回っていた頃、KL特別区は、盛んに公共交通を開発していましたが、利用者が今ひとつ増えないと言う悩みもありました。

筆者の知り合いは、ほぼ100%自家用車で生活と仕事に明け暮れていたので、LRTやバスなどの公共交通の話題は皆無といって良いほどでした。

ただ、この記事に出てくる「ファースト・アンド・ラストマイル」問題についての話は、何度か耳にしていました。

繰り返しますが、今から20年以上前の話です。

ビジネスの知り合い曰く、政府は都市部に盛んに軽量鉄道を建設しているけれども、この鉄道の駅にバス停も駐車場も無いのでは、誰も利用しないのだと言う話でした。

つまり、これは鉄道技術の問題ではなく、都市計画の問題。

今年に入って、GOKLバスの路線チェックを行ってきましたが、このGOKLの情報とLRTのKelana Jaya 線の情報をチェックした結果として、

筆者は、KL市内の公共交通は十分安くて充実したと感じていますが、

やはり、自家用車の販売台数を増やす政策が続く環境下では、評価されないのでしょうか?

今回の Nes Straits Times の記事の通り、渋滞が今後も悪化すると言うのは、残念なことです。

筆 者
筆 者

無償でWifiも使えるGOKLは公共交通としては良いなあと思うんですが・・・キャパが足りないのでしょうか?

参考情報 「ファースト・ラストマイル」接続

「ファースト・ラストマイル」接続とは、主に公共交通機関を利用する個人の旅行の始点と終点の利便性の議論に使われる表現。

多くの場合、人々は公共交通機関が十分に近ければ徒歩で最寄りの駅にアクセスする。

ただし、最終目的地が、利用する公共交通機関の駅から離れている場合、公共交通機関の利便性は著しく低い。このような公共交通機関から目的地への利便性のギャップをラストマイル接続と呼んで評価する。

都市間鉄道は一般的な例です。目的地の都市で何らかの接続手段がなければ、旅行者は事実上、終点の近くで立ち往生することになる。

出典:TransitWiki:Last mile connections

先行き危うい交通渋滞問題

本日の紹介記事は、半分近くを割愛して、核心部分だけを日本文にしました。詳しくはNSTを参照ください。

With five years to go, can KL City Hall solve our traffic issues?

By Bernama – June 21, 2024 @ 10:34am New Traits Times

クアラルンプール市庁は、2030年までにクランバレーの交通渋滞を解消することを目指しているが、残り約5年の期間でこの目標を達成できる兆しは見られない。

馬国政府は、2023年3月に交通渋滞に関する閣僚委員会を設立し、クランバレーだけでなく、ジョホールバルやマラッカなどの主要都市の道路渋滞にも対処する意欲を示した。委員会は副首相のダトゥク・スリ・ドクター・アフマド・ザヒド・ハミディが議長を務める。

(Deputy Prime Minister Datuk Seri Dr Ahmad Zahid Hamidi)

専門家は、効率の悪い都市計画、車両の個人所有促進政策、そして関係機関が分断されて個別に作業する傾向が、交通渋滞の問題解決を難しくしていると言う。

当局が表面的な「傷」を治療するだけで根本的な原因に向き合わない限り、今後数年間は状況が悪化しつづけると予測されている。

専門家は、交通渋滞が続けば、国の経済発展努力が最大限の結果を出せず、労働生産性を阻害する要因になると懸念しています。

非効率な土地利用

公共交通の専門職であるワン・アギル・ワン・ハッサン氏は、当局が現在行っているのは、個別の道路の渋滞解消措置を実施することだけだという。

(public land transportation expert Wan Agyl Wan Hassan)

「道路が渋滞した場合、彼らの解決策は、単に新しい道路(高速道路)を建設することだけです。これが当局のやり方です」

「すでに道路の本数(高速道路)が必要以上に増えています。今のアプローチを止める必要があります。この方法は問題を解決していません。」

交通渋滞の主な原因は、非効率な都市計画や土地利用であると、元陸上公共交通委員会(SPAD)の政策および計画(グループ運営)部長であるワン・アギル氏は述べています。

(Wan Agyl, who is the former head of policy and planning (group operations) at the Land Public Transport Commission (SPAD))

彼曰く、現在の土地利用計画は、公共交通システムに要領よくアクセスできない高密度地域を生んでいる。

「市の土地利用計画を評価するために、ゴンバック(セランゴール)のMRR2(ミドルリングロード2)を例に取ってみましょう。ここはすでにレベルFに分類されています。つまり、朝の通勤時間には渋滞が激しく、地元当局は新しい開発を承認し続けています」

(サービスレベルは、AからFまで分類され、Fが最悪の交通量を意味する。)

現在、同じ地域で3つの住宅プロジェクトが進行中だが、分譲住宅も含まれており、交通状況がさらに悪化するのは確実であるという。

「ひとつのビルに30階あり、各階に15軒の住宅があるとしましょう。合計で450ユニットです。現在の統計によれば、各住宅には1.5台の車があります。仮に300台の車が同時にこのビルから出発して仕事に行くとしたら、どうなるでしょうか?」

MRR2は、市中心部からの交通流を分散させるために建設されたが、これは「MRR1がすでに激しく渋滞していたからです。非効率な都市計画の結果です」

矛盾した政策

ワン・アギル氏は、問題解決を阻害しているもう一つの理由として、矛盾した政策を挙げる。

「公共交通の利用を促進する政策がありますが、同時に、個人車両の所有を促進する自動車政策もあります。『促進する』というのは、一般市民が車を買うのが非常に容易だからです。

さらに、我が国は地元市場向けに自動車を生産しています」

報告によれば、2023年10月時点で、マレーシアで登録された車両数は3,630万台に達しており、そのうち約2,400万台が利用されている。

販売に関しては、地元で生産された車両、すなわちペルドゥアとプロトンが市場を支配していて、2023年にそれぞれ330,325台と150,972台の販売台数を記録し、輸入車ブランドの販売台数を大幅に上回っている。

フィッチ・ソリューションズ傘下の市場調査会社によれば、2023年のマレーシアの車両販売は3.8%の増加傾向だ。

(中略)

彼はまた、政府が電気自動車の利用を促進する努力をするなら、公共交通の利用を増加させるという目標と矛盾すると述べた。

混乱状態

ワン・アギル氏は、新しい開発を承認する熱意の中で、地方当局が利用者の利便性に関して公共交通網を効率的に計画できていないとした。

例えば、(中略)バス、電車、LRT、MRTのいずれであれ、公共交通を利用しやすくするための施設が提供されていない。公共交通ハブの近くにバス停や駐車場がないことを例に挙げている。

「混乱している。」

「これが公共交通計画について言えることです…問題は山積しているが、どう解決するつもりなのか不明です。」

都市・地域計画の専門家であるノール・ハシマ・ハシム・リム博士も同意見であり、ファースト・アンド・ラスト・マイル接続を考慮した包括的な移動モデルを設定できていないことが原因で、市民のメリットになる公共交通システムを提供出来ていないと言う。

(Urban and regional planning expert Dr Noor Hashimah Hashim Lim)

ファースト・アンド・ラスト・マイルの接続性は、人々が公共交通を利用するかどうかに大きく影響します。例えば、LRT駅から目的地まで歩いて8分と地図に表示されていても、実際の移動はそれほど容易ではない。」

「したがって、実際の距離を測る際には、快適さや安全性など、他の要因を考慮する必要があります」

マラヤ大学の建築環境学部、都市・地域計画学科の上級講師であるノール・ハシマ博士は、交通渋滞問題の主要な要因の一つとして、都市と地域の計画の不均衡を挙げた。

(Noor Hashimah, a senior lecturer at the Department of Urban and Regional Planning, Faculty of Built Environment, Universiti Malaya)

開発を担当する各機関や省庁が「独立して作業する」ことによって悪化していると彼女は付け加えた。

「それぞれが孤立して作業し、開発文書を作成しています。例えば、地方自治体は各自の行政区画内の開発計画しか作成できず、すべての地方自治体は住宅・地方政府省の管轄下にあります。このような状況では、地区間の開発に不均衡が生じる可能性があります。

「さらに、農村計画は別の機関である農村・地方開発省の管轄下にあるため、都市部と農村部の間でも開発の不均衡が生じる可能性があります」

連結性の向上に期待

ノール・ハシマ博士は、異なる州に住んでいる人々のために、連結性の高い公共交通の利用を促進すべきだとしている。

(中略)

今すぐに真剣な対策が取られなければ、今後5年間で交通状況がさらに悪化するだろうと予測するワン・アギル氏。

労働者が疲労困憊したり仕事を辞めたりすることで生産性の損失が発生する可能性があることや、交通事故の増加などの否定的な結果が生じる可能性があるという。

「現在、交通渋滞による生産性の損失に関する研究はありません。しかし、長時間の交通渋滞に耐えた人が職場でベストを尽くせるでしょうか?」

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通勤時間を金銭的に評価すると、国は毎年数十億リンギットを失っている可能性があるという。

最後まで参照いただき、ありがとうございます。

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