【MM2H情報】馬国 新たなモール・ビジネスへ

MM2H

この記事は、本編【MM2H体験】の関連記事です。馬国の「おすすめ情報」まとめ記事はこちらです。

過ぎたるは及ばざるが如しとはこのことでしょうか。

アルジャジーラが特集記事を組むほど、馬国のショッピングモールは「供給過剰」に陥っているようです。

Bukit Bintang のパビリオンは今でも大盛況なんでしょうが、郊外のパビリオンは客足が芳しくないようです。

長文のレポートには「ミッドバレー」は登場しません。本当に首都圏のモールが全体的に不況なのかどうか、年に在住の方が一番よくご存知です。

この記事で注目すべきポイントは2つあります。

一つは、モール全体のオーナーと各店舗の協調体制です。この点は、ある意味でオーソドックスな競争力強化策と言えそうです。

もう一つは、モール運営の文化の変化だそうです。つまり、何を売っているかで勝負する時代は終わって、「何が体験できるか?」が問われるんだそうです。

なるほどと思いますね。

モールビジネスは「商材」より「体験」

アルジャジーラの長文記事を要約したものです。ショッピングモールの写真やバナーは、アルジャジーラのものではなく、いずれも各モールのオーナー会社がソーシャルメディアに投稿した写真です。

Malaysia is building malls like crazy – but shoppers aren’t coming

by Patrick Lee Published On 15 Jul 2024 Aljazeera online

人口3300万人のマレーシア。政府のデータによれば、この国のショッピングコンプレックスの数は、2023年末時点で1000以上となった。ショッピングコンプレックスには、センター、アーケード、ハイパーマーケットが含まれる。

 マレーシアショッピングモール協会が2022年時点でカウントした727のモールと小売センターのうち、約40%はクアラルンプール都市圏に集中している。 (Malaysia Shopping Malls Association)

 多くのショッピングセンターが建設中である一方で、既存の施設の多くは人を引き寄せるのに四苦八苦している。

今やモールが乱立するマレーシアでは珍しいことではない。東南アジアの一等地で営業するモールの多くが、高い集客力とほぼフル稼働のビジネスを保っている。

 一方、パンデミック後に客足が戻ってはいるものの、人気のないモールのテナントは、新たなショップスペースが爆発的に増築される中で、苛烈な競争環境に晒されている。

 国立不動産情報センター(NAPIC)によると、マレーシアのショップスペースは2019年の16.51百万平米から2023年には17.69百万平米に増加(7%)している。 (NAPIC, National Property Information Centre)

この拡大にもかかわらず、全国の小売スペースの稼働率はパンデミック前より低く、昨年は77.4%だった。

 NAPICによると、現在でも、少なくとも33の新たな複合施設が1.13百万平米の小売スペースを供給予定であり、更に少なくとも10の複合施設が計画されているという。

 COVID-19以前から店舗スペースの占有率は低下しており、2016年の81.4%から2019年には79.2%、2022年には過去20年で最低の75.4%にまで落ち込んでいた。

 但し、全国的な需要減少の影響を受けていない新しいモールもある。

例外的な成功例

12万5千平米の賃貸スペースと4ヘクタールの屋上公園を誇るエクスチェンジTRXモールは、昨年11月に95%の占有率でオープンしている。マレーシアで2番目に高い建物であるエクスチェンジ106の低階層に陣取り、開業以来、常に多くの人々を引きつけているのは、飲食店や高級ブランドの店舗だ。(Exchange TRX Mall)

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しかし、これは例外であり、多くのモールはTRXのように繁盛してはいない。

首都圏で、占有率が国内で最も高い地域であっても、毎日の集客に苦労しているモールがある。

 例えば、昨年10月初旬にオープンした「パビリオン・ダマンサラハイツ」のファースト・フェーズ(第一期の営業)は、週末になっても訪問客が少なく、店舗スペースは比較的空きが多い。一番下のフロアには数十人の顧客が見られるが、上のフロアにはほとんど人がいない。店舗のオーナー達はビジネスの状況についてコメントを拒否した。(first phase of Pavilion Damansara Heights)

 一方、集客に苦労しているGLO・ダマンサラのようなモールでも、あえて集客戦略に挑戦してきた店舗オーナーも居る。 (Glo Damansara)

モール・オーナーの協調路線

郊外の静かな場所にあるGLOでも繁盛しているのは、ベーカリーカフェを経営している夫婦だ。

 一般の会社員に焦点を当てて、ランチメニューを拡充してきた。「入居当初は、売上げが低く、間違った場所を選んでしまったと思ったが、1年以内に成長を実感した」と49歳の店主がアルジャジーラに語る。

 多くの潜在的利用者がこの地域にいたので、ここを選び、GLOの管理者も店舗側のニーズに対して、他のモールでは見られないほど懇切丁寧に応えてくれたという。店舗スペースの家賃も手頃だった。

 「他のモールではこんな支援は得られないかもしれない。他のモールはもっとルールが厳しく、対応も格式ばっている」

 ハルタマスショッピングセンターのレストランオーナーは匿名を条件に、店舗のオーナー達は、用意周到で丁寧に準備されたモールにしか入ってこないと語った。(Hartamas Shopping Centre)

40代前半の男性はのオーナーは「開発者が良い仕事をしないと、才能ある商売人が集まらないのだ」という。

 彼は、高級住宅地であるスリハルタマスの住民をターゲットにしていて、モールには「全くダメな日」と「当たりの日」があるのだという。だから、テナントは顧客を引き寄せるために「とてもクリエイティブでなければならない」という。

 3ダマンサラモールのオーナーであるキャピタランド・インベストメントは、センターを(広域ではなく)「周辺地域のニーズに応える」ために「再設定」したという。(3 Damansara Mall’s owner CapitaLand Investment)

同社は限られた集客の理由については触れなかったが、最近では、再設定の結果として店舗の占有率と来店者数が増加しているとしている。

キャピタランド・インベストメントのゼネラルマネージャーは、「3ダマンサラは商材のアレンジメントを刷新し、対象とする地域コミュニティに対応するため、段階的に改善を進める」

 マレーシアショッピングモール協会の会長、ファン・サウ・リアンは、マレーシアの「混雑した」小売市場で際立つために、小売業者はこれまで以上に努力する必要があると述べた。(Malaysia Shopping Malls Association president Phang Sau Lian)

 「消費者トレンドの変化は非常に速く、モールは常に変化に適応して競争力を維持する必要がある」

不人気なモールの原因は、立地の悪さ、アクセスの悪さ、そして過剰供給の3つだという。

 ファン会長によれば、近年の消費者トレンドの最大の特徴は、モールの集客の主要推進力が「飲食業」に変ったことだ。

「総賃貸スペースに占める割合は、10年前のひと桁台からほぼ30%まで急上昇した」

このトレンドは今後も続くと予想しているという。

「商材提供」から「体験提供」へ

不動産コンサルタントのCBRE-WTWの顧問、フー・ジー・ジェンによると、今日のマレーシアの消費者は単なるショッピング以上の「体験」を求めている場合が多い。 (Foo Gee Jen, an adviser with real estate consultancy CBRE-WTW, said consumers in Malaysia today are often seeking an “experience” beyond just shopping.)

 「今や、求められているのは、単なる買い物ではない。すべてのショッピングモールが体験の面で競争しようとしている」

例として、TRXモールの公園や他の複合施設の芸術文化センターなどを挙げている。

 「改装していない古いモールは対応できていない」

「新しいモールを建てたいなら、既存の古いトレンドで競争するのではなく、(新たなトレンドで)補完するべきだ。なぜなら、現在のモール市場は(一定のトレンドで)飽和状態にあるから。」

暗号通貨ビジネスとの協業

 一部のモールオーナーは、厳しい競争環境でビジネスを続けるため、より独創的なアプローチを採用している。

 5月に投稿された後にすぐ削除されたTikTokの投稿動画によると、マラッカ州南西部にある非稼働のモールでビットコインのマイニング施設を運営していると主張する人物が紹介された。 (a man was shown giving a tour of a Bitcoin mining farm he claimed to be running out of an empty mall in the southwestern state of Malacca)

 2021年9月、マラッカに拠点を置く不動産開発会社ハッテンランドは、シンガポールの企業と協力して、州内の自社物件で少なくとも1000台の暗号通貨リグを共同運営する契約を締結した。 (Malacca-based property developer Hatten Land signed a deal with a Singaporean company to jointly operate at least 1,000 crypto rigs on its properties in the state.)

2022年当時の報道では、ハッテンランドは e-sports の体験市場に注目していたようですが、今年は暗号通貨です。

 「モールを『グリーン』な暗号通貨採掘活動に再利用している」と開発者はウェブサイトで述べたが、それ以上の詳細は明らかにされていない。

 マレーシアの低調な経済パフォーマンスは、小売業者が直面する課題をさらに悪化させている。

 昨年、経済は堅調ながらも目立たない3.7%の成長を遂げたが、リンギットは米ドルに対して下落し、2月には26年ぶりの安値である4.80に達した。

 グローバル不動産コンサルタントのナイトフランクが2023年下半期のマレーシア経済を分析したところ、「全体的な不確実性が消費者支出を抑制した」と述べている。

 それでも、モール建設には減速の兆しがほとんど見られない。

最後まで参照いただきありがとうございます。

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