マレーシア政府:パレスチナ安全保障と反イスラエルの動き

MM2H

この記事は、本編【MM2H体験】の詳細記事です。

この記事のアイ・キャッチ画像(上)は、 Wikipedia に掲載された直近のガザ地区の写真(出典)です。

2023年10月に勃発したHamasによるイスラエル攻撃を受け、イスラエルの報復攻撃の激化が予想される中、マレーシア国は副首相や外務大臣があいついで「パレスチナ救済」を訴える動きを見せており、その意味で、イスラエルの軍事行動に明確に反発する姿勢を見せています。

米国の親イスラエル政策の影響下にある日本の立ち位置を考えると、今後の日馬両国の関係に微妙な影響を及ぼしかねない報道が出始めています。

そして、マレーシア政府の動きは日本ではまだ全く報道されていません。

この記事では、去る10月16日の全国紙 The Star の記事全部を翻訳したものを紹介します。この報道によれば、馬国外務大臣はUAEの外務大臣やトルコの外務大臣に呼び掛けて、パレスチナ人の安全と保護を提唱しており、イスラエルの軍事的動きを牽制しています。ハマスの攻撃に対する直接的コメントはマレーシア政府からは発せられません。

ここで紹介する新聞報道でも、「イスラエルの空爆」が出発点として記載されており、ハマスは登場しません。このあたり、馬国政府の立ち位置と報道管制の影響をうかがい知ることができます。

マレーシアがイスラエル地区での紛争に参戦するような兆候は全くありませんので、そのあたりは安心できそうです。ただし、最悪の自体として今回のイスラエル紛争が世界戦に拡大する場合、マレーシアはパレスチナ保護の立ち位置から「反イスラエル」の立場になります。

Note : 新聞社の方針により、翻訳した記事の原文はアクセスがブロックされています。また、この記事の写真は全てWikimediaのライセンスで転載が許されたものです。リンクを貼っています。参照する場合は、右クリックして「リンクを新しいウィンドウで開く」を選択してください。

全国紙 The Star の報道

The Start online : Monday, 16 Oct 2023 8:25 PM MYT

アブダビ: イスラエルによるガザ地区での空爆によって10月7日以来、2,670人のパレスチナ人が殺害されたとの情報があり、現地の保健省は750人の子供が死亡し、9,600人の負傷者が発生したとの声明を日曜に発表した。

マレーシアのザンブリ外務大臣(Datuk Seri Dr Zambry Abdul Kadir)は去る日曜、ガザ地区での紛争のエスカレーションの緩和や市民の保護に向けた取り組みについて、アラブ首長国連邦(UAE)とブルネイの対応外交大臣との電話会談を行った。

UAEの外務大臣Sheikh Abdullah bin Zayed Al Nahyanとの通話においては、両大臣は現在の(パレスチナ-イスラエル)危機の安全保障と人道的な配慮が協議され、被害を受けた市民に救援と医療支援を安全かつ迅速に提供する筋道についても話し合われた。

エミレーツ通信社(WAM)によれば、「両大臣は、現在の危機を収拾し、地域の不安定化に繋がる過激主義、緊張、暴力を終結させる努力の重要性を強調した」と報じられている。

(中略)

大臣はまた、トルコの外交大臣、Hakan Fidanとの電話会談を行い、両者はサウジアラビアのジッダでの会合に期待しており、ガザへの人道支援の可能性を話し合った模様。

大臣は「我々はパレスチナ人に尊厳と尊重をもって接するべきという感情を共有している。イスラエルによる継続的な残虐行為は止める必要がある。マレーシアとトルコは、パレスチナ人を支援するためにできる限りのことをする。」と付け加えた。

国際連合事務総長、António Guterresとの会話についてコメントした際、ザンブリ大臣は、特にガザ地区の人道的ニーズに対処する際に、マレーシアの支援を提供する用意があると述べた。

The Start online : Monday, 16 Oct 2023 8:25 PM MYT STAR紙の情報管理により、同じ記事へのアクセスはブロックされています。原文(英文)が必要なかたはお問合せフォームから連絡先をいただければ応答致します。
写真の出典 (Source)

写真は新聞記事のものではありません。近日のガザの被害を掲載したWikipediaの写真です。

パレスチナ国とパレスチナ人 (Palestinians)

紹介した新聞報道のポイントはパレスチナ被害です。以下パレスチナについての Wikipedia の情報です。

パレスチナ国は、1988年11月15日に初代大統領のヤーセル・アラファトがパレスチナの独立宣言を発表し、パレスチナ国を国号として定めた。1993年にパレスチナ自治政府が発足して、長らくイスラエルに占拠されていたパレスチナでパレスチナ人による実効支配が始まった。2012年11月にはそれまでの組織としてではなく、国家として国際連合総会オブザーバーとして承認された。

現在、パレスチナ国(State of Palestine)は、地中海東部のパレスチナに位置する共和制国家。国際連合(UN)には未加盟であるが、2021年時点で138の国連加盟国が国家として承認している。領土はヨルダン川西岸地区およびガザ地区(パレスチナ領域)から成り、東エルサレムを首都として定めている。

パレスチナ人は、パレスチナ地方に居住するアラブ人を独立した民族として捉えた場合の呼称。

欧米からのユダヤ人の再入植活動が本格化する以前から、パレスチナ地方に居住していたアラブ人を指す。東ローマ帝国治下のヘブライ人(ユダヤ人)やサマリア人などの子孫がアラブ人の征服によって次第にイスラムに改宗し、言語的にアラブ化したのがパレスチナ人の起源であるが、ローマ帝国による征服以来、大国の版図内に組み込まれ続けており、3大陸の結節点に位置するため人の往来や戦役も多く、さまざまな民族と混血している。

Wikipedia パレスチナ国
Wikipedia Palestina

南西部の小さめの地域がガザ地区であり、紛争はこのあたりで激化した。

外務大臣どうしの微妙な関係

Datuk Seri Dr Zambry Abdul Kadir

(source)

(1962年3月22日生)

マレーシアの外務大臣(政治的にはアンワル首相の派閥に与して来た) 上記の報道に登場するUAEやトルコの外務大臣よりも年上ではある。

Sheikh Abdullah bin Zayed Al Nahyan

(Source)

アブドゥッラ・ビン・ザイード・ビン・スルタン・アル・ナヒヤーン(1972年4月30日生まれ)は、アラブ首長国連邦(UAE)の外務大臣。UAEの創設者、ザイード・ビン・スルタン・アル・ナヒヤーンの息子。2020年に、UAEを代表して「アブラハム・アコーズ」の署名者でした。

補足: 「アブラハム・アコーズ」とはアラブ・イスラエル間の正常化を合意すべくイスラエル、UAE、バーレーンによる2020年9月15日の署名合意。(米トランプ大統領が仲介している)

Hakan Fidan

(Source)

ハカン・フィダン(1968717日生)はトルコ国の戦闘員、学者、官僚、外交官を経て現在のトルコ国外務大臣となった人物。今年いっぱいのこの外相の動きに注目すべきです。

補足: Wikipediaによれば、UAEは、イスラエルと和平合意した経緯もあり、親イスラエルで、Hamasには敵対的、逆にトルコはカタールに次いでHamasを指示(対イスラエル)する立場にある。

報道内容からの読み取り

馬国外務大臣は、親イスラエルのUAEとの交渉においては、紛争そのものを問題視することがポイントであり、イスラエルとパレスチナという固有名詞は出て来ません。

一方、反イスラエル系のトルコとの交渉経緯になると、明確に反イスラエル色が表面に出ており、

「イスラエルによる継続的な残虐行為」という明確な発言は印象的です。

馬国がイスラム圏であるという立ち位置も当然ありますが、マレーシアの場合は、反イスラエルを最前面にするのではなく「パレスチナ人の安全保障」を最優先に発言していることがポイントです。

馬国では既に別の記事で副首相がパレスチナ人の安全保障に触れており、今後は継続してパレスチナ保護の姿勢を貫く外交を続けることになります。

新聞記事には出てきていませんが、マレーシアとトルコ、そしてマレーシアとカタールの関係にも注目すべきです。カタールはハマスを強く指示しており、ハマスの強力な資金源です。

液化天然ガスの液化技術の提供やLNGの輸入などで馬国やカタール国と経済産業系の結びつきが強い、日本の岸田首相が、イスラエル寄りともハマス寄りとも確言できないのもわかるような気がします。

最後まで参照いただき、誠にありがとうございます。

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