【MM2H情報】馬国ドローンの標準化と規制

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この記事は、本編【MM2H体験】の関連記事です。馬国の「おすすめ情報」まとめ記事はこちらです。

2009年に日本の企業内ではじめてドローンの有効活用案が出始めていました。

筆者が担当していたサプライマネジメントや物流・現場資材管理の分野でも、若手・中堅を中心にドローンを使った工数と人件費の削減が盛んに議論されました。

「これは」と言う案があり、経営レベルに進言して運用を試みましたが、アイデアは理解されても、建設現場ですぐに採用されることはありませんでした。

当時のドローン技術の周辺は、まだ実績も乏しく、標準化も法整備もありません。客先から見ても、「普及していない技術」を実験的に自分の事業に持ち込まれるのは敬遠しました。

アイデアは良いのに、誰も買ってくれないと言うジレンマを目の当たりに、悔しい思いをしたのですが、今思えば、標準化も規制も無い環境でドローンのオペレーションを持ち込むのは、早すぎたのかもしれません。

New Streaits Timesで紹介された馬国の管理規制と、2020年の法改正による日本のドローン登録制度を比べると、まあ似たり寄ったりではあるようですが。

日本とほぼ同じ国土があって、人口は5分の1程度というマレーシアでのドローンの活用は、かなり期待できる技術分野なので、今後もモニタリングしていくことにします。

新たな管理システム(DMS)

Drone management system may boost economy, say experts

By Fuad Nizam, Aliza Shah – June 3, 2024 @ 8:10am

業界関係者は、マレーシア民間航空庁(CAAM)の新しいドローン管理システム (drone management system, DSM) は、煩雑さの解消と規制内容の明確化を齎し、我が国経済へのプラス効果に繋がるとしている。The Civil Aviation Authority of Malaysia (CAAM)

マレーシアUAVアライアンス協会(Muva)は、来年の第3四半期に予定されている、無人航空システム交通管理(UAS TM)の実施について、「ドローン運用の安全性と効率性を確保するもの」としている。The Malaysian UAV Alliance Association (Muva), Unmanned Aerial System Traffic Management (UAS TM)

標準化とオペレータ承認プロセス

Muvaの会長であるモハマッド・ザリマン・モハマッド・ユソフ博士は「当システムは、ドローン運用の標準化を提供する。オペレーター側も容易に規制遵守を実行できるようになる。」と述べている。Muva president Dr Mohd Zaliman Mohd Yusoff

博士曰く、配送サービスやインフラ点検などのドローン関連ビジネスが可能になるという。

農業、建設、セキュリティ、調査、監視、およびマッピングなど、産業目的でのドローンの使用がますます増加している。

現在の規制内容で、ドローン運用の承認を得ると、長くて14日に渡る複雑なプロセスになるという。UAS TMは、この承認プロセスを簡素化・自動化する。

博士曰く、「より迅速な承認処理を実現すれば、より効率的な運用に繋がる。ドローンオペレーターが遅滞なく運用を計画・実行できるようになる。

「オペレーターの承認に時間がかかることは、業界の成長を妨げるボトルネックだ。承認を早めるとともにUAS TMの普及と遵守を促進して、ユーザー・エクスペリエンスを強化する。」

ドローン・アカデミー・アジアのディレクターであるエリン・フーによれば、UAS TMはドローン技術への投資を促進するという。Drone Academy Asia director Erin Hoo

「このシステムで全てが解決するわけではないが、関連業界が公共空域で、安全かつ統制されたドローン運用を確保するためは、運用規制のフレームワークと規制当局のサポートが必要だ。」

規制のフレームワークはまた、CAAMが電子識別、追跡登録、および空域使用などのサービスに対して料金を徴収し実施することを可能にする。

「徴収された収入は、CAAM UASユニットの開発と拡大に再投資されるされるだろう。」

スムーズな実装と規制遵守

前述のザリマン博士は、UAS TMの導入を歓迎する一方で、その成功の鍵は実装にあるという。

「洗練されたシステムを導入するには、ドローンとシステムのインフラとの信頼性のある通信手段を確保し、空域をリアルタイムで管理するなどの技術的な課題を乗り越える必要がある。

「初期費用と保守費用が高額なので、持続性と有効性を確保するために十分な投資と資金が必要だ。」

特に国境を越える運用においては、国際的な航空交通管理システムとシームレスに連携する必要があると話している。

「サイバーセキュリティの強化も重要。システムはサイバー攻撃に対して脆弱である可能性がある。」

Erin Hoo氏は、オペレーターによる規制の順守は、UAS TMの費用対効果を確保するために不可欠だという。

「今後、違反行為をしないよう、ドローンオペレーターにしっかりと責任を負わせることは、安全基準と運用規律の標準化の確立と、関連業界によるルールの遵守を促進する上で重要だ。」

原文:”By holding drone operators accountable for breaches, the system will establish a standard of safety and operational discipline, encouraging adherence.”

日本の規制概要

2020年2月28日、無人航空機(以下 「ドローン」筆者※)等に係る安全の確保を図るため、所有者情報等の登録制度の創設(中略)を内容とする「無人航空機等の飛行による危害の発生を防止するための航空法及び重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律案」が、閣議決定されました。

背景

近年、ドローンの利活用が急速に進展する一方で、ドローンの事故や必要な安全性の審査を経ずに無許可でドローンを飛行させる事案が頻発している等、飛行の安全が十分に確保できていない状況が生じていることが課題となっています。

また、空港周辺におけるドローンの飛行とみられる事案により滑走路が閉鎖され、滞留者の発生、定期便の欠航等により航空の利用者や経済活動に多大な影響が及ぶ事態が発生しています。

このような状況を踏まえ、事故等の原因究明や安全確保上必要な措置の確実な実施を図る上での基盤となるドローンの所有者情報等の把握等の仕組みの整備や空港における危険の防止対策の強化、空港の機能確保を強化することが必要となっています。

国土交通省の広報サイト

法律案の概要

(1)ドローンの登録制度の創設(航空法の一部改正)

  • 国土交通大臣へのドローンの所有者情報や機体情報等の登録制度の創設
  • 登録及び登録記号の表示等の措置を講じないドローンの飛行禁止
  • 人、物件等の安全が著しく損なわれるおそれのあるドローンの登録拒否 等

(2)主要空港における小型無人機等の飛行禁止と違反に対する命令・措置(重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部改正)

  • (略)空港周辺の上空での空港の管理者の同意を得ない小型無人機等の飛行の禁止
  • 違反して飛行する小型ドローン等に対する警察官等による退去等の命令・措置に加え、空港管理者による一定の範囲での命令・措置の実施

(3)空港における機能確保の強化(航空法の一部改正)

  • 空港等の設置者が施設を管理するための基準として、ドローンの飛行や自然災害が発生した際の措置の追加

出典:国土交通省「無人航空機登録ポータルサイト」 法令説明文章

※記事を読みやすくする目的で、「無人航空機」と言う単語を全て「ドローン」に置き換えました(筆者)

今回も参照いただき、ありがとうございます。

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