【MM2H情報】知っときたい 馬国政府と議会<3>

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この記事は、本編【MM2H体験】の関連記事です。馬国の「おすすめ情報」まとめ記事はこちらです。

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マレーシアの国会(議会)について、前回までにご紹介してきましたが、今回は、日本の国会との違いを見てみたいと思います。

日本も馬国も「両院制」ですが、それぞれ歴史的な背景が異なるので、両院の建て付けや役割にも違いがあります。

そこで、両国の議会の成立由来、議会の人数と選挙、立法手順の3つの視点から比較した結果を紹介したいと思います。

今回は、現在の国会の成立由来、議席数、そして選挙を特集します。立法手順は次回とさせていただきます。

議会発足の経緯

馬国の国会を設計したのは、英領マレーシアのからの独立(1957年)に先立って英国女王の管理下で召集された立憲委員会である「レイド委員会」(レイドは委員長出会ったスコットランド人の政治家の Lord Reid)。

このレイド委員会( Reid Commission )が起草したマレーシア国憲法に、馬国国会の起源があります。

国会のモデルは英国国会であり、当初から両院制( bicameral parliament )を取り、英国の選任方法を基盤に、ひとつめの議会は直接選挙、ふたつめの議会は国王の指名により選抜される建て付けとなった。

マレーシアは独立当初より「連邦国家」(つまりスルタンが支配する複数の州の集合国家)であったので、上院には州議会から選任された代表が席を置くこととなったわけです。

独立後の最初の総選挙は1959年に行われました。つまり、正式にマレーシア国会がスタートしたのは独立から2年後でした。(それまでは別の連邦立法委員会が立法府であった)

日本の議会政治については、詳細は割愛しますが、1874年以降の自由民権運動、翌年の立憲政体の詔書、1881年の明治天皇による国会開設の詔を経て、1889年の明治憲法によって初めて両院制帝国議会が規定され、1890年に、「貴族院多額納税者議員選挙」と「衆議院議員総選挙」が実施されたあたりが来歴です。(馬国議会開始の70年前)

現在の日本国会は、1946年の日本国憲法以降の立法機関であり、民選議員による衆議院(帝国議会より維持・引継された下院)及び参議院(廃止された貴族院に代わる上院)の両院で構成する国会が規定され、翌1947年に第1回参議院「通常選挙」と第23回衆議院「総選挙」が実施されています。(馬国の最初の民選選挙の12年前)

日本には天皇制がありますが、戦後の憲法においては、天皇の立法権や勅令などの取り決めは象徴的な存在だけに縮小され、さらに、貴族階級を対象としていた上院の選挙も完全に民選選挙に変わっています。

一方、馬国上院は発足当初から現在に至るまで、国王陛下による上院議委員の選任制度が残っています。ここがポイントです。

議会の人数と選挙について

選挙区と議席の関係を比較してテーブルにして、主な相違点を確認していきます。

下院( house of representatives, lower house )

馬国日本
議会名Dewan Rakyat衆議院
議席222465
選挙区Federal Constituency小選挙区+11地方
選挙制度単純小選挙区制小選挙区比例代表
選挙区の数222289
比例代表数0176(11の地方)
任期5年(解散オプション)4年(解散オプション)
被選挙資格18歳以上25歳以上
選挙権18歳以上18歳以上
wikipediaからの情報を集約した結果
日本の衆議院(ウィキペディア「衆議院」より)

議席数について、両国の人口を分母に代表規模を比較すると

人口と下院議席数議員の平均代表人数
馬国3,400万人から222議席15万人に1人の代議員
日本1億2,500万人から465議席25万人に1人の下院議員
wikipediaからの情報を集約した結果

ただし、日本の場合は、参議院も民選選挙なので参議院の248名を加算すると、代議員の総数が713人となるため、17.5万人に1名の国会議員ということになります。(1990年代は選挙区の関係で衆議院は最大511人となった経緯がある)

馬国に federal constituency (222)に該当する日本の小選挙区は 289 であり、馬国より67区ほど多い。

日本の比例代表で適用される地方区分は北海道と東京都を含めて11区分。

マレーシアの州は西マレーシアの半島では11州、東はサバ・サラワクの2州。この他連邦特別区が3つある。

比例代表の地方区分を仮に「州」として見た場合、その地理的配分は、北海道、東北、北陸信越、東京(単独)、北関東、南関東、東海、近畿、中国、四国、九州の11区分となる。

ウィキペディア「衆議院」より抜粋

以上が、下院の単純比較です。

次に上院を比較します。

上院( upper house )

英名:マレーシアはSenate、日本は House of Councillors

馬国日本
議会名Dewan Negara
(元老院)
参議院
議席数70248
選抜と選挙国王と州議会による
選抜人事
全国区と選挙区の
2層構造
議席区分44(国王)
36(11の州議会)
100(全国比例代表)
148(選挙区)
任期3年6年(半数交代制)
被選挙資格30歳以上30歳以上
選挙権民選ではない18歳以上

同じ上院ではあるが、馬国の元老院と日本の参議院は、議員選抜の方式が全く異なるもので、

馬国の元老院が(首相の提案を含む)国王と州議会の「選任」人事である一方、日本の参議院は、衆議院とほぼ同等の全国民による選挙(通常選挙)で選ばれる。

任期については、馬国の元老院(Senator)が3年と短期間であるのに対して、日本の参議院は解散の影響を受けない6年の任期である。ただし、日本の参議院は3年ごとに半数を対象に通常選挙を行なっている。

共通している部分は、上院議員の年齢制限で、両国とも、上院議員は30歳以上としています。

筆 者
筆 者

馬国の元老院は日本の上院と比較して、圧倒的に議席数が少ないですね。しかし、Senatorは、民選ではなく国王と州議会による指名人事であるだけに、下院議員や国民も、無視できませんし、経験豊富な政治家が着任する場合が多いようです。

読 者
読 者

参議院の場合、全体の議席のうち、100議席は全国の有権者が、一斉に立候補者の個人名や政党名を選抜するのだから、「全国民意」という意味で重たいですね。もちろん人気投票的になってしまうというデメリットもありますが。

こちらは日本の参議院本会議場(ウィキペディア「参議院」から)
筆 者
筆 者

馬国の場合は、英国による統治時代の政治思想を反映して、非常に高いレベルの指導者の意図が反映される上院だけれども、日本は、天皇とか総理大臣といった特定の人物の影響が無い純粋な民意を問う選抜方式です。それだけに投票率が低いのは好ましくないわけですね。

立法手続きについての上院と下院の関係等については、次回の紹介記事で取り上げます。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

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