この記事は、本編【MM2H体験】の詳細記事です。「おすすめ」のまとめ記事はこちらです。
馬国で暮らす人が必ず目にする公共の場所でのドアの開け閉め用の表示があります。ノブがついたドアが少ない馬国では、古くから「押す」と「引く」のどちらかの表示をドアに貼り付けるのが生活文化です。
日本人にとっては、親切なはずのこのドア表示(押す・引く)のマレー語は、とても厄介なものです。
なぜなら「押す」は tolak、「引く」は tarik なので、どちらもTで始まってKで終わるので、どっちが押すのか(引くのか)ピンとこないのです。
筆者も馬国の古い公共施設やデパートなどのスイングドアの前で何度も立ち往生したものです。
このように英語や中国語と併記してあれば便利なのですが、このように親切に併記してあるドアは殆どありません。ほぼ100%がマレー語であり、ドアには、tolak か tarik のいずれか一つしか表示されていないのです。
この悩ましい問題を解決する特効薬があります。それが テータリク(マレー語で Teh Trik, 英語では Pulled Milk Tea )なのです。
テータリクは、馬国を代表する飲み物で、ミルクティーではあるものの、突出した特徴があります。
濃い茶葉を熱湯で抽出した紅茶に蒸したコンデンスミルクを注ぎ、スチール製のジャグを上下させて、原液を上から下に落下させながら混ぜ合わせることで作られます。
ジャグからジャグに紅茶を「ひっぱる」( Tarik する ) ので Teh Tarik という呼び名になったわけ。(英語では Pulled Milk Tea )
この動作によって、熱い原液がある程度冷めると同時に、茶葉の成分がしっかりとコンデンスミルクと融合して、独特の風味と濃厚な味わいになります。出来立てのテータリクは「泡立っている」のも大きな特徴です。
これを読んだ方は、もう馬国のドアの表示で困らないはずです。
来歴
テータリクは、19世紀にマレーシアに移住してきたインド人によって作られたと言われています。
当時、インド人労働者たちは、仕事中に飲むために、濃い茶葉を熱湯で抽出したもの( black tea つまり濃い紅茶)を持ち歩いていました。しかし、熱いまま飲むと喉が焼けてしまうため、コンデンスミルクを注ぎながら混ぜ合わせることで、冷たい飲み物にしたのがTeh Tarikの始まりです。
テータリクは、マレーシアの国民的飲料として、今では世界中に広まっていて、日本でも、マレーシア料理店やアジアンカフェなどで、Teh Tarikを味わうことができます。
テータリクはマレーシアだけの飲み物ではありません。シンガポール、ブルネイ、インドネシア、タイなど、マレーシア周辺の国々でも飲まれています。また、イギリスやオーストラリアなどの海外でも、マレーシア料理店やアジアンカフェなどで提供されています。
作り方
コンデンスミルクがあれば、家庭でも簡単に作ることができます。スチール製のジャグの代わりに大きめのマグカップ(スチール製)を使うと良いです。紅茶用の茶漉しフィルタも必要。( Tea Bag でも良いかもしれません)
【材料】
- 茶葉 2g (種類はお好みで)
- 熱湯 200ml
- 牛乳 スプーンで数杯(缶入りのコンデンスミルクが最適)
- 砂糖 適量
【手順】
- スチール製のジャグか大きめのカップに茶漉し用のフィルターを置いて茶葉を置いてから熱湯を流し込みます。専門店では、同じ茶葉が乗った茶漉しフィルターに紅茶を2から3回繰り返して通しています。
- コンデンスミルクを別のスチールジャグにに入れて、砂糖を加えます。これが最初に受ける側のジャグになります。
- 上記1のジャグから原液を、2のジャグに「上から落とすように」流し込みます。
- 続けて2つのジャグを交互に上下させて、79から80cm程度の上下差をつけてミルクティーを落下させると同時に受け止めて混ぜます。これを3回から4回程度繰り返します。
- ジャグが一つの場合は、もう一つはジャグの代わりにマグカップなどを使います。
重力を使って混ぜることの効果
テータリクの魅力は、独特の風味と濃厚な味わいです。茶葉の成分がミルクに溶け込むことで、コクのある味わいが生まれます。また、スチールジャグを上下させながら混ぜ合わせることで、茶葉とミルクがよく混ざり合い、よりまろやかな味わいになるのです。
2018年の馬国内のテータリクのチャンピオンシップのオンライン記事(News Straits Times)が参考になリます。動画もありますので、ぜひこちらから参照ください。
テータリクは最高の「おすすめ」
テータリクの年間売り上げ規模は、2023年時点で約6億リンギット(約160億円)です。これは、マレーシアの飲料市場の約2%を占める規模です。Teh Tarikは、マレーシアで最も人気のある飲み物の一つであり、街中の屋台やレストランで販売されています。
筆者は、テータリクは「甘すぎる」のであまり飲みません。別途記事にしたのですが、筆者の一押しは「砂糖少なめの紅茶」という意味で テー・オー・クランマニスです。(ただし、これは、あくまで筆者の趣味です・・・ただの紅茶でしかありません)
ですが、馬国一般では、このテータリクこそが人気の飲み物とされていますし、推奨する人も多いので、ここで紹介しています。
中国茶はあまりにもバリエーションがありすぎて、「これだ」というものが特定できませんし、他に「これ」という馬国を代表する飲み物が見当たらないのです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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