この投稿は、本編【がちで起業】の関連記事です。
1996年から2006年までの10年を超える馬国内でのビジネス体験を通して、馬国人ビジネスマン、ないしは馬国滞在の日本人が爆笑・苦笑したジョークが3つあります。
インパクトの強いジョークなので、いまだに記憶に残っています。
紹介するジョークは、どれも馬国特有のものです。同じ話を日本で話してもジョークとして受け止めてもらえるかどうか?・・・微妙です。
馬国の文化に慣れ親しんだ人は、すぐに意味が解って笑いますが、始めて馬国のビジネス文化に触れる人からしてみると
「何が面白いの?」と思われるかもしれません。
ひとつは、マレーシア初の宇宙飛行士の話、
ふたつめは、郊外に一人で住む老婆と「神」の対話
最後は、華人のビジネス仲間との食事で飛び出した一発芸
何れも、まったく悪気はないので、拘らずにサラッと受け止めてください。
筆者が独自に考え出した話ではないです。誤解なさらぬようお願いします。
あらかじめ、お願いいたします。これらのジョークは、時と場合によっては不評を招く恐れがあります。 言ってみれば、アングラ・ジョークです。実際にこれらのジョークを口にされる場合は、TPOをご配慮いただきますようお願いします。
(仮想)マレーシア国の初代「宇宙飛行士」の話
この話は1995年に、欧州・スコットランドを郷里とする欧州の有人から直接聞いた寓話です。全てフィクションであり、実在の人物や民族とは一切関係ございません。
西暦XXXX年、遂に馬国は諸外国からの技術移転を受け、同国の最初の月探査ロケットを完成しつつあった。いよいよ馬国から有人ロケットが打ち上げられるのだ。
外国人のエキスパートを指揮する主任飛行士として、マレーシア国籍の人財の選抜が行われ、数千人の候補者からふるいにかけられた飛行士候補が3名選抜された。
3名の優秀な候補者から実際にロケットに搭乗できる名誉ある飛行士はひとりである。
そして、馬国最初の宇宙飛行士を選ぶ大役を、同国の首相であるM氏が担うこととなった。
首相の希望により、面談はひとりづつの対面形式。首相だけが本人と会話する密室で行われた。
最初に部屋に来たのは、インド系マレーシア人であった。卓越した運転技能と、高度な数学の知見でトップの成績を修めた候補者だ。
首相「よくここまで、候補として残ってくれた。これ以降は国益を優先するので民族的な優劣は無しにしたい。」
候補1「公平なお言葉をありがとうございます。」
首相「あらゆるテストや質疑は終っている。私も資料は読んだ。そこで最後の質問として、貴君の報酬額について希望を聞きたい。当然無税である。いくらを希望するか?」
候補1「はい、首相、私はこうみえても科学者のはしくれでございます。機械工学の博士号も持っており、現在の世界のロケット技術も熟知しているつもりです。」
候補1「私は、ぜひ馬国の宇宙飛行士第一号に就任いたしたいのですが、正直なところこのロケットが100%安全とは考えておりません。」
候補1「私が、運悪く飛行中に命を落とした場合を考え、私の妻に百万リンギットの慰労金をお支払いいただきたくお願いします。」
首相「うーん、我が国のロケット技術を疑うとは、不埒な候補者だな。しかし正直なことは評価しよう。百万だな? では控室で結果の通知を待ちなさい。」
2番目の候補者は、馬国内でブミプトラと呼ばれているマレー系の回教徒の候補だ。
首相は、最初の候補者と全く同じ内容を切り出した。
首相「貴君の報酬額だが、いくらを希望するか?」
候補2「はい、私は回教徒ゆえに妻が2人おります、2名に公平な報酬として2百万リンギットを希望します。」
首相「うーむ、2百万か・・・たしかに回教徒である君に妻が2人おられるのは合法である、検討するので、控室でしばし待たれよ」
マレー人が部屋から出ていった。
最後の候補者が部屋に入ってきた。こんどは華人(チャイナマン)である。最初の2名とは違って、華人は独身であった。
首相は、この華人にも最初の2名と全く同じ話を切り出したが、質問は少し内容が変わってきた。
首相「いくらを希望するか?貴君は独身だから妻も子供もいないと聞いているので、これは貴君だけの報酬として考えてほしい。」
候補3「はい、首相、私は3百万リンギットを今回の飛行実験への貢献料として希望します。」
彼の発言が終わる前に、首相は激怒して強い口調で候補者をさえぎった。
首相「ここは交渉の場所ではないぞ! 最初から人の足元をみるやつは信用できん。今3百万と言ったな? 本心かどうか知らんが、もういいから出て行ってくれ」
候補3「これは失礼いたしました」
華人が恐縮しながら席を立って出口に向かって歩きながら、ひとこと
候補3「誤解されていると思いますが、3百万というのは、首相、あなたの取り分を含んで言っているのですが・・・」
密室が一瞬静まり返ると、室内の雰囲気が一変する
首相「ちょっと待て。そこで止まれ。今何と言った? 私の<取り分>と言ったのか?」
候補3「はい、当然です、首相、3百の内の百万は首相にすぐにお渡しします。」
少し間があって、候補者3は席に戻るように指示された・・・
首相「よいか?このことについて、誰にも話さないと約束するなら、前向きに検討しよう。」
首相「ところで、ロケットの発射予定は明後日だが、君はこのスケジュールで出発できるか?」
すると候補3が答えて言った。
候補3「いえ、首相、私はロケットには乗りません。独身ですから百万リンギットで余生を楽しみます。残りのの百万をインド人の飛行士に渡して、彼に飛んでもらいます。さっき話をつけておきました。体調は万全だそうです。」
馬国の人種構成と、それぞれの利権の取り合いと優位性をまとめて表現したジョークです。
愚直で正直なインド人、既得権をめいっぱい行使するマレー人、そして、他者の弱みを見抜いて抜け目なく利益を出す華人の特徴をよくつかんでいます。筆者は、この話をする相手は、非常に親しい華人、そして外国人に限定しています。
筆者は、マレー人やインド人に対してこのジョークを言う勇気は持ち合わせていません。マレーシアをよく知る欧米人は大笑いします。そして、日本人は「?・・・」といった反応が殆どです。勿論ですが、この首相M氏が特定の人物を意図するものではございません。悪しからず。
敬虔な老婆と馬国郵便局(Pos Malaysia)の話
この話は2005年に馬国のラジオ局に送られた馬国内の視聴者の投稿作品です。全てフィクションであり、実在の人物や宗教とは何ら関係はありません。
マレーシアの地方に住む、ある古民家に、ひとりの高齢者の女性がひとりで住んでいた。
彼女の娘は既に結婚していて、別の場所で夫と暮らしている。
あるとき、娘夫婦に子供が生まれることになった。
高齢者の女性(ばあさん)は娘夫婦に何かお祝いをしたいが、まとまった金が底をついていて、娘夫婦にお祝いをすることが出来なかった。
不断から、困ったときは神頼みをしてきた女性は、ダメもとで「神さま」に手紙を出してみる事にした。そして便箋に以下を書き下し、神宛の封筒をポストに入れた。
「
親愛なる 私たちの神にお願いします
私は、これまで悪事を働かず、子を育て、貧しい人には施しをして
正しく生きてきました。しかし、夫は既に他界して、わたはもう現金を使い果たしました。
そして、今、娘夫婦に新しい命が生まれるとき、
残念ながら、私にはお祝いをするお金も残っていないのです。
この私を不憫と思うなら、どうか何がしかのご援助をくださいませ。
100リンギットもあれば充分でございます。もう余命もない老婆の願いでございます。
もちろん、この手紙が届かず、願いが聞き入れられずとも、
けして不平不満は申しません。
ひとこと、最後のお願いをさせて下さいませ。
」
・・・
さて、この封書は、馬国の郵便局である Pos Malaysia の某支部で集められ「宛先不明」の箱にポツリと残った。
Pos Malaysia の支部長は封筒の宛名が「神」になっているのを見て、少し気になり、その封筒を開けて便箋の文章を読んでみた。
内容を読んだ支部長は、しばし考えると、この支部の職員20名全員に電子メールを打った。
「
以下に文面を Copy するが、私は、この老婆を助けたいと思った。そこでどうだろうか?皆さんから一人2リンギットでも1リンギットでもいい
から募金を集めて、集まったお金を老婆の家に届けてあげませんか?
」
すると、3日もたたないうちに、支部長に募金が集まり、全部で90リンギットのお金になった!
そこで支部長は黙って封筒にお金をいれて、老婆の家の古びたポストに封筒を入れておいたのだ。Pos Malaysa の所員は皆このことは黙っていて、老婆が無事に娘夫婦にお祝いができることを祈念したのです。
ここまでは、まあなんとなく、心温まる話です。
・・・
1週間が経ち、Pos Malayss の支部長や所員がこのことを忘れるたころ、また、あの老婆とおぼしき人物から「神様」あての封書が届いた。
支部長は、すこし迷惑に思い出したのだが、
現金を入れた封筒を個人に渡したという事実もあるので、何かのトラブルになってはしないか心配になった。
そこで、所属員を呼んで、皆が見ている前で封書の中身を読み上げた。
そこにはこう書いてあった。
「
親愛なる 私たちの神に感謝申し上げます。
お金を届けていただいたので、娘夫婦にお祝いができました。
なんといってお礼を申し上げて良いかわかりません。
そして娘夫婦もこのことは涙を流して喜んでくれました。
私たちは、これまでどおり、正しく正直に生きていきます。そして
神のご加護は本当にあることをこの奇跡のはなしとともに人々に伝えていきます。
最後にひとこと、申し上げなければなりません。
言いたくは無かったのですが、だまってはおれないのです。
せっかくあなた様から頂いた100リンギットが私のポストに届く
ときには、既に90リンギットに減ってしまっておりました。
つまり あの いまいましい Pos Malaysia が10%もの手数料を無断でむしり取っていたのです。
」
いかに信心深く生真面目な人物であっても、ひとたび「お金」の取り合いになると、本性を現してしまうという人間の一面を表していると当時に、
何かの仲介をする立場の人間が、手数料や仲介料として法外な金額を「ピンハネする」という行為をよく耳にする現代社会への痛烈な警鐘となっています。
華人の商売仲間との会食話
最後は、もっと「肩の力」を抜いた話です。
筆者は、何度となく、馬国の華人の商売人たち(いずれも自営業)と一緒に馬国内を旅して、客先に会いにいったり、いっしょに銭儲けをしようとしていました。(全てうまくいきませんでしたが)
あるとき、ほぼ同年代で家族持ちの2名の華人と東海岸のトレンガヌに車で移動しながら、1泊2日の出張旅行をしていました。
トレンガヌに車で移動するのは、ひと苦労です。延々とドライブが続きます。
要所要所で車を止め、休憩をしたり食事をしたりしながら移動しました。
あるとき、筆者の華人仲間が、いつもより景気がいいので、食事代を割り勘にしないで全部払うと言い出しました。
私から、「全部払ってもらうのは良くないので払わせくれ」
というと、友人たちが答えてこう言ったのです。
「いやいや、いいんだよ、これで、ここはマレーシアだから。」
「外国人の仲間がマレーシアに居る時はマレーシア人が払うのが礼儀なんだから、これがマレーシアのマナーなんだ。」
一瞬、間があいて、彼らが言うには
「そのかわり、僕らが日本に出張したときは、よろしくな・・・」
というので、また一瞬、水を打ったように静寂があって、全員で爆笑となりました。
最近は日本もデフレで物価が安いが、2000年代前半は、まだまだ日本より馬国の物価が安い時期です。
筆者の仲間2人が大食漢です。彼らが日本にきてたらふく食べたら幾らになるのか考えるとおかしくなって笑ってしまいました。
「日本に行くときは、ヨロシク」はアングラ・ジョークだな。
と思うようになった次第です。