アイキャッチ画像は日本の川崎駅の駅ビル(Wikipedia)
この国に長期滞在した方なら、既にご存知のはずです。都市部の「ファースト・アンド・ラストマイル」問題は都市計画に含まれる公共交通網の計画ミスと言われていて、都市部に住む住民だけでなく主要都市を訪ねるドライバーから悪評を買っています。
単純な計画ミスです。公共交通として沢山の電鉄開発を実現したにもかかわらず、電車の駅に降りてもバス停がなく、駐車場も無い。利用者は直射日光に晒されながら目的の商業ビルや住宅まで歩かなければならないのです。これでは交通渋滞は減りません。
クアラルンプール特別区においては、ついに政府は「駅ビルを住宅にする」開発計画に着手します。日本では一般的な駅ビルは馬国ではあまり観られません。今後は、都市部の電鉄路線の主要駅に大きなアパートや共同住宅を建設するというわけです。
住民は車を使うことなく、住居からエレベーターで降りてすぐに電車に乗る生活を検討することになります。
2025年6月5日の報道より
政府、駅ビル住宅を検討 交通渋滞緩和を目指す

【ペタリンジャヤ】馬国政府は、都市部の交通渋滞を緩和するため、鉄道駅の上空スペースに住宅を建設する計画を検討している。アンワル首相が5日、明らかにした。クアラルンプール市庁(DBKL)と連携して検討を進めており、実現には関連規制の改正が必要になるという。

首相はフォーラムで、「この計画には公共住宅と民間住宅の両方を含む」と述べた。
陸兆福 (Loke Siew Fook)運輸相も、この取り組みを「大きな政策転換」と位置づけており、LRTやMRTの駅周辺に手頃な価格の住宅を建設することで、自家用車への依存を減らし、住宅の価格も抑える狙いがあると語った。
- LRT : Light Rapid Transit
- MRT : Mass Rapid Transit
「住宅・地方政府省と協議しており、実現すれば自動車利用を大幅に減らす効果が期待できる」
陸大臣はまた、駅周辺開発における駐車場設置要件の見直しも進めているとし、「(居住区が)鉄道駅と一体であれば駐車スペースを減らせる。開発コストも下がり、住宅価格も抑えられる」と説明した。
プラサラナ社の社長兼グループよると、同社は駅近隣の土地を活用した手頃な価格の住宅開発を進めているという。
Prasarana Malaysia Berhad(プラサラナ)は、マレーシアの財務省によって設立された政府所有の会社で、1957年の「財務大臣(法人化)法」に基づいて法人化された。これは、政府が都市の公共交通システムを再編する動きの中で、マレーシアのマルチモーダルな公共交通事業者の資産を保有するために作られた会社。Konsortium Transnasional Berhadと並んで、マレーシア最大級の公共交通会社のひとつ。(Wikipedia “Prasarana Malaysia Berhad”)
「保有する15区画のうち、7区画はすでに開発中。これまでは最高額の商業案件を優先してきたが、現在は方向転換し、高層の手頃な価格の住宅を重視している」と語った。
残る8区画についても、この新たな方針の下での活用が検討されている。
ドローン輸送は優先事項ではない
将来的な交通手段に関する話題では、陸大臣はドローン輸送について「現時点では優先事項ではない」と述べた。
「ドローンによる移動はまだ初期段階。技術、規制、運用など多くの課題がある」とし、現在は旅客・貨物ドローンの試験が行われているが、「当面の焦点は地上交通にある」とした。
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