大阪万博マレーシア館で盗作疑惑が炎上

馬国

盗作疑惑は、どの時代にもつきまとう問題です。

筆者が企業の役員をしていた頃、社内の刊行物を発行するためのアシスタントとして外国人のデザイナーを短期雇用したことがあります。このアシスタントが数年後に著作権を主張し始めて思いも寄らぬトラブルになりました。

そのデザイナーが主張したのは、単に、人員数を示すグラフに使われた、人型を模したパステルカラーの図案についてでした。外部の資料やメディアでも広く使用されているデザインです。そのデザイナーだけのアイデアとは到底認識できない。

人の形を使ってに員数を表しているチャートは世の中にいくらでも出ています。

ところが、そのデザイナーは契約期間終了後に、なんと筆者が所属する企業の「社長」に対して人形グラフのデザインについて「著作権侵害」の抗議文を送りつけ、使用料として法外な金銭の支払いを要求してきました。

慌てて、デザイナーの派遣元の会社に電話して事なきを得ましたが、社長には呆れられ、企業弁護士からも厳重注意を受けました。。

この記事は、日本の大阪万博がこういった類の盗作疑惑の舞台となった事例です。

炎上記事の概要

【速報】マレーシア貿易産業省、大阪・万博2025のパビリオン設計盗用疑惑を調査中

マレー・メール/2025年4月26日(土)午前11時09分(マレーシア時間)発

Miti, accused of stealing concept and design for Malaysia Pavilion in Osaka’s Expo 2025, says probing claim
PETALING JAYA, April 26 — The Ministry of Investment, Trade and Industry (Miti) today said it is investigating claims ma...

【ペタリンジャヤ】マレーシア投資・貿易・産業省(Miti)は本日、大阪で開催されている2025年万国博覧会(大阪・関西万博)におけるマレーシア館のコンセプトとデザインを、あるクリエイティブ・エージェンシーから無断で使用したとの告発について、調査を進めていると発表した。

この疑惑は、インスタグラム上でフェイ・イリヤス(@feyilyas)氏が投稿した内容をきっかけに拡散されており、広く注目を集めている。

Mitiは26日付の簡潔な声明の中で、「SNS上の個人による告発に関して、事実関係の収集と確認のため、現在徹底的な調査を行っている」と明らかにした。

同省は、「当省はこの問題を極めて深刻に受け止めており、必要に応じてすべての法的権利を行使する用意がある。Mitiは常に最高水準の誠実性と法令遵守を重視しており、必要と判断されれば法的措置を講じる」と強調した。

声明では、告発者や関係するエージェンシーの名前は明かされなかったが、フェイ・イリヤス氏の投稿では、政府が同社のコンセプト、テーマ、物語構成、建築の手法などを「無断で、対価を払わず利用した」と非難している。

投稿の中でフェイ氏は、「私たちのチームは認可の取得を支援し、国際級のパートナーを紹介して、マレーシアの万博参加の基盤を築いた」と主張。

さらに、「小さな会社である私たちにとって、この規模のプロジェクトで正当な評価を受けることは、評判を築き、新たな機会を得る上で大きな意味があった。しかし実際には、私たちの仕事は盗用され、出典の紹介もされず、報酬もなかった」と述べた。

また同氏は、「沈黙を守らなければ次の仕事の機会を失うと告げられた」と主張している。

「しかし、沈黙と搾取、恐怖の上に築かれた未来に意味はあるのか?私たちは声を上げることを選んだ。なぜなら、尊厳はチャンスよりも価値があるからだ」と投稿を締めくくっている。

東京オリンピックのエンブレム問題

2015年7月、日本のクリエイティブディレクターのデザインが大会の公式エンブレムに選ばれましたが、これがベルギーのとある劇場のロゴのデザインに酷似しているとの指摘を受けたことがあります。

デザイナーは「ベルギーの劇場ロゴを参考にしたことはない」と反論しましたが、同じデザイナーがデザインし、国内の大手企業がプレゼント企画で配布していたトートバッグにも盗用の疑惑が噴出。大手企業はバッグの配布を中止し、デザイナーの事務所はウェブサイトで、「スタッフが他人のデザインをトレースしていた」として謝罪しました。。

オリンピック組織委員会は同年9月に問題のエンブレムの使用中止を発表。エンブレムの選考をやり直し、全く別のデザインの採用が決まっています。これは、オリンピックの開催前に解決した事例です。

J-CAST ニュース 2021.07.23 08:00

創作の価値が見直されている

デザインや創作において「オリジナリティ」とは何か、それがどこまで守られるべきかは、今や世界共通の課題です。大阪万博のような国際的イベントでさえ、こうした疑惑が持ち上がるのは、裏を返せば創作の価値が高まっている証拠でもあるでしょう。

小さな発信者や個人の努力が正当に評価されるためにも、透明性と敬意のあるクリエイティブの姿勢が、今こそ求められているのではないでしょうか。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。

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