この投稿は、本編「修行体験」の詳細記事です。
このブログの最初のテーマである「がちで事業」でお話しましたが、起業家がアカウンタントを自分の右腕として雇うことはとても重要な成長戦略のひとつです。
筆者が修行させてもらった天才華人商人の組織でも、会社会計の管理は最重要課題でした。
ビンセント社長は、会計係や会計士を雇うといったレベルを超越した経営戦略を持っていました。
彼の組織には本物の「公認会計士」が副社長レベルで就任していて
その人はビンセント夫人(奥様)だったのです。
副社長がCPAの会社はコンサル不要
ビンセント夫人(社長の奥様)は英国の大学卒の立派な公認会計士(CPA)
既にお話したとおり、社長一家は円換算で4億円の資産を持つ成金(なりきん)家族です。
その邸宅に何度かお邪魔しましたが、庭付きの白い御殿のような屋敷に家族と使用人が同居しているような環境でした。
夫人は苦学して英国でCPAの資格を取ってビンセントと結婚したのです。
言うまでもなく、筆者が修行した数年の間、会社経理はもとより、毎年の法人税の申告も全部ビンセントとCPAの夫人が取り仕切っていました。
そして、ビンセントの会社は2千万ドルの売り上げがあっても、プライスウォーターやデロイトのようなコンサル会社を一切雇っておらず、納税実務は全て自己完結でした。
どのような経緯であれ、この体制は起業体制として理想的なんだろうと思います。
税制改正にもタイムリーに対応
馬国の税法は毎年改定されます。特に所得税・法人税は毎年変化します。
改訂内容をしっかり把握した上で税務申告をしないと、予期せぬ理由で税額が増えたり、過去の申告に遡って追徴されたりします。
大手のコンサル会社は自社サービスの売り込み戦略として、馬国政府の税法改正をまとめたダイジェストを馬国語と英語の書籍にして配っています。毎年の定例行事です。最近はWebiner のようなオンラインのサービスもあるようです。
さらに、有力コンサルは潜在ユーザーを有償・無償で招いて会計年度の税務についてプレゼンを行っています。(2000年から2006年あたりまでの馬国のコンサル市場の情報。)
ビンセント夫人はCPAですから、こういった資料はいち早く入手。さらに馬国の税務当局であるIRB(Inland Revenue Board) の知り合いに仔細問い合わせていましたから税務については馬国のどの企業よりも早く、適格に知識武装していたはずです。
ご参考までに、馬国のCPAの給与レベルを貼っておきます。(リンクから出典を参照)
起業と人生設計
ビンセントの祖先は中国の「客家」(ハッカ)という民族。
客家の家族は親子の日常会話にビジネス戦略が織り込まれているそうです。
異文化に移住して生き延びてきた華僑家族の知恵なのです。
起業するなら会計士を配偶者にせよ
そういったノウハウがあっても不思議ではありません・・・
ビンセント一家には3名のお子さんがいましたが、育児の全ては使用人や伯母が担当していて、実の両親はほとんど子育てをしていませんでした。
ビンセント本人から聞いた話ですが、彼は自分の長女が幼少から小学生の時期にどのように育っていたのか「ほとんど知らない」と言って嘆いていました。
子育てよりも一家の経済的自立と成功を優先してきたのです。
彼(ビンセント社長)はそんな人生にはしたくなかった、
しかし、起業家として勝負しつづける毎日の中で、子育てを人に頼む選択をせざるをえなかったのです。
華僑を祖先とする資産数億円の起業家の家族のプロフィールです。
みなさんはどう思われるでしょうか?