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マレーシアの公共交通機関は改善を見せてきてはいますが、要所から要所への接続の利便性については、まだ課題が残っています。日本のようにすべての電車の駅にうまくバスの停留所があるわけではないです。つまり「ハブ」になっていないのです。
場合によっては、駅を降りてから延々と歩かなければ目的地に着かないという呆れた都市交通構造に出会います。移動時間は長く、電車やバスの時刻表からの遅延も頻繁。
結果として、多くの馬国人や観光客は自家用車やレンタカーでの移動を選択します。
マレーシアでレンタカーを利用すれば、公共交通網のスケジュールに縛られず、馬国の全てを自分のペースで見て回ることができるのです。睡眠さえとっていれば、24時間好きな時に移動できます。
唯一の例外は、都市の中心部です。中心部は車で溢れていますから、渋滞が大きな社会問題になっています。しかし、市街地を離れれば、馬国はドライブ環境として「おすすめ」の国と言えます。
レンタカー契約の段取りと注意点
馬国ならではの準備も必要です。
必要書類
マレーシアでレンタカーを借りる際には、一例として、以下の書類を準備してください。但し、馬国の法律はしょっちゅう変わりますから、事前にレンタカー業者に問い合わせてダブルチェックしてください。
- 日本の運転免許証
- 身分証明書(パスポート)
- 本人名義のクレジットカード
- 国際運転免許証(IDP)
通常、レンタカーを借りるには、年齢が23歳以上(州によっては21歳以上)で、運転免許証を1年以上保持している必要があります。年齢制限については最寄りのレンタカー会社に電話して確認願います。
ドライバーは、有効な運転免許証、パスポート、クレジットカードを提示して支払いを行い、デポジットを預ける必要があります。
* デポジットの金額はレンタカー会社によって異なりますが、一般的にはRM500(約14,000円)程度です。
* クレジットカードは、デポジットの支払いと保証金として使用されます。デビットカードは使用できない場合がありますので、事前に確認してください。
* 国際運転免許証(IDP)は、自国の運転免許証と一緒に提示する必要があります。有効期限が自国の運転免許証と同じであることを確認してください。
もちろん、既にマレーシアの運転免許を取得している方は、免許証だけで借りられます。パスポートは一応持っておく必要があるでしょうが、国際免許よりずっと簡単になります。
自動車保険
通常は衝突被害軽減保険 (CDW = Collision Damage Waiver) など、1 つまたは複数の保険がすでにレンタカー料金に含まれています。
CDW は、事故や盗難で車を損傷した場合に、修理費の一部または全額を補償する保険です。ただし、CDW にも例外(免責)があります。例えば、タイヤの損傷や車の内装の損傷は、CDWの対象外です。また、事故や盗難があなたの過失によるものである場合も、CDWは適用されません。
CDW の他にも、盗難防止保険 (TP) や第三者責任保険 (TPL) など、さまざまな種類の保険があります。レンタル会社によって提供される保険の種類は異なるので、事前に確認することが大切。
- CDW の料金は、車種やレンタル期間によって異なります。
- CDW に加入すると、デポジットが必要になる場合があります。
- CDW の免責額(足切り)は、通常は RM1,000 (約 28,000 円) です。
- 自分のクレジットカードに付帯しているレンタカー保険を利用することもできますが、補償内容を確認し、十分理解した上で利用するべきです。
できればレンタカーを予約する前に、契約書を読んでおくべきです。追加の保険を追加したい場合は、クレジットカード会社に補償内容が重複していないか確認すると便利です。クレジットカード会社が事故発生によるレンタカーの損害を補償している場合があります。
恥ずかしながら、筆者はレンタカーの契約書は読んだことがありません。但し、10年間利用してきましたが、契約面でのトラブルは何もありませんでした。
ダッシュボードに置くべき書類
運転中は、有効な運転免許証、パスポート、登録証、保険証など、すべての書類を車内に保管してください。交通警察に止められた場合、必要なものをすべて提示します。パスポートを所持することを忘れないでください。
* マレーシアの交通警察は、運転免許証とパスポートのチェックをよく行います。常に携帯するようにしましょう。
* 当然ですが、90日を超えて滞在する場合は、ビザの申請が必要です。移民局ではないから、大丈夫ということは一切無いです。
忘れがちな装備のチェック
熱帯雨林気候の馬国では、霧(きり)が出る場合、かなりの濃霧になる場合があります。
レンタカーにフォグランプが搭載してあるか確認してください。無いと濃霧の時に前が見えなくなります。
予備のタイヤ付き車輪と、交換のためのツールがそろっているでしょうか? ハイウエイでパンクしたり、バーストした場合に助けを延々と待つよりは自分で車輪交換をした方が早い場合がほとんどです。
速度制限と左側通行
マレーシアの高速道路(エクスプレスウェイ)の最高速度制限は時速110km/hです。山道や住宅地付近の道路では、最大時速90km/hで、 市街地の最高速度制限は時速60km/hです。マレーシアのあらゆるタイプの道路には頻繁に速度計測カメラが設置されているため、速度制限を遵守するようにしてください。
速度超過違反の罰金は、違反の程度によって異なりますが、一般的にはRM300(約$72)程度です。
一部の高速道路区間では、試験的に最高速度が時速120キロメートルに引き上げられています。ただし、これは一部の区間だけであり、一般道では適用されません。
日本人にとって有利な点は、マレーシアは(英国の占領地であった関係で)左側通行であることです。
道路標識・ロードサイン
マーシアの道路標示は、日本のものとよく似ているので、直感的に理解しやすくなっています。速度表示も km/j (つまり時速)なので、頭の中で換算する必要はないです。
しかし、Berhenti (止まれ)など、マレー語の文字列は慣れていないと、戸惑います。
Wikipediaの Road signs in Malaysiaで予習できます。必ず運転前に確認しましょう。
特に注意して予習しておくべき文字列があります。
- AWAS 注意(さまざまな注意書きの冒頭にある表示)
- BERHENTI 止まれ(一時停止)
- KULANGKAN LAJU 速度を落とせ
- IKUT KIRI 一番左の車線で走れ
- BERI LALUAN 合流・譲れ(ゆずれ) Give Way
- KANAK KANAK MELINTAS 子供が道路を渡るので注意
- JALAN SEHARA 一方通行
- PERINGATAN 最高速度遵守
- LENKONGAN 迂回せよ
馬国人のドライブマナー基礎知識
国が違えば、習慣・文化も違います。日本人から見て異常なことも、馬国では常識です。
方向指示
馬国人は、追い越し時に方向指示ランプ(ブリンカー)を使いません。
後ろを走っている車が、自分の車を追い越すかどうかについては、常にバックミラーで確認しながら、追い越しの意志があるかどうか「感じ取る」ように運転します。
また、ハイウエイの右車線を早めのスピードで走る車が、ブリンカー無しで自分の車の前に入って来ることもありますので、これもやはり予測運転をします。基本的には自分より早い車が右車線から自分を追い抜いた場合は、自分の前に入って来る意志があるかどうか「感じ取る」必要があります。
慣れてしまえばどうということもありません。筆者は運動神経が良いほうではありませんが、馬国ハイウエイでは一度も事故はなく、ニアミスもありませんでした。
尚、日本では「ウインカー」という用語がありますが、外国では「ブリンカー」です。日本語の「ウインカー」は、外国人には余り良い意味で伝わらないのでご注意ください。
あおり運転・ハイビーム
日本で運転していて、誰かに「あおられた」という方はけっこう多いはずです。
マレーシアでは、日本のように前方車両を「あおる」という事象は在りません。少なくとも筆者は一度もそういう経験はありませんでした。そういう意味では馬国のドライバーはマナーは良いです。(追い抜いたり割り込んだりする時に方向指示さえ出してくれれば・・・)
次にハイビームの話題です。日本で昼間でも夜間でも、ヘッドライトをハイビームにするのは勇気がいります。自分の車だけならいいですが、他の車が近くにいる場合は、かなり強い意思表示ですから、相手を間違えるとトラブルになることがあります。
馬国でハイビームを使うのは、対向車にスピードトラップの存在を知らせる場合だけのようです。その他は、あまり規則性もなく、意思表示に使うことは無いようです。
追突や事故
マレーシアは交通事故の多い国です。
しかし、筆者が10年もの間この国で運転して感じることは、この国は「事故が多い」のではなくて、「運転が下手で知識不足なドライバーが多い」ということです。
日本のドライビングスクールで免許を取得したドライバーが運転するかぎり、交通事故に遭う確率は極めて低いと言えます。何故なら、車間距離の取り方、追い越し方、タイヤの養生等、日本人ドライバーはよく訓練されているからです。
前後を走っている車が「おかしい」と感じたら、充分車間距離を取ればよいのです。日本でよく教習している「予測運転」が出来ていれば事故に遭うことは無いです。
筆者の知る限り、日本人が馬国内で交通事故を起こした事例は、10年で1度だけ有りました。
その方は、何かの悩みで泥酔して自暴自棄になって市街地でスピードを出したので、他の車と何度も接触したということでした。車は破損したようですが、命は落としていません。
不正確な道路標示「あと〇〇km」
馬国のハイウエイを走っていると、頻繁に「目的地への距離」の表示を通過します。これらの表示は、その表示の場所から主要な都市までの距離を km で表示するものです。
そこまでは日本の表示と全く同じですが、馬国の場合、これらの距離表示はかなりの確率で間違った数字を示しています。(この10年ぐらいで決定的に改善されたのであれば別ですが)
目的地までの距離や走行時間の計算は、ナビを使って確認すべきです。
路上での取り締まりと罰金
馬国の法律はよく変わりますから、法規や罰金については、できるだけ馬国人から情報を聞いておくと良いでしょう。
筆者は、1999年後半から2006年まで馬国の道路をあちこち走りまわって、いくつかの罰金を課せられた経験がありますので、参考までに紹介しておきます。
Uターン禁止
「ついうっかり」というより、「えっ、ここUターン禁止なの?」という経験がありました。Uターン禁止の表示は見ればわかります。
検問は運転席からわかないように、隠れて行っている場合があります、Uターン直後に警官が出てきて「はーい、こちらです、ぞうぞ」という感じです。正規の罰金を課せられる場合と、その場で示談で済む場合がありますが、もちろん示談は違法です。
スピード違反
日本のように、センサーやカメラで確認されて、直後にある検問ポイントで止められるというパターンは殆ど無く、ひたすら「センサーと写真」で書面で摘発されます。
自分でスピード違反した記憶が無くとも、警察からは郵送で住所に送られてきます。(もちろんこれは、自家用車を運転していた時期)
酒気帯び運転
知り合いからの情報です。彼は、検問で酒気帯びをチェックしているような場面で捕まりました。酒気帯びの検問は夕刻から夜にかけて、高速道路でも行っています。ランダムに止められて、息を吹き込む計測器でチェックされます。20年前だったと思いますが、罰金は500RMぐらい取られたそうです(チケットです)。酒気帯びはレンタカーでも同じ刑罰になるので、要注意です。如何にして家まで帰ったかはご想像にお任せします。
呑みすぎて酩酊して運転することは絶対に避けてください。自殺行為です。
駐車違反
マレーシアは人口密度の低い国ですので、都会の道路でもある程度スペースがあります。明らかに駐車禁止の場所に止めると違反チケットを切られて車のワイパーに挟まっています。これは日本や北米と同じです。
参考資料 車の数、交通事故による死亡者数、等
人口1000人当たりの車の数について馬国と他の国々を比較した資料
国名 | 1000人当たりの車の数 | 調査年度 |
マレーシア | 542 | 2021 |
シンガポール | 149 | 2022 |
日本 | 661 | 2023 |
米国 | 908 | 2023 |
中国 | 221 | 2022 |
英国 | 600 | 2022 |
イタリア | 755 | 2022 |
タイ | 280 | 2022 |
交通事故による死亡者数の統計
国名 | 10万人当たりの死亡者 | 10万車当たりの死亡数 | 調査年度 |
マレーシア | 23.6 | 29.8 | 2016 |
シンガポール | 3.6 | 20.2 | 2013 |
日本 | 4.1 | 5.7 | 2016 |
米国 | 12.9 | 16.1 | 2021 |
中国 | 18.8 | 104.5 | 2016 |
英国 | 2.9 | 5.7 | 2019 |
イタリア | 5.2 | 6.3 | 2019 |
タイ | 32.7 | 60.2 | 2016 |
マレーシアは交通事故の多い国と言わざるをえません。このテーブルではタイに続いて第二位の死亡者数です。但し、事故を起こしているドライバーは相当質が悪いという事実は否めません。日本の教習所で免許を取った方は自信を持って運転して良いと(筆者は)おもいます。このリストで、最も死亡者が少ないのは英国、シンガポール、日本です。
休憩所や料金所で見かける表示も知っておくと便利です。
最後まで参照いただき、ありがとうございました。
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