マレーシアのEPF制度に危機?(全国紙の報道)

馬国

この記事の Eye Catch 画面は馬国政府の公式EPFサイトのカバーページです。

高齢化が進む馬国ですが、退職準備金の不足が問題となっており、退職後の年金の支払いについて全国的な不安が広がっています。

この記事は、馬国でマレーシア国民を雇用する日本の企業や個人の皆さんへの情報として提供するものです。

EFP制度については、この記事の後半に英語版の Wikipedia の内容を編集してまとめてありますので参照願います。

EPF (Employees Provident Fund) は「民間企業」の従業員・労働者が加入する年金制度ですから、馬国民の6割を占める公職員の年金とは異なります。

したがって、EPFの問題は、国民の過半数であるマレー人の公務員とは無関係であり、ある意味では非マレー系国民の利害の話とも言えます。

しかし、公職にいるマレー人が比較的インテリ層で、公職に付けないマレー人や、華人、インド人、そして外国人から見た場合、馬国の強制的な拠出制度であるEPFの貯蓄額の不足は深刻な問題です。

日系の製造業などで働くマレーシア人はいずれ定年となり、退職することになる。  写真は envato elements のイメージ写真 (all rights reserved)

但し、EFPそのものは、いわゆる退職後の「年金」だけを手当てする貯蓄制度ではないので、年金的な運用以外の目的(例えば、家の購入、医療費、投資)に活用できていれば、年金としての引き出しがほぼゼロでも良いという加入者も居るのかもしれません。

日本企業が馬国で現地法人を設立した場合、このEPFは国の法律として給与から天引きしなければなりません。EPFの現状と馬国の各従業員の考え方についてよく話し合っておく必要がありそうです。

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馬国のEPF制度に何が起きているのか?

新聞報道(malay mail)

クアラルンプール、11月29日 –

退職が近い54歳のEPF加入者について、本年1月1日の時点で、合計94,827人の従業員積立金(EPF)加入者の貯蓄額がRM10,000未満であった。54歳の加入者274,715人のうち約35%を占める。(副財務大臣のスティーブン・シム氏、下院での質疑応答)

「54歳の加入者の内、RM10,000ないしはそれ未満を保有している加入者は高い割合(35%)ながら、総額RM2.6億の貯蓄でしかない。一方で、一人あたりRM100万(貯蓄)を保有している54歳の加入者は僅か2%の4,877人だが貯蓄の合計はRM79億である」と述べた。

EPFの貯蓄不足の問題は深刻なレベルにあり、9月30日の時点で、55歳未満の加入者630万人のうち48%が、口座にRM10,000未満しか残っていないことを明らかにした。(財務省による議会への書面での回答による)

財務省によれば、貯蓄額RM10,000未満の加入者は、退職後20年間の年金額は月額RM42未満になってしまうと予想。

財務省はさらに、Account Iからの追加引き出しが、長期的な影響として、EPF加入者の退職貯蓄を大幅に減少させる可能性があると付け加えた。

malay mail 2023.11.29
EPF運用組織の本拠地であるKWSPビル ( source : wikipedia “Employees Provident Fund” )

KWSPの公式サイトから

EPF公式サイト

この文章は馬国政府がアップしているEPFの公式サイトにある英文の説明文です:

Employee Provident Fund (EPF) について

EPF は、世界で最も古くからある年金制度の一つです。1951年に設立され、マレーシアの労働者が従業員年金制度法1991年に従って退職金を蓄積できるように支援しています。

今日、EPFは、時代に適応するだけでなく、すべての加入者にとってより良い退職生活を創造するために、ビジョンの洗練を続けています。これにより、加入者の貯蓄を保護し、優れたサービスを提供することに注力しています。

加入者のより良い未来の実現を支援するという主要なビジョンに加えて、加入者の退職貯蓄を保護し、成長させながら、国家インフラ開発支援という任務も拡大しています。

EPF管理組織は、加入者の立場に立って customer first 的な取り組みを行っている。右下にはチャットボットが有る。 公式サイトより

参考  EPFについて(Wikipedia情報)

以下の文章は英語版の wikipedia から引用していますが、読みやすくするために、パラグラフの順番を調整したり、表現を日本的に改訂しています。(筆者)

従業員積立金(EPF;マレー語:Kumpulan Wang Simpanan Pekerja 略してKWSP)は、財務省管轄の連邦機関のひとつ。マレーシアの民間部門の労働者・従業員のための強制貯蓄制度と退職計画制度を管理している。

EPFへの加入は、民間部門に勤務するマレーシア国民に義務付けられており、非マレーシア国民の場合は任意。

2020年12月31日現在、EPFの資産規模はRM998億(US$238億)に達し、アジアで4番目に大きく、世界で7番目に大きい年金基金となった。

法制化と運用の歴史

1951年10月1日に、郵政局長の管轄下で、従業員積立金令に基づいて設立された。(1951年のEPF法)。

1982年にEPF法1991が制定され、従業員と雇用主が退職貯蓄に貢献することを義務付け、従業員が退職時またはそれ以前の特別な目的のためにこれらの貯蓄を引き出すことを可能にしている。

EPFは、民間部門の従業員が生涯を通じて給料の一部を貯蓄できるようにすることを目的としており、主に退職資金として、また、従業員が一時的にまたは完全に働けなくなった場合にも使用される。

また、EPFは、雇用主が従業員に対して法的・道徳的義務を果たすための枠組みを提供。

2012年現在、EPFは、各加入者の月給の最低11%を拠出金として貯蓄口座に保管することを義務付け、同時に加入者の雇用主はさらに加入者の給料の最低12%(給料がRM5,000未満の場合は13%)を貯蓄に拠出することを義務付けている。

EPF貯蓄(ファンド)は、管理組織による投機的運用が許されている。収益性が高い企業への投資として使用された場合、配当金が各加入者の口座に預けられる。

貯蓄の引き出しルール

EPF貯蓄口座に蓄積されたお金は、加入者が50歳に達したときに引き出すことができる。その際、55歳までの加入者はEPFの30%を引き出すことができ、55歳以上の加入者はEPFの全額を引き出すことができる。

加入者が移住した場合、障害者になった場合、または不可欠な医療処置が必要になった場合にも引き出しが可能。

55歳以上の加入者は、EPF貯蓄をすぐに引き出さないことを選択し、後で引き出すこともできます。また、ガイドラインに基づいて、雇用主は、独自の裁量で加入者の給料の12%を引き続き拠出することができる。

写真はイメージ  envato elements (all rights reserved )

複数口座制

2007年1月1日から、加入者のEPF貯蓄先は、2つのアカウントを構成するようになった。

Account I は、加入者の月々の拠出金の70%を保管し、Account II は、30%を保管。

Account I は、身体障害・国外移住・死亡時などの緊急の引き出しを保証するため、加入者が50歳に達するまで凍結される。

Account II からの引き出しは柔軟であり、加入者の最初の家の頭金またはローン決済、教育費および医療費の資金、投資のための引き出しが可能。尚、加入者が55歳に達した時点で自由に引き出しできる。

がちで起業の本編でも触れましたが、こういった国内法は頻繁に改訂・変更されるので、公官庁と自由に連絡が取れて情報を吸収できる会計士か会計係を雇うことは、馬国でも企業活動において非常に重要なポイントです。 

社外コンサルと契約しているだけでは、日々の雇用管理や給与の支払いの細かな注意点まで気が付かないものです。

最後まで参照いただき、ありがとうございました。

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