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本日は、New Straits Times (online) の社説から、馬国の運転免許の不正支給の実情についてお知らせします。
この国で車を運転する場合、いまだに撲滅されていない不正支給の実情を知っておくべきです。
2016年の統計だと、人口10万人あたりの交通事故の死亡者数は、シンガポールが3.6人、日本が4.1人だけど、マレーシアは23.6人だそうよ。この国で運転するのは相当危ないんじゃない?
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筆者の場合、1999年から2006年までの6年間、車とスクーターで仕事を生活をしてきたんですが、無事故でしたし、死亡事故に巻き込まれたことは一度もありません。知り合いの日本人が事故を起こした例は、1件だけ(残念ながら泥酔して運転してたそうです)。
結論から言えば、「日本で免許を取得した方」が馬国で(お酒を飲まずに)運転している限り、事故を起こしたり、巻き込まれたりする可能性は限りなくゼロに近いです。
そうなんですか?じゃあ、参考までに、マレーシアではどんなドライバーが事故を起こしているのか知りたいわね
この記事が参考になると思います。
マレーシアの運転免許の発行元について
マレーシアで運転するための免許を発給しているのは、日本のような警察の関連機関ではなくて、現地の中国語表現で言うところの「陸路交通局」(運輸省の下部組織)です。
でも、馬国民は、マレー人も華人もインド人も、みなさんこれを “JPJ” と呼んでいます。これが一番わかりやすいし、JPJという略語はユニークで他の団体や組織と明確に区別できます。
日本の免許を書き換えるのもJPJ、免許の発行元もJPJです。そして、JPJは全ての車両のナンバープレートの発行元でもあり、交通違反をした運転手の罰点(マイナスポイント)を管理しているのもJPJです。
ただし、運転免許の学校はJPJではなく、そのための専門のスクールがあります。
馬国の英字新聞でJPJのことを上記の略語”RTD”と記載していますが、これは一般的じゃないので、日常で使うと周囲の馬国人は何のことかわからないと思います。
現地の慣習に合わせて、これ以降の不正問題の記事の紹介は “JPJ” で説明します。
日本では考えられない免許の不正発給
結論から申し上げて、このことは、MM2Hでの運転は「とても危険」と言い切るレベルの情報ではないです。ただし、知っていると知らないとでは、この国(馬国)で運転する心構えが違ってきます。
また、運転しなくても、MM2H利用者や観光客の皆さんは、日々、グラブやバスを利用するわけです。馬国の運転免許事情は参考になるはずです。
2024年3月9日のNew Straits Times (NST) のオンラインの社説(NSTLeader) を要約して紹介します。
賄賂を受けて不正を行ったJPJ職員のリストが後を断たない。
摘発された不正行為は、概ね次のとおり;
- 輸送業者との癒着(トラック運転手の罰点を帳消しにしたり、運輸業者への勧告や営業停止処分を不正に免除する行為)
- 安全基準を満たしていな車両を不正に見逃す行為
- 不正な手数料を取って、技能試験を受けていない申請者に運転免許を発行(※)する行為(賄賂は1件あたりRM2,500からRM3,000)
政府の統計では、少なくとも14,000件の不正免許証が出回っているとされているが、実際には数十年にもわたり何十万枚もの不正免許証が出回っている可能性がある。
偽造行為を撲滅するため、JPJは、eTestingと呼ばれる、システムを導入した。
eTesting systemを導入した運転免許試験では、学習者は定期的に運転技能試験を受けるか、あるいはJPJが追跡するセンサーを搭載している車両で試験を受ける規則が適用される。
eTesting systemの完全導入すれば免許の発給プロセスに人間系の関わりがなくなるため、賄賂が成立しなくなると考えられている。
NSTの報道から要約
※無試験で発給される運転免許は馬国では、”lesen terbang” ( flying licence ) と呼ばれている。2018年に運輸大臣がフライング・ライセンス保持者を一斉摘発することを発表している。その結果は未明。
根本解決に至っていない賄賂構造
JPJが計画したeTesting System システムについて、New Straits Times の解説員は
- システムのプログラマーたちの技量が未熟だと危険
- システムの脆弱性を体系的に調査する検査官が必要になる
- システムの効果は、JPJ絡みの大規模な不正構造のごく一部しか解決しない
と手厳しいです。
JPJを取り巻く不正取引は、年間で数億RM(60~70億円規模)の賄賂を伴うエコシステム(経済環境構造)となっており、eTesting System だけでは根本解決は不可能だと解説しています。
数十年にわたって発行されてきたかもしれない数十万件の「フライング・ライセンス」は、運転技能が未熟なドライバーを大量に生み出した可能性がある。運転マナー・交通標識・道路交通法を十分に理解していない「不正免許保有者が」、死亡事故を引き起こしている可能性がある。経済・社会の間接的な損害や、医療費への影響は計り知れない。
NST記事より抜粋
NSTは、システムを導入するなら、ハッキングが不可能な完全なものを導入して、実地試験以外のJPJ関係業務にも適用すべきだとしています。
死亡事故の6割はライダーの事故
運輸省のウェブサイトを見ると、マレーシアの死亡事故(交通事故)の当事者区分が紹介されています。これによれば、死亡事故の当事者の6割がオートバイのライダーで、2割弱が自家用車等のドライバーです。
2018年の新聞報道では、運輸省は「フライング・ライセンス」のIDを把握しているようなので、死亡事故の当事者のライセンスの区分も指標に含めて欲しいですね。
交通事故の死亡者数は減少傾向
ともあれ、関係省庁の必至の努力や、馬国民全体の努力で、死亡事故そのものは減少傾向です。2019年以降、コロナ感染の時期を経て、現在どうなっているのか? 次の運輸省の発表が待たれますね。
最後まで参照いただき、ありがとうございます
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