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馬国の保守路線による治安維持政策と、世界最先端のネットメディア企業の間に新たな不協和音が響き始めています。
このブログでも紹介してきましたが、最近のソーシャルメディアの利用者が過激になってきた関係で、インド系の若いインフルエンサーが自死するという痛ましい事件を受けて、
馬国政府は、大手ソーシャルプラットフォームのライセンス制度を強化する方針を決定し、来年にはライセンス制度に基づく規制が施行される運びです。詳しくはこちら
グーグル、アマゾン、アップル、グラブ、ブッキング・ドットコムといったテック企業や、メタ、X(旧ツイッター)、LinkedIn が共同宣言として、「やりすぎだ、不透明だ、もう投資しないぞ」と発言してきているわけですから、
政府もこれを「既読スルー」するわけには行かなくなりそうです。
今まで、マレーシアの大手オンライン報道を見てきましたが、政府施策について、大手ソーシャルメディアがこれほどまでに批判的だという話は一つも出てきていませんでした。
Malaysianow の報道を軸に、今後の展開をフォローすることにします。
ソーシャルメディアがライセンス制度に “NO”
- Global tech firms, social media giants reject Putrajaya’s licensing plan
- MalaysiaNow August 26, 2024 7:06 PM3 minute read
世界を代表する超大手インターネット企業各社が、マレーシア政府が計画するソーシャルメディアプラットフォームのライセンス化および規制案に対して批判を表明している。
企業側は、この動きについて、明確なロードマップを欠いているということと、ビジネス活動を続ける上で(理不尽な)負担になると指摘している。
「ライセンス制度は、我々の業界にとって実現不可能な制度であり、商業活動に過度な負担を課すことになり、結果としてイノベーションに悪影響を与えると考える。複雑な取り決めやコンプライアンスのためのコストが投資を阻害し、今後の(マレーシアへの)海外投資を妨げることになるだろう」
アジア・インターネット連合(AIC)
否定的な声明を発しているのは、アジア太平洋地域で活動する主要なインターネットおよびテクノロジー企業を代表するアジア・インターネット連合(AIC)だ。グーグル、アマゾン、アップル、グラブ、ブッキング・ドットコムといったテック企業や、メタ、X(旧ツイッター)、LinkedInといったソーシャルメディアプラットフォームを代表している。(Asia Internet Coalition (AIC) represents leading internet and technology companies operating in the Asia-Pacific region.)
AICはアンワル首相に対し公開書簡を送付し、計画に関する協議が行われていない点を批判している。
書簡では「重要な議論が欠けているため、我々の業界は、規制(義務)の範囲や、プラットフォームの登録条件について大いに不透明感を感じている。現状では、どのプラットフォームもライセンス登録を期待されるべきではない」と述べている。
この書簡は、マレーシアのファーミ通信相およびマレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)の会長にも送付された。
AICは、マレーシアのデジタル経済がGDPの23.2%を占め、約50万人の雇用を提供していることをプトラジャヤに再認識させ、「政府が提唱している規制は、この勢いを損ない、不確実性を生み、投資家の信頼を損ねる可能性がある」と警告している。
政府がこの物議を醸す計画を発表した際、オンライン上の危害、例えばサイバーブリング、詐欺、ヘイトスピーチに対処することが目的であると主張していた。
しかし、AICは、提案されたライセンス化には明確性が欠けているとし、影響を受ける業界がその影響を十分に理解するための時間が不足していると指摘しているのだ。
「マレーシア政府には、ライセンス制度が自国の経済目標と一致するのかどうか再考いただき、(中略)関係業界との本質的な協力体制を検討することを強く推奨する」(AIC)
国民の声
アンワル政権が進めるソーシャルメディアプラットフォームのライセンス化と規制の計画は、政治的な dissent(異論)を抑制する動きの一環と見なされ、人権団体からすでに非難の声が上がっていた。
6月には、権利擁護団体「Lawyers for Liberty」がこの動きを「公論を抑圧する現在のトレンドの延長」であり、「権威主義政権が伝統的に用いる手法」と批判している。
政府の動き
ここから先の記事は革新系オンラインメディアである Malaysianow 独自の見解が色濃く表現されてます。他の新聞記事とは異なる内容です。
ライセンス計画の一環として、政府はコンテンツを即時削除する「キルスイッチ」の導入や、政治的なコンテンツも規制するためのコンテンツコードの導入を提案しているとされている。
政府は、既に、ニュースサイトやブログのブロックを続けており、YouTube、TikTok、X、Facebookなどの主要なソーシャルメディアプラットフォームに対し、政府を批判するコメントの削除を要請している。
今年初め、マレーシア政府はMCMCを通じ、TikTokに対し、政府に批判的な動画の削除を要請したことを認めている。
2022年11月の政権交代直後、政府は反対派支持者による広範な使用に不満を示し、TikTokに強い圧力をかけている。
ソーシャルプラットフォームの反応
他のプラットフォーム、例えばX、YouTube、Facebookは、表現の自由に関する方針に基づき、政府の「コンテンツ削除要求」を繰り返し拒否している。
メディア担当大臣に任命されて以来、ファーミ・ファジルは報道機関に対する措置で批判を浴びてきている。
昨年6月、MalaysiaNowは予告なしに48時間ブロックされた。同様に、TV PertiwiやUtusan TVのウェブサイトもブロックされ、元国会議員のウィー・チュー・キョンが運営するブログも同じ運命をたどった。
これら一連の報道機関に対する措置の結果、マレーシアは年間の世界報道自由指数で、昨年の73位から34位下落し、107位となった。
AICは、インターネットベースのメッセージングプラットフォームに対するライセンス化の試みは、投資家に誤ったシグナルを送り、新規参入者を遠ざける結果になると警告している。
最後まで参照いただき、ありがとうございます。