この記事は、本編【MM2H体験】の関連記事です。馬国の「おすすめ情報」まとめ記事はこちらです。
独自のMM2Hを展開しているサラワク州が、今度は航空会社を所有して訪問客を増やす投資戦略を具現化しつつあります。このことはサラワクのMM2Hにも関係しますので、先読み情報として紹介します。
MM2Hの申請条件については、連邦政府側の MM2H よりもサラワク州の MM2H の方がより一般ユーザーに優しいことは、周知の事実です。
事実、2023年の申請者実績では、連邦政府の MM2H申請は90%減っているのに対し、サラワク州政府への MM2H 申請者は以下のとおり記録的な伸びを示しています。
期間 | サラワク州の承認件数 |
2007~2020年 | 10 |
2021年 | 2 |
2022年 | 34 |
2023年(7月現在) | 58 |
詳しくはこちらの記事を参照ください
最近は、5月からのサバ州独自の MM2H の運用開始が発表されたたことで、東マレーシアと半島マレーシアの MM2H 利用者争奪線は激しさを増すものと思われます。
サラワク州のMM2H を利用しているユーザーは、西マレーシアの都市で滞在することも許可されているので、申請代理店各社は、KLやペナン在住を希望する顧客に、「サラワクの MM2H の方が有利」と説明しているぐらいです。
昨年末に、ようやく、馬国「観光文化芸術省」の張慶信大臣が、プレミアム・ゴールド・シルバーのグレード別の新条件を紹介しましたが、この条件でのMM2H受付開始はまだ予定すら発表されていません。
そして、サラワク州は、2025年にサラワク州独自の航空会社の開業を決定しており、西マレーシアとの往来のフライト料金を低く抑えて、サラワク州への旅客と投資を増大させる戦略を実行しつつあります。
現在、サラワク州のクチンからマラッカ、KL、ペナンへのフライトは格安航空なら6000円から8000円(RM145-200) 程度ですが、サラワク州所有のフライトがもっと安くなれば、利用者が増えて MM2H の申請も増えそうです。
エミレーツ航空を見習うサラワク州政府
New Straits Times のオンライン報道から紹介します。最初の記事は昨年12月のものです。
Sarawak wants to emulate success of Emirates Airline, says Abang Jo
Bernama – December 17, 2023 @ 2:37pm NST
サラワク州は、国有の航空会社を設立する課題について、ドバイを拠点とするエミレーツ航空の成功モデルを手本にしたいと考えている。
サラワク州首相の Tan Sri Abang Johari Tun Openg (タン・スリ・アバン・ジョハリ・トゥン・オペン)は、1980年代に設立されたエミレーツ航空は、ドバイ政府による投資の一形態であり、周辺地域の経済活動の活性化をもたらしたしたと述べた。
「エミレーツ航空のサービスは競争力ある安い料金で提供しており、それを考えると、彼らが利益を上げているのは不思議だが… しかし、これは彼らの(戦略的)投資活動の一部なのでしょう。今日、ドバイは中東のハブに成長しています。30年前の何もない砂漠から繁栄したのです」(メルキュールホテルの開会式でのスピーチより)
11月23日、州副運輸大臣の Datuk Dr Jerip Susil (ダトゥク・ドクター・ジェリップ・スシル)は、サラワク政府が MASWings Sdn Bhd の買収の準備として、Due Diligence (デューディリジェンス)を進めていると述べた。
Due Diligence(デューディリジェンス)」とは、ビジネス取引や投資などの際に、対象となる企業や資産について詳細な調査や分析を行うプロセスを指します。この調査は、リスクの評価、価値の判断、法的・財務的な問題の特定など、取引に関連する様々な側面を確認するために行われます。具体的には、企業の財務諸表、契約、知的財産、業界動向、法的なリスク、環境・社会的な問題などを詳しく調査し、その結果を基に取引や投資の判断を行います。
MASWingsの株式取得については、Malaysia Aviation Group (MAG) とKhazanah Nasional Bhdとの間で、交渉中。
カザナ・ナショナル (Khazanah Nasional Berhad) はマレーシアの政府系投資ファンド。1993年9月3日に公開有限会社(Public Listed Company) として設立され、資本は全て財務大臣が保有している。取締役会は官民双方の代表者で構成され、首相が会長を務める。
サラワク州政府の Abang Johari が、このMASWings を引き継ぐ意向を最初に発表した当時、一部の人々は懐疑的だった。
「我々が MASWings を管理できるかどうか疑問に思っていたのでしょう… しかし、これは我々の(戦略的)「投資」であり(金儲けではない)、航空会社としての「リターンは何なのか」と詮索する話ではない。
「航空会社引き取りの成功を測るのは、州のGDP(国内総生産)です。旅客がサラワクに来れば、ここでお金を使い、経済は繁栄する。それが我々が考える成功の測定基準であるべきです」
サラワク州国営航空会社が2025年に就航
こちらが最新情報( New Straits Times )
Sarawak-owned airline expected to be operational in 2025, says Abang Jo
Bernama – April 11, 2024 @ 4:45pm NST
サラワク州首相のTan Sri Abang Johari Tun Opengによれば、2025年にサラワク州所有の航空会社が、運行を開始する予定。
Abang Johari 首相はMASwings Sdn Bhdの取得プロセスも、今年の終わりまでには完了すると発表しました。
彼は、マレーシア航空委員会(Mavcom)、運輸省、マレーシア航空グループ(Malaysia Aviation Group : MAG)によって原則として取得が合意されていると述べた。
「現在の焦点は、取得の技術的側面を議論すること。8月までに、あるいは遅くとも年末までには結論が出ると期待している。2025年までにはサラワク州は、この航空会社を所有できるでしょう。航空会社の名前も決まっていますが、まだ発表できません」(ボルネオコンベンションセンタークチンでのハリ・ラヤ・アイディルフィトリのオープンハウス)
関東地区のリムジンバスと比べてみる
横浜のYCATから成田空港までのバス料金は、片道3700円、往復6200円です、冒頭で紹介したクチン(サラワク)からマラッカ、KL、ペナンへのフライト料金と比べると・・・どうでしょうか?結構近い数字ではないでしょうか?
Abang Johari サラワク州首相は、運賃は赤字になっても、サラワクのGDPが増えれば、投資としては成功したことになると名言しました。
もしサラワクの新航空会社が往復8000円レベルでクアラルンプールに行けるフライトを就航すれば、サラワク州の MM2H の利用者は増えると思います。
2025年は、それほど遠い話ではないです。早急に新航空会社が明確になって予定フライト料金が公開されることを期待したいですね。
参考情報 MASWings
MASwings はマレーシアの地域航空会社。マレーシア航空 (MAS) の100%子会社であり、2007年に設立された。フライ・アジアン・エクスプレスが運航していたボルネオ島のサバ州、サラワク州内のローカル路線に、2007年10月1日より就航している。
ウェブサイトから予約することができるのは東マレーシア圏内に限定されており、西側のマラッカやKLには飛んでいないようです。
2025年からは、西マレーシアへのフライトを期待したいところ。
サラワク州が保有するといっても、資本はカザナ・ナショナル (Khazanah Nasional Berhad) が支配しますから、不採算で経営できなくなるような事態に陥ることは考えにくいです。現在、カザナ・ナショナル は馬国内の多くの交通網の運用会社の株主であり、経営難に陥った市営交通会社を買い取って救済するなどの役割を果たしてきていて、安定感は抜群です。
最後まで参照いただき、ありがとうございます。この件は新たな情報が入り次第お知らせします。
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