【MM2H情報】ソーシャルメディアはライセンス制へ

馬国

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この記事は、本編【MM2H体験】の関連記事です。馬国の「おすすめ情報」まとめ記事はこちらです。

2024年7月のインフルエンサーの死亡事件や、ネット犯罪として詐欺の横行などが馬国民の生活不安となっていて、政府は喫緊の課題として取り組んできています。

今回は、ソーシャルメディアの利用者に対する法的規制(といっても軽犯罪法ぐらいに止まりますが)だけでなく、ソーシャルメディアを提供するプラットフォームの運用団体に対する法的規制の強化の話になります。

まず最初に、馬国における2024年現在の各OSP (Online Service Provider) 利用者数を100万人単位でまとめてみます。右手に日本の利用者数を置きました。

プロバイダ利用者(馬国)利用者(日本)
TikTok2926
Facebook2313
WhatsApp21n.a.
WeChat20n.a.
Messenger12n.a.
LINE1092
Telegram6n.a.
X (ex-Twitter)559
2024年7月現在。生成AIによるネット情報の集約結果。n.a. の部分は利用者が少ないために人数の公表がなされていない

出典は以下の通り

日本では、Xを筆頭にLINE と TikTokに利用者が集中しているようですが、馬国の利用者数の上位は TikTok, Facebook WhatsApp, WeChat の順位で、Xの利用者数は最下位です。

7月14日に紹介しました、30最大の女性インフルエンサーがサイバーブリイング( Cyberbullying, ネット上でのいじめ行為)の被害に遭い、絶命するというショッキングな事件が起きてから、馬国は OSP の悪用に対して厳しい法的規制を検討し始めています。

ファーミ・ファジル通信大臣はOSPの代表との対話を通じて、OSP側への規制の検討に入ってたわけです。

遂に、馬国政府は、来年1月を目処に、OSPのライセンス制度を施行することを決めたようです。このことの発表はマレーシアのネット民に少なからずショックを与えたようですが、ユーザー側は、OSPを使うことが許可制になるのではないかと勘違いしたようで、大手のメディアは、その誤解を解消する記事をオンラインで出しています。

発表された法的規制の概要とネット民の反応をまとめました。以下は頻繁に出てくる略語です。

  • SMW = Social Media Website (ソーシャルメディア・ウェブサイト)
  • IMS = Internet Messaging Service(インターネット・メッセージング・サービス)
  • OSP = Online Service Provider(オンライン・サービス・プロバイダー)

新たな法的規制

1. FacebookやXのような SMW、およびTelegramのような IMS は、今後ライセンスを申請する必要がある。但し、ライセンスが義務付けられるのはユーザーが800万人以上のOSPに限られる。

Xはユーザー数が800万人に達していないため、非該当。Facebookは約3000万人のユーザーがいるため、該当する。

2. 該当するOSPがライセンスを取得期限は2025年1月1日であり、規制に違反した場合は、違法な運営とみなされる。

3. 新しいライセンスは、1998年(つまり既存)の通信およびマルチメディア法に基づくアプリケーションサービスプロバイダークラスライセンスと見なされる。

4. 一般のユーザーはこれらのサービスやウェブサイトを利用するためにライセンスを申請する必要は無い。利用者は今まで通り自由に利用可能。

5. ライセンス制が登録されているOSPの場合、ユーザー側の利用内容によっては、(扇動法、通信・マルチメディア法第233条に違反する発言など)「違法」と見なされ、利用者としての責任を負うことになる。

代表的な報道内容

Don’t panic, Malaysians! The govt isn’t taking your internet away

Malay Mail Tuesday, 30 Jul 2024 2:16 PM MYT

マレーシア通信・マルチメディア委員会(MCMC)が IMS や SMW にライセンスを要求することを発表したことを受けて、利用者の反対意見や懸念がネット上で飛び交っている。

多くの反応はやや過剰であり、大部分は情報不足や報道内容を誤解している。もしくは、記事や政府の声明文をよく読んでいないで発言している可能性がある。

正しく理解すべき事実は次のとおり;

  • 政府の規制で Facebook や TikTok のサービスが停止に追い込まれることはない
  • ユーザー側である利用者がライセンスを取得する義務は無い
  • 今回の法改正により、たちまちユーザーの利用に影響することは無いが、不注意ではいられなくなる。(前述の扇動法などに触れる行為は違法とされる)

法規制の背景と深堀り

Malay Mail 紙は、上記の報道の中で、ある代議士(下院議員)が自身の X への投稿の中で次のように深堀してくれています。この規制が意図するところは、(代表的な内容として)該当する OSP が以下を遵守することである;

  • 政府の規制対象は、あくまで違法行為であり、OSPは違法な内容がアップされないように留意することが義務化される
  • OSPがインターネット上で自身の IMS や SMW を運営するは、もとより許認可(つまりライセンス)が必要だった。だから、ライセンス制は「新法」などではない。
  • 西暦2000年に発令された規制免除の恩恵を受けて、各種コンテンツの運営側はライセンス取得を免除されていただけなのだ
  • 政府は、この規制免除の条例を改定する形で、ライセンス制度を2種類のOSPに対して義務化する。その2種類とは Social Media と Instant Messaging だ
  • マレーシア国内で8百万人以上の利用者が登録しているOSPは、現地法人(現地に登記された会社)が必要であり、その現地法人がライセンスを取得する義務がある。

この規制が意図するところは、(代表的な内容として)該当する OSP が以下を遵守することである;

  • 未成年者・障害者などを保護する仕組みが有ること
  • AIによる生成コンテンツを管理できる仕組みが有ること
  • 即時的で効果のあるコンテンツの審査や管理が行われること
  • 明朗な苦情処理の手順が整っていること

こういった規制はマレーシアだけのユニークな行政内容ではなく、他の国にはもっと厳しい規制がある例もある。

現状のままでは、人々が世間に公表する言動やコンテンツに対してOSPの運営母体は、全く責任を負っておらず、説明責任すら負っていないのが問題となっている。

出典:Xへの投稿文、シャハレザン・ジョハン下院議員(バンギ選挙区代表)

最後まで参照いただきありがとうございます。

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