ここ数日のマレーシア(馬国)のオンライン記事を見ると、どのメデイアも先を争って幽閉中のナジブ元首相への王族筋の恩赦の話題を取り上げています。
聞くところ、「12年の刑期が6年に軽減された(保釈金の条件有り)のはどうなのか?」といった内容ですが、
どのメデイアも、この刑期の短縮の是非を「なんと無く遠回しに」記事にしたり、「行き過ぎた発言」をした中堅の政治活動家が政府に呼び出されたりで、本質的な情報が出てきません。
2020年7月に「1MDB」という政府系の事業を巡る巨額資金流用事件で、クアラルンプールの裁判所がナジブに対し「権力乱用罪で禁錮12年と罰金2億1000万リンギ(約52億円)」の有罪判決を言い渡したのが過去の経緯(wikipedia)ですが、
現在ナジブ元首相(以後「N氏」)は71歳で、2020年から12年(2024年から8年)経過すれば、この方は79歳になるわけです。
刑期が半分になっても出所は73歳。とにかく爺さんになった人間の贖罪ってどこまで追求すれば良いのかという話です。横領した金はほとんど全部返したわけですし、「金を使う人生」は剥奪されたわけです。
老政治家の影響力
一度も服役したことのない元首相のマハティール氏(以降「M氏」)は現在、98歳という高齢で、今だに強烈かつ政治的発言を発信している超人です。(老害が問題だといった声もあるようですが)
この方は元は医師ですから、健康管理の秘訣は熟知しているはず。この人の年齢と70代のN元首相の健康を比較するのは少し無理がありそう。
世論としては、N氏が恩赦で73歳で出てくれば、政界で何をするかわからないといったネガテイブな声が多いようですが、
それは、宿敵のM氏との闘争(N氏出所のタイミングでM氏は106歳ですけど・・・)を意味するのか?あるいは新たな横領行為を危惧するのか?その辺り、老人を相手にして何を騒ぎたいのかよく見えません。
それにしても、不思議なのは、この皇族系の恩赦のニュースが初めてメデイアに明らかになったのは、1月31日、しかもマレーシアのメデイアではなく、いつも鋭く深い論説を出している隣国シンガポールの c n a だったという事実。
馬国内では、なぜシンガポールのメデイアがマレーシア国内より早くこの恩赦情報を入手できたのかが問題視されていますが、これも恐らく最後まで追求されずに、「おかしな」事実のまま葬り去られるでしょう。
徹底的に原因を調べて報道して欲しいですね。
公務員が多すぎる件?
一方、以前M氏が首相として再任された頃、同氏が、マレーシアの公務員の増員(全国で100万人だったのを160万人に増員)を決めたN氏の政策を非難した経緯があるようですが、
国民がM氏の発言に追随して「公僕の人数が多い」と騒ぐのを、マレーシア経済大臣が、「騒ぐほどの問題ではない」と発言したことが、本日(2月6日の)の Free Malaysia Today のオンライン報道で配信されています。
これもまた、統計的な説明のない「精神論」というか「定性的」な政府発言だけで、
果たして、これで国民が納得するのか、意味不明な報道です。
なにしろ、馬国の就業人口は1400万人以上いるのですから、そのうちの160万人(11.4%)が公務員だからといって、そんなに騒ぐ必要があるのか? しかも、馬国の公務員には学校の先生だとか、軍人だとか、警察署員も全部含むという話です。
筆者が馬国に滞在中に、ある中華系馬国人から聞いた話で、マレーシアは就業人口の半分以上が公務員(マレー系)なので、公務員の給与をアップすると国財政が逼迫してしまうという話があります。
外務省や公的機関の調査結果を見ると、こういった噂話は全くの「幻想」か「デマ」と言えます。
公務員の給与がアップしないから、中華系のビジネスは、常に公務員に非公式な報酬を払わされているといった話までありました。
馬国のメデイアは全体的にもっとインテリジェントな記事を配信するようにしないと、昨日の報道のように、緊急車両の背後に割り込んで交通渋滞を突破するような輩をいつまで経っても排除できないんだろうと思ったりします。
頑張って欲しいですね、めちゃくちゃ優秀な人財もいるのですから。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。