【MM2H関連】碧桂園 国際級コンサルを選任

MM2H

2023年10月に、債券市場の専門家から正式に「デフォルト」評価を受けた碧桂園(英名 Country Garden)の動静が不透明なままでしたが、ロイターが匿名筋から入手した情報から独占記事として「本年12月上に返済計画をまとめる」との情報が出ました。

海外の債権者は、匿名ながら、この返済計画について懐疑的な反応を示しています。

一方、碧桂園が開発コストの6割を担うジョホール州の「森林城市プロジェクト」について、馬国政府や開発関係者は、依然、プロジェクトの続行を説明しつづけていますが、同地域のゴースト化は顕著であり、具体的な展望は見えて居ません。

今年の予定以外にも、新たな動きとして、世界的に実績と力を持つアドバイザーを3社も選任したという情報があります。このことは、今後の碧桂園の債務マネジメントの計画にはプラスに働くと思われます。選任されたアドバイザー各社が協力を合意したかどうかは今のところ未確認です。

ロイターの報道から(1)返済計画の予定

ロイター、11月10日 By Xie Yu

以下はロイターの英文記事(前半)を日本語にしたものです。

Reuterのオンライン報道 Exclusive というのは「Router だけが入手したニュース」であることの強調表現 

中国の不動産大手「碧桂園」は、今年末までにオフショア債の返済計画の骨子をまとめ、来年2-3月までに債権者と正式な交渉を開始する予定。

同社は10月期限であった債券の支払いを行わず、デフォルト条項が発動しているが、年末までに主要債権者に対してキャッシュフローの予測情報を提供し、暫定的な返済計画の基礎作りをする予定だ。

「碧桂園」のオフショア債は合計約110億ドル近くになるが、同社の債務再編計画のスケジュールはこれまで報じられていない。

8月に債務問題が表面化して以来、「碧桂園」は債券市場を動揺させ、北京政府が不動産セクター向け支援策を強化する要因となった。

ロイターは今週、中国当局が国内の金融大手である「平安保険グループ (Pin Ang Insurance Group)」に「碧桂園」支配株の取得を求めたと報じたが、「平安保険」はこれを否定。

資金難で債務超過の中国不動産セクターは、同国経済の4分の1を占める経済圏であるだけに、「碧桂園」に対する国の救済は、市場介入の中でも最も重要なものの1つとなると予想される。

救済交渉について情報を得ていない2つの情報筋によれば、「碧桂園」債券保有者の一部では、上記取り組みが実現しても、デフォルト化した債権の回収率が上がることはないと考えている。

オフショア債権者は、「碧桂園」が10月18日(30日間の猶予期間後に)債権千五百万ドルを支払えなかったことで、緊急の協議を求めている。

関係筋によれば、Creditsights の11月2日のリサーチノートによって、「碧桂園」は支払いの遅れからオフショア債の「正式なデフォルト」に陥ったとされている。

同社は、それ以来、債務返済計画の策定に向けた取り組みについて、一部の債券保有者と私的にコミュニケーションを取ってきた。

ロイターの報道から(2)アドバイザーの選任

ロイター、11月10日 By Xie Yu

以下はロイターの英文記事(後半)を日本語にしたものです。(原文は上記のセクションと同じもの。)

「碧桂園」は10月10日、CICC、Houlihan Lokey、法律事務所Sidley Austinをアドバイザーとして選任し、資本構造と流動性ポジションを検証し、オフショア債の返済のための「包括的」な解決策を策定すると発表した。(CICCはロイターからの質問にすぐには応答せず、HoulihanとSidley Austinはコメントを控えた)

アドバイザーは、中国内プロジェクトのキャッシュフローを含む「碧桂園」の財務状況についてデューデリジェンスを開始したとの情報がある。

これまでのところ、中国の不動産開発業者で債務返済計画について合意に至ったものは少ない。

Sunac China Holdings Ltd(融創中国控股有限公司)は去る10月、債権者と裁判所の承認を得て、$90億のオフショア債の債務返済スキームを完了させた最初の企業となった。

さらに大きな不動産大手であるChina Evergrande(恒大集団)は、9月に中国当局が同社の創始者で億万長者のHui Ka Ya(許家印、代表取締役会長)と主力子会社に対する調査を開始。当初の$230億のオフショア債権の再編計画は脱線している。

考察 デフォルト条項について

債務者がデフォルトであることが認定されば場合、債務者は現存する資産から払える債務を全て放出する旨のルールが適用されるはずですが、碧桂園の場合、負債の額が大きすぎることから、債権者は短絡的にデフォルト条項の発動に進むことを憂慮しているのかもしれません。

債権者は既に緊急の協議を申し入れていますが、これに対する応答はなく、上記のロイターの情報だけが「碧桂園」の動静を示すものとなっています。

負債が巨額なため、選任されたアドバイザーも国際級であり、債権者グループもうかつに法的な手段を取りにくいのではないかと思われます。

以上、あくまで筆者の私見です。

参考 CICC

中国国際金融股份有限公司(CICC)は、中国の半国営の多国籍投資管理および金融サービス会社。1995年に中国で設立され、投資銀行、証券、投資管理サービスを世界中の企業、機関、個人に提供している。

  • 投資銀行サービス:M&AやIPOなどの企業の資金調達や資本政策に関する助言
  • 証券サービス:株式や債券の売買、投資助言
  • 投資管理サービス:資産運用や投資信託の販売

CICCは、中国の経済改革と発展に深く関与しており、中国および国際金融市場において重要な役割を果たす立場にある。

参考   Houlihan Lokey

ホウリハン・ロキー(Houlihan Lokey)は、独立系投資銀行および金融サービス会社。

Wikipedia (Houlihan Lokey) より

1972年設立、カリフォルニア州ロサンゼルスのセンチュリーシティにあるコンステレーションプレースに本社を構える。大手の上場企業や非上場企業、機関投資家、政府機関に助言を提供。

主なサービスは、M&A、資本市場、リストラクチャリングおよび破綻、M&A、フェアネスオピニオン、金融およびバリュエーションアドバイザリー。

2023年5月現在、Houlihan Lokeyは世界中に2,600人以上の従業員を擁している。

参考 Sidley Austin

シドリー・オースティン LLP は、世界21か所のオフィスに約2,300人の弁護士を擁するアメリカ合衆国の多国籍法律事務所。

Wikipedia (Sidley Austin) より

収入面では世界最大級の法律事務所の一つであり、世界で最も権威のある法律事務所の一つと広く認められている。

1866年に設立され、シカゴのループにあるワン・サウス・ディアボーンに本社を置いています。著名なOBに、バラク・オバマ前大統領とミシェル・オバマ前ファーストレディが含まれる。

参考 Creditsights Inc

CreditSightsは、世界最大級の機関投資家の約15,000人の金融専門家に、信用リスクを評価するためのツール、独立したリサーチ、包括的な市場洞察を提供し、十分な情報に基づいた信用リスク判断を提供している企業。

世界の1,200を超える発行母体のタイムリーなデータ、ニュース、推奨事項、公平な分析を提供している。また、革新的なプラットフォームを通じてコンテンツを提供し、市場参加者がより多くの知識を得て、より良いリスク判断を行い、最終的には価値創造を実現できるように支援している。

Bloomberg によるCreditsights Inc の紹介ページ

同社のウェブサイトより

北米、欧州、アジア太平洋地域に広がる56カ国以上の20,000社超の企業をカバーしています。

私たちの方法論は、直感的・予測的であり、何よりも透明性があります。20年以上前の設立以来、常にそうであるように、私たちの主題別および個別証券研究は、公平で、その公平性において妥協のないものです。私たちは証券の引受や資産の運用を行いません。むしろ、私たちは厳格な研究と実行可能なアイデアをもって、そうする人々を支援します。

CreditSights Website

碧桂園デフォルトに関する詳しい経緯と森林城市との関係は過去の記事から参照できます。

今回の Eye Catch 画像は、英語版 wikipediaで紹介されている碧桂園の香港事務所の玄関の写真を掲載しています。Creative Commons Attribution-Share Alike 3.0 Unported license で転載が許されていてupload user 名はNgsyatowuahg、2013年の資料です。

最後まで参照いただき、ありがとうございました。

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