この記事は、本編【MM2H体験】の詳細記事です。「おすすめ」のまとめ記事はこちらです。
本来、この記事のタイトルは、馬国の「デジタル・テレビ」とすべきでしょうが、現在でもAstroの市場シェアが大きく、印象が強いままなのでAstroが主題になってしまいます。
現在のところ、「おすすめ」に含めていますが、この記事の末尾に紹介しているOTTサービスが主流になれば、いよいよAstro全盛の時代も終わるのかもしれません。
筆者家族がMM2Hで馬国に滞在していた間、テレビと言えばAstroでした。
特に、あらゆる洋画や、欧米のテレビドラマが魅力でした。近隣のKLCCでハリウッド映画のロードショウをタイムリーに見て、欧米のシリーズもののドラマが見れた環境は非常に良かった。
やはり馬国はデジタル先進国です。モバイル市場も、このデジタルTVも、Ananda Krishnanさんの影響は絶大だったということですね。
デジタル・テレビの来歴
デジタル・テレビ放送時代は、1996年に導入された有料テレビサービスであるAstroの開始とともに始まりました。
Astroは現在、マレーシアの衛星通信会社(MEASAT Satellite Systems Sdn Bhd)の通信技術を利用して、MPEG-2ビデオ形式で約130の国内および国際テレビチャンネルを配信しています。
広い意味での「デジタルテレビ放送」 (DTV または DHDと略す) は、ケーブル、インターネット、衛星、または無料の地上波デジタルテレビ放送 (OTA) を介して受信できます。
これらは、アナログテレビ放送と並行する形で、1990年代半ばに (Astro 衛星テレビサービスの導入とともに)開始されました。
馬国の地デジ計画
2000年代に新たな有料テレビサービスが登場すると、2010年代半ばまでに地上波テレビのデジタル化が完了する予定でした。
予定が数年間遅れて、2019年10月末に全国的なデジタル移行が成功したことにより、マレーシアは近隣のブルネイとシンガポールに次いで、東南アジアで3番目のデジタル放送導入国となりました。
参考:日本の「地上デジタル」放送は、2003年に導入開始。アナログからの完全移行(即ちアナログ放送の終了)は2011年7月24日。
受信障害の解消とNJ0I
Astroの送受信は特に雨による減衰の影響を受けやすく、熱帯気候のマレーシアでは悪天候時の受信障害に関する苦情は珍しくありません。そこで、2011年12月、マレーシア政府は、2012年2月から無料衛星テレビ「NJOI」を提供すると発表しました。
“NJOI” は、 “Nasional Joomuriku Ikhlas” の略称です。
NJOI は、マレーシア政府と Astro の協力により、2012 年 2 月 18 日に開始された「無料」の衛星・デジタルテレビサービスです。当時首相だったナジブ・ラザク氏が 2011 年 12 月 20 日に正式に発表しました。
開始当初、18 のテレビチャンネルと 19 のラジオ局が提供されていました。但し、既存の Astro 加入者も、新規加入者もNOJIを利用するためには、別アカウントと新たな受信設備を購入しなければなりません。(無料と言うのは通信料のことで、受信設備は有料)
NJOI は、マレーシアの視聴者に無料のテレビ放送を提供し、テレビ視聴環境の多様化に貢献しています。ただし、当初は既存の Astro サービスとの差別化が明確でなかったため、加入者数は伸び悩みました。その後、Astro との連携を強化し、コンテンツの充実やパッケージの拡充などにより、NJOI の加入者数は増加しています。現在では、マレーシアのテレビ視聴における重要な選択肢の一つとなっています。
2017 年 10 月 1 日、NJOIの受信設備の設置サービスの料金は RM355 に設定されました。
受信器以外の取り付け作業費用が含まれているかどうか都度確認する必要があります。
競争環境(DTV市場)
NOJIの主要な競合相手は、2019年に開始された「Sirius TV」、また、地上波アンテナを使用したDTTサービスとしては、2017年に開始された「myFreeview」です。
このうちSirius TV は技術的なトラブルのため、2022年に放送活動を停止しています。
DTTサービスは digital terrestrial television の略で、myFreeview は、民間会社MYTV Broadcasting Sdn Bhd (MYTV) の放送サービスのブランド名です。配信の開始は Telekom Malaysia との提携で2017年の6月でした。
myFreeview はネット上でも試験段階の記事が多く、NOJIの配信番組とは比較にならないようです。Astro NOJIの独占を阻むべく、今後の展開が期待されます。
現在Astro はマレーシアにおける有料テレビサービスの圧倒的な支配者であり、その独占的なビジネスは批判の対象となっています。他の競合他社、ABNXcess、Mega TV、MiTV は Astro と競争することができず、Astro の開始後に廃業。
2017 年に Telekom Malaysia の Unifi TV が登場するまでは、Astro はマレーシア唯一の有料テレビ運営会社。
2019 年、マレーシア政府が Android ベースの受信設備の規制を計画した際、Astro がテレビ・コンテンツ市場における支配力をさらに強化するのではないかという懸念が高まりました。
Astro のマレーシア放送コンテンツに対する独占的権利は 2017 年に終了しましたが、同社は 1998 年通信マルチメディア法に基づき非独占的な放送権を保持しています。
2022 年以降、マレーシア通信マルチメディア委員会は 35 の放送会社にコンテンツアプリケーションサービスプロバイダー (CASP) ライセンスを発行し、そのうちの 4 社は衛星テレビを通じてコンテンツ配信を行うことが許可されています。
OTTサービス
インターネットを使ってコンテンツを配信するOTTサービスは、衛星テレビやデジタルテレビに変るメディアとして将来有望です。以下は全てOTTサービスです。
- 動画配信サービス:Netflix、Hulu、Amazon Prime Video、Disney+、YouTube、ABEMA、Paravi など
- 音楽配信サービス:Spotify、Apple Music、Amazon Music Unlimited、LINE MUSIC など
- 電子書籍配信サービス:Kindle Unlimited、楽天Kobo、BookLive! など
- ゲーム配信サービス:Twitch、YouTube Gaming など
Astroは、マレーシアのデジタルTV市場で圧倒的なシェアを誇っていますが、近年はOTTサービスの台頭により、競争が激化しています。NetflixやDisney+などのOTTサービスは、豊富なコンテンツや低価格を武器に、Astroの加入者を奪い取っています。
Astroの収益構造は、加入者数による受信料収入に大きく依存しています。しかし、OTTサービスの台頭により、加入者数が減少傾向にあるため、収益構造が悪化しています。
業績の悪化も、これらの要因が影響しています。2023年9月期のAstroの売上高は、前年同期比で3.3%減少し、純利益は前年同期比で77.7%減少しました。
Astroは、OTTサービスに対抗するため、コンテンツの充実や料金体系の見直しなどを進めていますが、業績の回復には至っていません。
最後まで参照いただき、ありがとうございます。
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