この投稿は、本編「がちで起業」の詳細記事(成功事例)です。
もしあなたが馬国でひとり(あるいは少人数)で起業して物品の取引業を目指すのであれば、ここで紹介する取引は初心者にお勧めの取引です。※
馬国内の日系企業の「資産売却」(あるいは処分)を支援する仕事です。
ポイントは
■ 日系企業を客先として、日本品・海外品を扱う(高品質)
■ 物品の製造元とのパイプ役となって意思疎通(付加価値提供)
■ 産業廃棄物やスクラップの取引はしない(競合が乱立)
何故これが良い仕事なのか?どのような事例があったか説明します。
※充分な資本を持って大きな取引を始める事業家の方はこの記事は読み飛ばしてください。
不要になった固定資産は隠れた商材
充分な資本を持たないで起業してしまった筆者は物品の取引業に参入しても全く話になりませんでした。商品を一旦買い取って在庫管理ができないと信用取引が始められなかったのです。
ところがひとつだけ(自己資本無しで)ある程度利益を見込める商材が見つかりました。
日系企業の事務所・出張所で不要になった有形固定資産です。
馬国に進出してくる日系や外資の事業体は、事業展開を進める中で必ず「不用品」に手を焼くことになります。こういった不用品の中には充分に商品価値のある機器や道具が含まれます。
事業体にとってこれらの不用品は邪魔です。早く処分したいのですが、日本のように回収業が発達していない馬国では処分に困ってしまうのです。売却元が手間をかけて減価償却しているような固定資産です。
営業活動としては、普段からに日系企業との接点を持ちながら、こういった不用品の売却処分を引き受ける用意があることを伝えておけばよいのです。顧客からは歓迎されますし、思いのほか利益率の高い取引になったりします。
日系企業の馬国支店や出張所は品質の良いオフィス機器や道具を扱います。これらは馬国内では中古品として充分取引可能なのです。
売却元は、早く処分したいので、条件もゆるやかになります。例えば処分する資機材の輸送費なども請求書や領収書があれば、売却元の経費処理として扱ってもらえるので、受け取る側の経費負担は限定的になります。
取引事例
筆者が直接・間接的にかかわった固定資産
■ 工事現場で使う道具類(日本・海外のブランド品)
■ 通信機器(無線機)
■ オフィス機器
扱えない範囲もあります。
■ 自動車(レンタカー利用が主流なので資産にはならない)
■ 鉄製品のスクラップ(ライセンスが必要、かつ取り扱いが困難)
■ 危険物
対象は絞られますが、小規模な自営業が扱う商材としては充分です。
売却先は、馬国内の信用あるバイヤーです。バイヤーといっても、一般の事業者や個人でよいのです。
日本のメルカリのような事業です。郵便や宅急便では送りにくいサイズ、重さ、あるいは操作手順が複雑な機械が商材になります。
いわずもがなですが、取引の実行は「買い手」が見つかって合意が出来てからにしましょう。写真撮影は必須です。現物を見せてから取引すべきです。
操作の難しい機器や備品は技術支援が必要
筆者が取引した中で最も高価であったのは「自動溶接機」です。
この機械が建設現場(屋外が中心)で資材を溶接する作業に使う機械で、技量のある溶接士や作業員の労力を減らして、効率的に溶接作業を行う簡易ロボットした。
売却を希望したのは日系企業、ロボットの製造元も日系メーカーでしたので、馬国内の関係業者はすぐに興味を持ちました。
購入前の「取り扱い説明書」の英訳と質疑応答に手間取りましたが売却額は10万リンギット以上で、筆者はその10%程度の利益を取り、機器の輸送コスト等は実費で回収できました。
輸入品、重量物、スクラップに注意
売却元の日系企業が馬国に輸入したものを扱う場合は注意が必要です。
特に保税扱い(一旦輸入して後に国外で出すことを前提に免税扱いとする場合)の機器や資材は安易に買い取ると違法行為(いわゆる「横流し」)とみなされて膨大な罰金を取られるリスクがあります。
これら保税の物資を扱う場合は、売却元と協力して通関書類を作って正式に輸入通関を行わないと、自由に売却できないのです。つまり、通関手続きを踏めば良いのです。
売却する企業側は馬国の税関での手続き等の面倒が無くなるので助かりますから、このあたりの通関方法は解り易い説明書を用意しておくと取引し易くなります。
高さが3メートルを超えるもの、重さが 2,000Kg を超える物は扱いが難しいので、よほど詳しい仕事仲間がいないかぎり手をださないほうが良いでしょう。
いわゆるスクラップ(廃材)については、馬国内に多くの回収業者が有ります。この部分には触らずに廃材の回収業者に任せましょう。手を出すとろくなことになりません。アンタッチャブルな世界です。
教訓
不用品の回収というと、廃品回収業のように聞こえますが、筆者が推奨する取引は立派な中古販売です。
■ ある程度価値があって資産化しているような商品であること
■ 所有者が日系企業で、商品が日本・外国品であること
■ 品質証明や取引記録が整っていること
■ 取引に馬国のライセンスが不要なもの
に限定されます。
もちろん、廃品や不要品よりは新品を扱うビジネスのほうが立派ですが、そのレベルの商売をするには充分な資本金が必要です。
ポジティブに考えましょう。開業直後の日本人の自営業にとって「不要な固定資産」の取引は穴場なのです。