【MM2H情報】アリババ  市街地の闇取引

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この記事は、本編【MM2H体験】の関連記事です。馬国の「おすすめ情報」まとめ記事はこちらです。

現在のマレーシア国王イブラヒム閣下は、2024年初頭に輪番制の王位を引き継ぐ際、マレーシアの汚職の一掃を取り組み課題の一つに挙げています。

馬国における汚職や不正の話題は、ほとんどの場合政府高官や大企業に関わるものです。これは、主に2018年の歴史的な与党連合の崩落を引き起こしたナジブ首相(当時)とその妻の大規模な私的資金流用汚職によるものが大きいですが、

国王のイブラヒム閣下や、アンワル首相も、グラフトと呼ばれる賄賂や不正所得の摘発に力を入れており、20〜30年前の馬国に比べれば、国全体のコンプライアンスはかなりのレベルに達して来ました。

筆者が馬国内で企業活動に参加した1990年代末期は、この国の大企業との取引には常に賄賂や不正料金の噂があり、企業の上層部はこの手の問題に手を焼いていたようです。

日本の大手企業の間では、賄賂という言葉は絶対に口にできないので、よく「お賽銭(おさいせん)」という言い方をしていましたが、これもまた日本の神社仏閣で使う言葉を裏取引に使うという意味で、非常に不謹慎な時代だったわけです。

街角ビジネスとして、私たちは大都市の小売店を利用することもよくありますが、この小売店の商売においては、多くの商店の許認可がマレー人名義になっており、実際のビジネスは華人グループが実行して、使い走りや店頭の売り子は、他の盗難アジア諸国の労働者であったりするわけです。

このような「アリババ」構造の小売店運用の負のインパクトとして、マレーシアは国内総生産(GDP)の30%を失っているという情報があります。

別の言い方をすれば、本来マレーシア国民が働いて所得として勝ち得るべきビジネスの30%が違法滞在のままアルバイト的に暮らしている外国人労働者に渡ってしまっているということになります。

それだけではありません、適正な所得であるはずの利益配分が、所得申告に含まれないまま、都市部の役人への法外な「見逃し料金」としてキャッシュで渡されています。これらは全てGDPから落ちてしまっているわけです。

最大で月にRM50万の「見逃し料」

NST Leader: ‘Ali Baba’ strikes back

July 16, 2024 @ 1:00am New Straits Times

マレーシア当局による大規模な摘発が行われるたびに、隠された経済活動の素顔が明らかになる。一見合法に見えるビジネスも実際には違法であることが判明する。これらは「アリババ」ビジネスと呼ばれる。名目上はマレーシア人が所有し、実際には外国人が経営している。このようなビジネスは本来違法であるべきだが、全国の市役所の関与のもとで、あたかも合法であるかのように運営されているのだ。

かつてはクアラルンプールに限定されていた「アリババ」ビジネスも、現在ではジョホールバル、ジョージタウン、クアンタン、コタバルに広がっている。人々は、社会問題だけでなく、地元ビジネスへの影響に警戒を強めている。法整備の欠如が、このような違法行為の繁栄を助長しているのだ。

各地方自治体にはそれぞれの法律や規制がある。クアラルンプールの場合、外国人が経営できないビジネスの種類は20あり、その中にはミニマートやレストランも含まれている。しかし、首都を訪れると、この規制が機能していないことがわかる。原因は、取締りの手抜きや、役所の関係者が賄賂を受け取って目を瞑っているためかもしれない。他の地域では、制限そのものが明確ではない。

政府による包括的な「アリババ」法の制定が必要だ。法律や規制があっても、取締りが十分に行われなければ意味がない。

強力な摘発は時折報道される。6ヶ月前、警察が率いる推定1,000人の取締官が、ジャラン・シラン (Jalan Silang) の商店街4ブロックを一斉摘発し、2時間で約500人の外国人を逮捕した。適切な滞在許可を持っていないなどの罪で拘束されたのだ。しかし今、外国人たちは再び猛威を振るっている。

本質的な問題はただひとつである。それは責任の欠如だ。前回の摘発はクアラルンプール市役所の職員の逮捕に繋がるべきであったのだが、何故かそのような関連性が見つからなかった。

おそらく、クアラルンプール市役所(の行政)に遡る証拠が不足していたのだろう。ほぼ6ヶ月後になって、MACCの略で知られるマレーシア反汚職委員会 (Malaysian Anti-Corruption Commission) が市役所の副局長にまで繋がる関係を明らかにしたが、それはジャラン・シランの摘発とは無関係だった。

しかし、MACCの摘発で、副局長、その部下、市役所の取締官、元公務員の4人が逮捕された。副局長は、違法ビジネスを運営するシンジケートから毎月RM100,000からRM500,000の賄賂を受け取っていたとされる。

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市役所で腐敗がこれほど高位に及んでいることから、組織の運営方法を推し量ることができる。副局長クラスの不正を発見するためのシステムが必要だ。数ヶ月間も賄賂を受け取っていたとされる場合はなおさらである。

主任事務官から局長まで、監督責任を負うすべての職員がその責務を果たさなかったことに対して責任を問われるべき時が来た。

馬国の闇ビジネス「アリババ」

「アリババ」とは、マレー系起業家が、自らのビジネスライセンスや許可証をニューエコノミックポリシー(NEP)に基づく権利や特典を通じて取得し、それを資格のない中国系企業に「リース」することを指す厄介な新語である。

「アリババ」ビジネスには数十年の歴史がある。現在では屋台センター、コンビニエンスストア、飲食店、自動車修理工場、ナイトマーケットの屋台など、小規模な契約に縮小され、これらが外国人移民に引き渡されている。

ジョホール州政府は、これらのマレー系ビジネスオーナーをブラックリストに載せることを始めた。連邦政府は反アリババ法の草案を作成する計画を立てているが、行政としては各州が主導することを求めている。

財務省によれば、マレーシアはこの闇経済によって国内総生産(GDP)の30%を失っているという。

出典:NST Leader: The ‘Ali Baba’ sellout, New Straits Times, February 17, 2024

MACC(マレーシア反腐敗委員会)

マレーシア反腐敗委員会 (Malaysian Anti-Corruption Commission略称 MACC または SPRM) は、マレーシアにおける公的および民間部門の腐敗の調査と起訴を担う政府機関。香港の汚職調査独立委員会 (ICAC) やオーストラリアのニューサウスウェールズ汚職調査独立委員会 (ICAC) など、トップレベルの汚職対策機関をモデルとしている。

MACC の公平性さを確保し、市民の権利を守るために、5 つの独立機関が MACC を監視している。これらの機関は、他の政府機関とは独立して運営されており、中立的な立場から監視を行っている。5 つの独立機関の日本語訳を試みると、汚職諮問委員会、特別汚職委員会、苦情委員会、活動審査委員会、汚職相談及び防止委員会、といった表現となる。

この記事では、比較的小規模な小売店の不正摘発を話題にしているが、MACCが主に追跡しているのは、政府高官や大企業などの巨悪に通じた不正である。

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