【MM2H体験】馬国で入手できる「虎標萬金油」

MM2H

この記事は、本編【MM2H体験】の詳細記事です。「おすすめ」のまとめ記事はこちらです。

この記事は医療・医薬の紹介ではなく、ある事業家(兄弟)の物語として参照下さい。

「虎標萬金油」とは Tiger Balm (タイガーバーム)のことです

写真は wikipedia “Tiger Balm”

筆者は20代のころ、サウジアラビアの紅海沿岸に、石油精製設備の建設工事の一員として派遣されていた経緯があります。

サウジは毎週金曜が休みなので、筆者も他の中堅・若手技術者と徒党を組んで紅海に海水浴に出かけ、整備されたスイミングプールの水とまったく同じ透明度の紅海に潜っったりして、魚を採って食していたことがあります。

ある時、筆者は誤って毒サンゴに触れてしまいました。ファイヤーコーラルです。

最初の数日は痛みもありましたが、その後1週間以上の間右腕の付け根から手首までの全体が、普段の倍の大きさに腫れあがってしまいました。そして、強い痒みに襲われて、非常に困った状態でした。

建設現場には日本から産業医が来ていて、彼から欧米で作られた塗り薬を処方されたのですが、これを腕に塗っても、まったく効能がなく、単にべたべたするだけで役に立ちません。

すると、建設現場で事務職をしていたフィリピン人の中年男性が、見たことの無いガラスの小瓶に入った薬をもってきて、「これが効くよ」と言います。

小瓶の蓋を開けると、メンソレータムを茶色くしたような、ひどく鼻につくにおいの軟膏が入っています。

試しに少しだけ腕に塗ってみると、これがなんと抜群に効いたのです。

それが、筆者と「タイガー・バーム」の初めての出会いでした。

日本では、あまり目にしない薬なので、サウジから帰任した以降も、海外に出る際には、特に気にして探したりしたものですが、ここしばらくは日本の薬局では全く目にしなくなりました。

マレーシアは、タイガーバームの本拠地であったシンガポールのお隣なので、容易に入手できます。医薬系の話なので「おすすめ」はできませんが、この薬の発明者とその家族の来歴を調べてみました。

胡兄弟の来歴

前駆となる「萬金油」は、1870年代に、イギリス植民地ビルマのラングーン(現在のヤンゴン)で、中国福建省中川出身の客家漢方医である胡子欽(胡文虎と胡文豹の父)によって開発された。

胡子欽は1860年代に叔父の薬草店を手伝うためラングーンに派遣され、最終的には「永安堂」という家族経営の薬草店を設立。1908年に臨終の床にあった彼は、2人の息子、胡文虎と胡文豹に製品の改良を依頼。

1918年、この製品はより広い市場にアピールするために「タイガーバーム」と改名された。1918年までに、胡家はラングーンで最も裕福な家族の一つとなり、1920年代までには、胡兄弟は「永安堂」を大企業に発展させ、タイガーバーム軟膏をはじめとする医薬品を生産・販売した。事実、タイガーバームはビルマでよく売れ、中国、日本、東南アジアに輸出された。

出典: Wikipedia “Tiger Balm” (英語版)

胡兄弟 シンガポールに移住

1920年代、胡兄弟は植民地イギリス政府との問題のためシンガポールに移住。最初にアモイストリートに支店を設立し、その後セシルストリートに移り、最終的に1924年から1926年の間にニールロード89番地、ニールロードとクレイグロードの交差点に落ち着いている。

現在は Shake Shack という飲食店になっているようですね。

正面の白い建屋は1920年から戦火を潜ってきたTiger Balm の工場.(グーグルマップから切り取り)
同じ建物を近くから撮影したもの。屋上の六角のパビリオンは Tiger Balm の六角瓶を象徴したもの。 (グーグルマップより)

胡家は1935年に香港、1937年にシンガポール、1946年に福建省にタイガーバーム・ガーデンを設立し、製品の宣伝を行っている。兄弟の子孫は中国とシンガポールで新聞も発行。「広告費を節約するために、新聞社をいくつか持つ方が安いと思った」と語っている。

シンガポールの観光施設はTiger Balm の宣伝活動のひとつだった。

2018年現在、タイガーバーム・ブランドは100カ国以上で10種類の製品を販売している。

2015年のタイガーバームの売上は1億5200万シンガポール・ドル(1億1056万米ドル)。

インドの「ホークパー社」のタイガーバーム売上は2018年に8億5000万ルピー(1243万米ドル)。インドで販売されている製品はハイデラバードの「マクソン」で製造され、「アルケムラボラトリーズ」が販売している。1993年から2011年までは、「エルダー・ファーマシューティカルズ」が製造販売を行っていた。

添加物として、ワセリンとパラフィンをベースとした物がある。パッケージのラベルには、主成分にメントールとカンファーが記載されている。

オリジナルのレッドとホワイトタイガーバームには、カンフルが25%含まれている。「ホワイトタイガーバームHR」という新製品には、カヤプテ油の代わりにユーカリ油が使われている。

出典: Wikipedia “Tiger Balm” (英語版)

此方は Flickr にあった投稿写真 photo by Robie Sproule @ Flickr (some rights reserved)

日本での販売状況 (あくまで Wikipedia 情報)

日本においては、医薬品メーカーの株式会社龍角散が輸入・販売代理店となり、日本人の皮膚感覚に合わせてアレンジが加えられ販売されていた。キャッチフレーズは「痛くなったら虎を呼べ」。

2015年8月をもって製造販売承認がシミックCMO株式会社へ承継されたが、これに伴って日本での販売が一時休売となっていた。その後、ハウ・パー・コーポレーションが販売再開の準備にかかり、販売総代理店をイワキ株式会社が担うことで体制が整い、2019年夏より約4年ぶりに日本での販売を再開することとなった。

流通が一時ストップしたのですが、日本で何かのトラブルがあったわけではないようです。

出典:wikipedia 「タイガーバーム」 日本語版

写真はペナン島の代理店JIONの広告サイトから

参考 ファイヤー・コーラル

火山サンゴ(ファイヤーコーラル)はしばしば海藻と間違えられ、接触事故が頻繁に起こる。

wikipedia “Fire Coral”

接触すると激痛が走り、2日から2週間ほど続きます。治療後も炎症が再発することがあります。代表的な副作用としては、皮膚の炎症、刺すような痛み、灼熱感、紅斑(皮膚の赤み)、発熱、じんま疹などの病変がある。

これらの副作用は、刺胞膜細胞から放出される毒素によるもので、毒素は火山サンゴの防御機構の一部です。毒素は中等度の痛みを引き起こす可能性がありますが、人間にとっては致命的ではない。

出典:wikipedia Fire Coral (英語版)

写真は 兄弟が建てたHaw Par Villa のもの(Wikipediaの資料から)

最後まで読んでいただき有難うございます。

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