【がちで起業】客先常駐の長期化・慢性化(失敗事例)

自営業主

この記事は、本編「がちで起業」の詳細記事(失敗の事例)です。

海外での起業家が陥る失敗のひとつに

毎日の仕事が安定しているのに、実は事業の将来性を殺してしまっている

事例があります。

特に個人事業はこの落とし穴に落ちると復帰が難しくなります。

それが「客先常駐」の長期化・慢性化です。

筆者は客先常駐に拘りすぎて事業を続けたために、本来の起業家としての目標を見失ってしまいました。

大きな反省点です。

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取引に継続性がないことの不安

筆者のように長い間会社勤めをした人間が小規模な自営業を始めると、毎日の孤独感と不安感に押しつぶされそうになります。

起業して最初の1年ぐらいは、朝方にベッドで目を覚ました瞬間に特殊な不安感に襲われることがあります。脱サラした元会社員の皆さんはこれを経験してきたのではないでしょうか??

「自分は何をしているのか?何故今までの仕事を辞めてしまったのか?こんなことをしていて大丈夫なのか?」

もちろん、これは愚問です。

ところが、20年近くの期間「起床から出社・退社から帰宅」という同じサイクルを繰り返してきた人間は、そういった日常から抜け出た時に特殊な違和感を感じるものなのです。

いわば、「ポスト会社員シンドローム」と言えましょう。

毎月の収入が安定しないことも、心理的不安感の原因になります。

ある月は大きな取引の代金回収が終わり、会社の口座に大きな金額が入ります。すると天にも昇ったような特殊な高揚感を感じます。

ある月はまったく収入が無く、口座からは経費だけが出て行きます。この場合は地獄に落ちたような恐怖感に苛まれます。かなり「痛い」です。起業するまでの人生でそのような経験が無かったからです。

そういった不安定な事業に身を置いている毎日に耐えられる起業家は良いですが、耐えられない起業家は長続きしません。

これを和らげる鎮痛剤が「時間売り」商売です。そして、この薬は中毒症状をひきおこします。

PBH (Paid by Hours) 契約(時間売り)

物の取引でなく、自分の知見や語学力をを売り物にして時間単価で売り上げる仕事は、比較的安定した収入になり、需要の先読みもしやすいので、元会社員から見ると有利に思えます。

例えば、通訳・翻訳、そして技術・技能といった専門分野での客先支援です。

こういった支援はアルバイトと同じで1時間あたりの単価を合意して仕事をするわけです。特殊な技能資格を持っている人はそれだけで高額の時間売りができます。

これを称して Paid by Hours (PBH) の仕事と言います。

場合によっては、2カ月から3か月という中期的なサービスの依頼を受けることも有ります。その場合は客先のオフィスに常駐するような条件になります。

言わば「客先常駐」です。

筆者が起業して最初の2年はこういったPBH業務、ないしは客先常駐を受ける傾向が強くなりました。

客先常駐は単発的でなく安定して収入になるし、現金資本も不要だからです。

まあ、絶対に必要だったのは、馬国を走り回るための車だけでした。

■ 日本に技術紹介に来ている中小企業の馬国内活動にフルアテンド
■ 以前所属していた企業の馬国支店の事務手伝い
■ 日本が技術移転している馬国自動車メーカーでの通訳業務
■ 馬国内の産業設備の建設プロジェクトの出張所勤務
■ コンサル業の下請けとしての常駐支援
■ 外資系商社の契約社員としての常駐支援

開業直後から毎日のように人に会ったりして、自己紹介を続けていれば、ちらほらとお話しが来て仕事になります。

日系のお客様のオフィスなら環境もよく、快適に仕事ができるのですが・・・

クアラルンプールであれば、日系の中小の会社支援サービスも開業していました。そういった準大手の支援会社が請け負った仕事を筆者が下請けするような場面もありました。一時的に人出不足になった
準大手さんが筆者に下請けを打診してくれたのです。

かくして、狭い馬国でワンマン・ショーの日本人として名前が売れていきます。ちょっとした支援サービスの必要が出ると筆者にも話が回ってきていたわけです。

しかし、こういった仕事のしかたには、大きなデメリットがありました。

実はこれ、事業家の将来をダメにする致命的なデメリットでした。

「自分の時間売り」で生きる起業家の末路

事業家が自分の会社を成長させて、社員を増やしたり、増資していくためには、

多くの需要家に喜ばれる仕事を安定的・継続的に提供していくこと

を常に考えてアイデアを実行に移していく必要があります。

そのためには、事業のリーダーである自分自身が常に考えてアイデアを積み上げて事業の種まきをしていかなければなりません。

それが起業家の「仕事」です。そこに時間をかけなければいかんのです。

ところが、筆者は、冒頭で書いた「ポスト会社員シンドローム」に囚われ、「目の前の安心」である「自分本人の時間売り」に専念してしまっていました。言わば自分の切り売りです。

当然ですが、時間売りの仕事は「片手間」では出来ないです。

ちょっとした通訳業務ひとつでも、客先の技術文書を事前に読んで完全に理解していなければ役に立ちません。その他のあらゆるサービス業務にはそれなりのコンテンツがあり、時間売りの筆者であっても就業中の頭の中身は客先のコンテンツで一杯になります。

きちんと支援できなければ、あっというまに評価が下がって、問い合わせが来なくなります。こういった時間売りの仕事が終われば、疲労困憊です。

そんな毎日を過ごしていて、自分の事業拡大など出来るわけもありません。

朝起きて「きょうは何をするか決まっているから安心」と自己満足して暮らしていくことは、自分ではない他人に雇用される「会社勤め」と何も変わらなかったのです。

起業家の本質

あなたが起業家だったらどう考えますか?

あなたは馬国で会社を登記して、苦労して就労ビザを取って、家族の生活を支えながら事業展開をしているのです。

自分のスキルを時間単価で売るのはよいですが、それをしている時間、あなたは苦労して構築した「事業体制」を切り崩して客先に売り渡してしまっているのです。

ちょっとしたアルバイトなら良いでしょうが、何か月も先進して就業するような時間売り仕事に安住していると、成長は望めないどころか持っているビジネスチャンスを次々と手放してしまいます。

安心と引き換えに事業の将来を売り渡してしまったのでは「起業」する意味がありません。

自分を時間単価で客先に差し出すことは最小限に止めるべきです。

起業して成功するためには

起業家は、日々、じっくりと考えながら資金を用意して、複数の顧客が喜んでくれるビジネスアイデアをひねり出して、そして人を雇って展開・拡大していくべきです。

自分の時間は人に売るのでなく、資金繰りと営業とトラブル解決に向けるようにすべきなのです。

とういうことは

起業家は、その事業のリーダーとして、ある程度余裕をもって毎日を過ごすべきなのです。

ですから

筆者がこの「がちで起業」の記事の中で経験則として

「2年間の生活費・年間経費の2倍の資金」

を挙げたのはそのためです。

この記事を読まれる脱サラ起業家の皆さんが、

「ポスト会社員シンドローム」

に押しつぶされないようにしていただきたいのです。

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