この記事は、本編「MM2H体験」の関連記事です。
馬国は、独自の歴史的な経緯から、東(イースト)と西(ウェスト)の2区画の分割統治が続いています。
実は、外国人の滞在許可も分割統治されているので、夫々が治外法権になっているのです。
そして
今、East Malaysia (東馬圏)とWest Malaysia(西馬圏)の間のMM2Hの制度設計上の大きな違いが話題になっています。
東馬圏と西馬圏(連邦政府)が別々のMM2H制度を運用しているためにVISAの承認条件に大きな格差が出来てしまったのです。
ご参考まで、2023年のサラワク州(東馬圏内)独自ののMM2Hの月次の承認件数のトレンドは次のとおり。
承認期間 | サラワク州での承認件数 |
2007~2020年 | 10 |
2021年 | 2 |
2022年 | 34 |
2023年(7月現在) | 58 |
半年強で58件です。年末には100件を超えそうです。
この記事では、海外投資団体のIMIがネット上に展開している辛口のMM2H評論(原典は2023年8月19日の英文)を紹介します。
IMIは企業ではなく、日本の財団法人の国際版のような団体です。詳しくはこちらを参照下さい。(筆者は所属してはおりません)
編集者は Christian Henrik Nesheim さんです。
尚、「東馬圏」と「西馬圏」という単語は筆者が独自に使っている単語です。悪しからずご了承ください。
東馬圏の利用者が激増した経緯
以下はIMIのネット上の記事です
条件が厳しくなった西側のMM2Hの「申請数」が90%減少を見ているのに対し東側(サラワク州)独自のMM2Hが躍進している。
ボルネオ島に位置するサラワク州とサバ州は、1963年のマレーシア連邦政府への併合以来、東側独自の移民政策を保持。
連邦政府のMM2Hが、2019年から2021年の運用中断施策を経て、新たに厳しい投資要件を設定して不評を買っているのに対し、サラワク州はこの制度変更に追従しなかった。
As Malaysia’s Federal MM2H Withers Under Stricter Rules, Sarawak’s MM2H Sees 2,800% Increase in Approvals – IMI – Investment Migration Insider (imidaily.com)
よって、条件格差が出来てしまいました(記事ではドル評価になっています)
管理主体 | 定期預金額 | 最低滞在日数 | 国外所得 |
連邦政府 MM2H | $215,000 | 90 days/year | min.$103,000 |
サラワク MM2H | $ 32,000 | 30 days/year | min.$ 18,000 |
このことから、プトラジャヤ・バージョンよりも遥かに緩やかで申請者に優しいサラワク型MM2H制度が大きく躍進する結果となったわけです。
今年の予想承認数は700人!馬国内どこでも居住可能
IMIのネット記事を続けます
IMIがサラワク州の観光省(Ministry of Tourism)から得た情報から、2023年7月末までにサラワク州政府は406名の申請を承認。本年度末には700人になる見通しとのこと。
月あたりのサラワク州の平均承認人数は、たった2年間で2800%も増大した模様。
(中略)
サラワク型MM2Hの利用者は同州に30日滞在しなければならないが、滞在VISAそのものはマレーシア全土で有効だ。つまり、利用者はマレーシアの何処にでも居住できる。
As Malaysia’s Federal MM2H Withers Under Stricter Rules, Sarawak’s MM2H Sees 2,800% Increase in Approvals – IMI – Investment Migration Insider (imidaily.com)
西側のMM2H利用者が東に移動?
MM2Hの代理人協会のアンソニー・リュウ会長によれば、2019年以後、多くの代理人が協会から姿を消している。
同会長が現地の報道機関に説明したところによれば、サラワクのMM2Hへの申請者の多くは西側の「条件厳化が無ければ西側で申請するはずだった」利用者だという。
同上(IMI記事)
馬国のMM2H利用者が海外へ離脱する懸念も
会長はさらに、サラワク州政府に対し、現在の承認期間である6か月をの短縮することを要請。
「承認が早まればマレーシアMM2H利用者は申請してくるだろうが、6か月を超える待ち時間がかかるようだと、他の国のロングステイに利用者が移動してしまう。」
と述べた。
同上(IMI記事)
馬国担当大臣は、西側MM2Hの条件緩和を検討していると公言したが、その内容は、いまだ漠としたままです。
筆者は東馬圏には何度も渡航しましたが、全て仕事でしたし、訪問先も工業団地でした。
観光地としてのサラワク州というのは記憶がありません。
サラワク州に30日滞在するというのも今一つピンときませんが、しかし定期預金額や海外所得の条件の違いは圧倒的ですね。
西馬圏の制度設計の見直しを待ちましょう。