筆者が馬国のオンライン記事を参照して、紹介・開設してきたのは、基本的に保守系のオンライン報道であり、より民衆の声に近いのは Free Malaysia Today ですが、
今回、サラワク沖の海域の領有権を争う中国と馬国の静かな衝突を取り上げた
と称する報道局については、筆者、しっかり認識しておらず、馬国情勢のモニタリングが不十分だったと反省しております。
10-Dash Line と言う領海のマッピングをご存知でしょうか? これは中国が2009年あたりに独自に公表し始めたマッピングで。中国が領有権と資源の所有権を主張しているものです。ここに wikipedia からマッピングを紹介します。
このマッピングは、当時 9-Dash Line として公表され、国際紛争となったため、国際裁判での裁定(いわゆる arbitration )となり、中国以外の西側諸国とアジア圏では、「違法」とされています。
ところが、中国側は、後にこの 9-Dash Line に台湾沖の領有権も含めて、新たに 10-Dash Line と称して、再度所有権を主張しているわけです。
マレーシア政府にも、「中国の領域で資源採掘をするな」と抗議文が出ていますが、馬国の各オンライン報道では、このことは公表されておらず、
唯一、馬国外務省から講義文をフィリピンのメディアに漏洩したことが発表されています。
こちらの記事です。
巨額の汚職事件で逮捕・監禁されたナジブ前首相の政権依頼、馬国は、日本離れが著しく、最近はパレスチナ問題もあって米国とも若干の摩擦を生じています。
馬国の人口の3割が中華系民族であることもあって、最近の馬国はとても中国寄りになっているわけです。
アンワル政権も中国との外交については異常なまでに気を遣っていて、中国との衝突があるようなそぶりは全く見せていません。
現在の中国の国内経済の状況や、一帯一路構想の行くさきが不透明な今、中国と馬国との関係がうまく継続して行くかどうか?若干の疑問があります。
Malaysianow の報道は、隠された本質を明らかにしてくれています。今後はこのオンライン報道にも注目していくつもりです。
中国がサラワク州沖の領海を強調
- China warns Malaysia to immediately cease activities in oil-rich waters off Sarawak, says report
- MalaysiaNow September 3, 2024 3:07 PM
中国は、南シナ海における領有権問題を巡り、サラワク州沖の石油資源が豊富な海域でのすべての活動を即時停止するようマレーシアに要求した。これは、アンワル・イブラヒム首相が大国である隣国を宥めるために柔らかい外交姿勢を見せる中で行われたものである。
この要求は、先週、中国がマレーシア大使館に送った抗議文書の内容であり、フィリピン・デイリー・インクワイアラー紙がその文書を公開したもの。
文書には、マレーシアが中国の “10-dash line” に含まれる地域に侵入していると非難されている。この “10-dash line” は、南シナ海における中国の領有権を示す論争の的となっているマッピングである。
こちらの日系のオンライン報道を参照ください。
さらに、中国政府はルコニア礁付近でのマレーシアの石油・ガス探査活動に不満を表明している。ルコニア礁はマレーシアでは「ググサン・ベティング・ラジャ・ジャルム」として知られているが、中国では「南康暗沙」や「北康暗沙」と呼ばれている。
(クコニア礁は、サラワク州北部のミリの北西70〜80km 沖あたりに位置する)
この活動地域はサラワク州からわずか100km、そして中国本土からは約2,000km離れているにもかかわらず、中国は領有権を主張している。
インクワイアラー紙は、「中国側は、マレーシアに対し、中国の領土主権および海洋利益を真摯に尊重し、上記の活動を直ちに停止するよう再度強く求める」という中国外務省の抗議文を引用する形で伝えている。
Malaysianow は、マレーシア外相のモハマド・ハサンにコメントを求めている。
マレーシアと中国は、南シナ海を巡って領有権を主張している7か国のうちの2か国であり、その他にはブルネイ、台湾、インドネシア、フィリピン、ベトナムが含まれる。
中国は、この海域における軍事力を強化し、南シナ海全体に対する領有権を確立しようとしている。
マレーシアの国営石油会社ペトロナスは、排他的経済水域およびルコニア礁で事業を展開しているが、中国はこの地域を “9-Dash Line” に基づく領土として主張してきた。この “9-Dash Line” は後に “10-dash line” に改訂され、台湾近くの追加領域を含む形になった。
この “9-Dash Line” は、2016年にハーグの常設仲裁裁判所が「違法」と裁定している。(The nine-dash line had already been declared illegal in 2016 by the Permanent Court of Arbitration in The Hague.)
アンワル首相は柔軟路線
一方、アンワル首相は中国を「真の友人」と称し、同国の強硬姿勢を和らげようとした。
「世論はマレーシアの経済成長について、これを中国に悪用され、中国から搾取されるべきではないと言うが。私はこれを否定している。むしろ、私たちはお互いに利益を得たいし、学び合いたい。この関係から利益を得たい」
これは、6月20日の中国首相李強氏を訪問中のアンワル首相のコメントである。
しかし、首相は、昨年南シナ海における中国の領有権主張について「交渉する用意がある」と示唆したことで、国内外から非難を浴びている。
「マレーシアはこの地域を自国領と見なしているため、ペトロナスはそこでの探査活動を続ける」と、アンワル首相は中国への公式訪問後にマレーシア議会で述べた。
「しかし、中国がこれを自国の権利と感じるのであれば、マレーシアは交渉に応じる用意がある」とも付け加えたのだ。
野党・国民の声は?
この発言に対して野党は即座に反発し、ムヒディン・ヤシン前首相は、中国が主張しているからといって、マレーシアの領土権は交渉の余地がないと述べた。
ペリカタン・ナショナルの議長は「首相の発言は、国家主権に対する脅威のリスクを招くものである」と指摘している。
マレーシア外務省は、アンワル首相のコメントは、南シナ海に関連するすべての問題が平和的に解決されることを望んでいるという意味だと説明している。
9月5日の首相談話
9月5日の馬国の malay mail によるオンライン報道によると、
9月5日 — マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、本日、北京がマレーシアがその領土を侵害していると主張している件について、「マレーシアは南シナ海での石油とガスの探査を中止しない」とコメントしました。
ロシアへの公式訪問中に発言したアンワル首相は、マレーシアの探査活動はマレーシアの領土内で行われており、中国に対して挑発的または敵対的な意図はなく、両国は友好関係にあると説明してます。
MalaysiaNow
以下はMalaysianow のオンラインサイトに掲載された説明文章です。
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編集部 Abdar Rahman Koya
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