【MM2H関連】証言:森林城市からの脱出

MM2H

この記事は、本編【MM2H体験】の関連記事です。

今回の記事のEye Catch 画像および写真は全て Wikipedia “Forest City, Johor”の英語版と中国語版から転載したものです。今のところフォレストシティの wikipedia の日本語版は不在です。(2023.12.05現在)

英国の国営放送局であるBBCのオンラインサイトに、マレーシアのジョホール州で問題になっているフォレスト・シティ(森林城市)に関する痛烈な信用不安を解説する記事がアップされました。

マレーシア政府がMM2Hの条件緩和を12月に発表するといったニュースが流れる中、英国を中心に欧州の利用者に警鐘をならす目的か・・・それは定かではないですが、

このBBCの記事を見る限り、まもなく条件緩和されると思われるマレーシアMM2Hを申請する際、この未来都市に住むと言うようなオプションは考えないほうが良いというメッセージに思えます。

なぜなら、これまでのアジア圏の報道や解説分よりも数段辛口の記事だからです。森林城市の賃貸契約を解除した利用者が、「ゴーストタウンを脱出した」というトーンの記事になっています。

2023年12月5日、フォレストシティの問題を top stories で報じるBBCのオンライン報道

今でも、このプロジェクトが「安全かつ安定」に進捗しているという碧桂園や馬国関係者の発言にも強い不信感を表明しています。

流石はBBCです。重要なポイントを全部おえて解説していますので、日本の皆さんから見ても充分信頼できる解説文です。以下、全文を掲載します。

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BBC News online 05 Dec 2023

By Nick Marsh, Asia business correspondent

「やっと、この場所から逃げ出すことができた」と、ナズミ・ハナフィアは緊張気味に笑う。

1年前、30歳のITエンジニアは、ジョホールの先端、南マレーシアの広大な住宅地、中国人デベロッパーによる森林城市(Forest City)に引っ越してきた。海を見下ろすタワーマンションのワンルーム・フラットを借りた。

6か月後・・・もう限界だった。曰く、「ゴースト・タウンで暮らし続ける」ことにはもう耐えられなかった。「デポジット(敷金)もお金も気にしませんでした。ただ、ここから出たかっただけです。」

私たちは、彼が住んでいたタワーブロックで会う約束をした。

彼は「戻ってくるだけで鳥肌が立つ」と言う。「ここは孤独。自分と自分の思考活動ぐらいしか感じない」

2016年、中国最大の不動産開発業者である碧桂園(CountryGarden)は、中国の「一帯一路」構想の下で、この$100億(14兆円)のメガ・プロジェクト、森林城市(Forest City)を発表。

当時、中国の不動産ブームは全盛期を迎えており、デベロッパーたちは巨額の借金をして、国内外の中流階級向けの住宅を建設していた。

碧桂園(Country Garden)はマレーシアで、ゴルフ場、ウォーター・パーク、オフィス、バー、レストランを備え、環境影響にも配慮した大都市を建設するという計画を発表した。この計画では、森林城市(Forest City)は最終的に100万人近くの人口を擁する都市になるという内容である。

ところが、8年も経過した今でも、手つかずの土地が広がるだけで、プロジェクト全体のうち、建設が完了したのは15%だ。実際に利活用されているのは全体の1%に過ぎない。

200億ドル近くもの借金を抱えているにもかかわらず、碧桂園(CountryGarden)はBBCに対して、計画全体が完了することに「楽観的」であると述べている。

ここは「不気味」な場所

森林城市(Forest City)は、「人類の夢のパラダイス」とうたわれていましが、その実態は中国国内市場を意識したものであり、野心的な中国人に海外のセカンドハウス取得の機会を提供するものだった。

そして、このプロジェクトは、ナズミさんのような地元のマレーシア人に貸したり、マレーシア国民が休暇用の住宅として利用するための投資になるはずだった。

しかし、森林城市は主要都市のジョホールバルから離れた埋め立て地に建設されたため、孤立しており、潜在的な利用者を遠ざけてしまった。そして、現在は「ゴースト・タウン」というあだ名までついている。

「正直言って、気持ち悪い」とナズミさんは言います。「この物件には、強い期待を抱いてましたが、結果は最悪の経験でした。ここには何もありません」

森林城市は確かに奇妙な雰囲気を漂わせている。まるで、廃墟と化したリゾート地のようだ。

荒れ果てたビーチには、使い古された子供の遊び場と、錆びついたヴィンテージ・カー、そして(意図的なのか?)「どこにも行かない階段」という名称の白いコンクリート階段がある。水辺には、ワニがいるので泳ぐのは危険だと警告する看板が立っている。

ショッピング・モールを予定していた区画では、多くの店やレストランが閉鎖している。中には、建設予定のまま放置された区画もある。誰も乗っていない子供用列車が、モール内を延々と回りながら、中国語で「頭、肩、膝、つま先」を繰り返すという気味の悪い光景もある。

wikipedia “Foresty City, Johor”

隣の碧桂園(Country Garden)のショールームには、完成した「森林城市」を示す巨大なジオラマが展示されている。販売ブースには、退屈そうな表情の従業員が2人座っている。頭上には「フォレストシティ。幸せは永遠に」という看板。

この「森林城市」で最も人目を引くのは、ここが免税地区であることぐらいだろう。ビーチには捨てられたアルコールの瓶が積み上げられ、地元の酔っ払いがうろつく。

夜の森林城市は真っ暗になる。巨大なアパートブロックはそれぞれ数百の部屋を備えているが、明かりが見えるのはせいぜい5、6戸だ。誰かが実際に住んでいるとは信じ難い。

「ここは不気味」と、数少ない住人の1人、ジョアン・カウルは言う。「昼間でも、玄関を出ると廊下は真っ暗です」

彼女と夫は、タワーブロックの28階に住んでいる。その階にいるのは彼らだけだ。ナズミ氏と同じように、彼らも借り手であり、同じく、できるだけ早く去るつもりだという。

「実際に投資してここで物件を買った人たちは、気の毒ですね」と彼女は言う。「グーグルで『フォレストシティ』を検索したら、今日の姿を見ることはないでしょう。」

「人々に約束されたプロジェクトであるべきなのに、そうではないです」と彼女は付け加えた。

中国人所有者の声

森林城市の物件を購入した中国人たちに話を聞くのは容易ではない。BBCは少数の所有者に間接的に接触することに成功したが、匿名でさえコメントを避けるのが一般的だ。

SNSにいくつかの裏話が残っている。開発を称賛する投稿の下で、遼寧省出身の購入者は「(この投稿は)非常に誤解を招きます。現在の森林城市はゴースト・タウンです。誰もいません。街からは遠く、生活施設も不十分で、車なしでは移動が困難です」とコメントしている。

他のコメントでは「どうすれば損失の補填を受けられるか」と問いかけるものもあり、「私のユニットの価格はあまりにも下落して、言葉も出ません」と訴えるものもある。

こういった不満は、不動産市場が混乱している中国全土が共感するところだ。

完成したと思われる区画(右側のマップ)は全体(左側のミドリの部分)のほんの一部でしかない (photy by wikipedia “Forest City, johor”)

中国政府の動きがブレーキに

過去何年も連続して膨れ上がった中国デベロッパーの借入れ額を見た中国政府は、バブルの形成を恐れ、2021年に厳しい規制を課した。「家は住むものであり、投機の対象ではない」というのが中国の指導者、習近平の指導だ。

この規制措置の結果、大手企業は巨大プロジェクトを完成させるための資金を使い果たした。

パンデミックによる旅行制限や、中国市民の海外での支出制限。こういった事象は、碧桂園(Country Garden)など大手企業が始めた海外プロジェクトにとってブレーキとなった。

「おそらく、少しやり過ぎたのでしょう」と、KGVインターナショナル・プロパティ・コンサルタンツのタン・ウィー・ティアム氏は言う。「重い教訓になったことは、こういう野心的なプロジェクトを始める前に、潤沢なキャッシュフローを確保することです」

森林城市(フォレストシティ)開発は、野心的な計画と莫大な借金に裏打ちされたプロジェクトだが、今ではゴースト・タウン化の様相を呈している。中国の不動産市場の苦境を物語る、寂しい光景だ。

売れなくなった中国不動産

世界最大の借金を抱える不動産会社、中国の恒大集団と債権者団体との交渉が続いているが、今週の香港の裁判所でも債務返済計画の合意に至らず、7度目の延期とななった。6週間の猶予期間が与えられたが、返済の目処は立っていいない。

碧桂園(Country Garden)側によれば、中国の不動産市場の問題は「一時的騒音」であり、マレーシアでの事業は「通常通り」運営していると主張している。

また、森林城市(フォレストシティ)をマレーシアとシンガポールの間の「特別経済特区」に組み込む計画があることから、プロジェクトは「安全であり安定している」という。

しかし、資金繰りに窮している現状では、森林城市(フォレストシティ)のようなプロジェクトが完成する見込みはなく、すぐに居住者が集まるとは考えにくい。現状では、中国資本が建設した物件は、ごくひかえめに言っても「売れにくい」状況にある。

「鶏と卵の関係です」と、REDDインテリジェンス・アジアのエベリン・ダヌブラータ氏は言う。「デベロッパーは通常、建設資金の一部を前払い販売に頼っています。」

「しかし、買主は最終的にアパートの鍵を受け取れるかどうか確信が持てなければ、お金を出しません」

森林城市に繋がる道を走る車も少ない  photo by wikipedia “Forest City, Johor”

野心と現実のギャップ

森林城市(フォレストシティ)は、中国の不動産危機における、野心と現実のギャップを示す典型例だ。外的要因も影響しているかもしれないが、そもそも何もない場所に何万ものアパートを建てるだけでは、人々に利用してはもらえないという証明だ。

結局、森林城市(フォレストシティ)と中国全土の数百のプロジェクトの運命は、中国政府にかかっている。先月、恒大集団が中国政府から金融支援を受けるデベロッパーの予備リストに載ったという報道があったが、支援内容はまだ明らかになっていない。

冒頭で紹介したナズミさんのような人々が戻ってくる可能性は低いだろう。「次回は絶対に慎重に選びます」と彼は言う。「でも、この場所を出てよかった。やっと人生を取り戻せました。」

本日も参照いただき、ありがとうございます。

■ MM2H体験の記事は →本編【MM2H体験】

■ 現在のMM2H申請条件の情報 →こちらにまとめてあります

碧桂園に関する詳しい経緯と森林城市との関係は過去の記事から参照できます。

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