この記事は、本編【MM2H体験】の詳細記事です。「おすすめ」のまとめ記事はこちらです。
長く馬国に住んでいても、知らないままでいることは沢山あります。
たとえば、めったに見れない「ラフレシア」という巨大は花を観ようとすると、馬国の場合は1週間休んで「タマン・ネガラ国立公園まで出かけないとダメ」と思い勝ちです。筆者もそうでした。
マレーシアに滞在して、ちょっと北のイポのほうに出かけるなら、1日から2日の休暇を取ってキャメロンハイランズのトレッキングを体験すべきです。イポまで車で移動したことのある方は、途中の Tapah や、イポの近くの Simpang Pulai を通過した記憶があると思います。
キャメロンハイランズには初心者でもハイキングでラフレシアを見せてもらえるトレッキングがあります。
但し、大雨が降ったりして、当地までの道路状況が良くない場合はバスなどの転倒事故のリスクがありますから、できるだけレンタカーなどを運転していくべきです。
ラフレシアだけでなく、馬国の高地の自然をしっかり見ることもできます。
つまり、キャメロンハイランズは単なるお茶畑の場所ではないです。
アクセス、気候、散策情報
キャメロンハイランズは、パハン州11地区の1つ(3xタウンシップ、5 xセツルメント)で、面積は712 km2 、海抜800 mから1,603 m。マレー半島の背骨の一部を成す高地。熱帯地域には珍しい数百種の花が自生しているだけでなく、生態系も大きく異なっています。
1990年代まで、キャメロン高原への唯一のアクセス道路は、ペラ州 TapahらのFederal Route 59でした。2004年、ペラ州イポの南約1キロにあるSimpan PulaiからのFederal Route 185が開通しました。
2010年までには、3番目のアクセスルートであるFederal Route 102が開通しました。このルートが開通したことで、パハン州の他の地域(特にクアンタン)からのドライバーは、州を離れることなくキャメロン高原地区にアクセスできるようになりました。
キャメロンハイランズの気候は、熱帯雨林気候と亜熱帯高地気候の中間にあり、年間の平均気温は摂氏18度。
日中の気温は滅多に摂氏25度を超えることはありません。夜間には、高地では摂氏9度まで下がることもあります。最低気温の記録は1978年2月に摂氏7.8度。
年間の降水量は2,700ミリメートルを超えます。
リゾートの大半(推定71%)はまだ森林に覆われています。ジャングルの山道では森林の静寂、滝、先住民の村を散策できます。ほとんどの山道の始点はこのマップにあるTanah Rataに在ります。
トレッキングで選ぶべきルートは10以上あり、初心者から上級者まで楽しめます。距離により最大5時間かかるルートもあります。
この記事の末尾に追加情報が有ります。
多くの散策コースに加えて、オラン・アスリ(先住民)の居住区も、よく知られています。先住民の多くは近くの町に住むために高地を降りましたが、まだ森を自分たちの家と考える人々も残っているのです。
史実:高原をリゾートにしたのは英国
キャメロンハイランズは、イギリスの探検家・地質学者であるウィリアム・キャメロン(William Cameron)にちなんで名付けられました。彼は1885年に英植民地政府によってパハン-ペラックの国境地域を地図にするために現地に派遣された責任者でした。
日本語版のWikipediaでは、キャメロンにより、「1885年に開発された」と記載されていますが、これは誤りです。実際の開発がなされたのは、アクセス道路が建設された1930年代です。
40年後の1925年、キャメロンが報告した高原を「リゾート」として評価するため、ジョージ・マクスウェル(Sir George Maxwell, 1871–1959)が約9日間の調査を実施。同氏はこの地形を(高原リゾートとして知名度の高い)スリランカのヌワラ・エリヤ(Nuwara Eliya)やフィリピンのバギオ(Baguio)と比較した上で、「リゾート開発に適している」と報告しています。
同年、植民地政府により「農業実験ステーション(Agricultural Experiment Station)」が設立され、(マラリヤの特効薬の)キナの木(cinchona)、茶、コーヒー、果物、野菜の栽培の検証を始めています。
同じ年に派遣された測量士の情報による年次報告書(1925年版)でリゾート開発が評価されたこと。そして、茶葉の栽培が確認されたことから、英国はこの場所の開発に着手したのです。
1926年、開発委員会が設立され、草地の農業、防衛、行政、住宅、そしてレクリエーションを区画化することになりました。後に、イポーの東南東に位置する町、タパ(Tapah)から高地まで3百万ドルの道路建設が開始され、1930年11月に完成しました。
道路建設は困難であり、マラリアに感染するリスクとも戦わなければなりませんでした。建設段階での作業員の数は500から3,000人まで変動。契約期間中、375人の従業員が熱病で入院しています。
請負業者が直面した最大の問題は、低地から高地への重機の輸送でした。この問題は、蒸気機関車が解決しました。
1931年に道路が開通すると、イギリス人と地元の人々が山の斜面に移り住み、茶園主や野菜栽培者が続き、彼らの作物から、当地の気候が農業に適していることが証明されています。
1935年頃までに、6ホールのゴルフコース、数軒のコテージ、3つの宿屋、警察所、2つの寄宿学校、軍のキャンプ、乳業、牧場、苗床、野菜園、茶園、政府のレストハウス、農業実験ステーションが建設・設置されています。
マレー半島の日本軍占領(1942年–1945年)や、共産ゲリラによるマラヤ緊急事態(1948年–1960年)においては開発は停滞しましたが、紛争が終結すると、キャメロンハイランズの景観は改善し続け、マレーシアの山岳リゾートの中で最も大きく、最もよく知られる存在に成長したのです。
地理と環境
この地域は1958年に鹿の保護区、1962年に鳥獣保護区となりました。湿度が高く、乾季はありません。雨の多い月は10月-11月、乾期は1月-2月。
キャメロンハイランズは、多くの動植物の生息地として数少ない場所の1つです。ここで育つ植物は700種類以上。山を登るにつれて植生が変わります。また、茶の栽培、野菜の栽培農場、花の苗床で知られています。
域内および周囲の自然生態系は森林。動物の中では、Sumatran serow、mountain peacock-pheasant、Malayan whistling-thrushは2004年の国際自然保護連合(IUCN)レッドリスト(絶滅危惧種)。
リゾートには8つの山があります。
- Gunung (= Mt.) Batu Brinchang (2,031 m)
- Gunung Berembun (1,840 m)
- Gunung Irau (2,091 m)
- Gunung Jasar (1,696 m)
- Gunung Mentigi (1,563 m)
- Gunung Perdah (1,576 m)
- Gunung Siku (1,916 m)
- Gunung Swettenham (1,961 m)
このうちMount Swettenhamはケランタン州との境界に位置しています。Mount Batu Brinchangの頂上には1950年代初頭にイギリスによって建設されたラジオとテレビの送信局があります。この近隣には苔の多い森があります。森林への山道は、Sungei Palas Boh Tea Plantationがスタート地点で、「雲霧林(cloud forest)」に到達するまで約15分。
3つの河川が流れ、合計123本の支流があるため、パハン川とペラク川の水源地として機能しています。
英国の植民地時代には、この地域は「スリランカの中部ヌワラエリヤ地区に似た健康な山岳リゾート」として開発されましが、独立後の期間(1957年–1973年)は、状況が異なってきています。
農業やインフラのために多くの土地開発が進み、1974年以降は、農業・住宅プロジェクト・発電所・木材伐採活動・家畜飼育・ホテル建設・小規模産業・居住調整・道路建設が進んでいます。経済的な利益をもたらす一方で、環境と気象にかかるストレスもあり、先住民コミュニティの同意が得られていないことが問題となっています。
トレッキングコースの種類
キャメロンハイランズには、さまざまなトレッキングツアーが用意されています。ツアーに参加すれば、経験豊富なガイドの案内により、安全にトレッキングを楽しむことができます。
トレッキングコースは、大きく分けて以下の3種類に分けられます。
ラフレシア観察トレッキング (Rafflesia Viewing Trails)
ラフレシアは、世界最大の花として知られ、開花すると直径1メートルにもなります。ラフレシア観察トレッキングでは、オランアスリのガイドと一緒に、ラフレシアの咲く場所を探しにいきます。
山岳トレッキング (Mountain Hiking Trails)
標高2,000メートルを超える山々がいくつかあります。山岳トレッキングでは、雄大な自然を満喫しながら、山頂を目指すことができます。
自然観察トレッキング (Nature Trails)
キャメロンハイランズには、さまざまな動植物が生息しています。自然観察トレッキングでは、野生動物や植物を観察しながら、森の中を散策することができます。
トレッキングの服装と装備 (Clothing and Gear)
服装:動きやすい服装と靴、帽子、サングラス
装備:水筒、行動食、虫よけスプレー
トレッキングの注意点 (Safety Tips)
以下の注意点に注意しましょう。
- 水分補給をこまめに
- 天候の変化に注意する
- 野生動物に注意する
- 虫よけ対策をする
最後まで参照いただき、ありがとうございます。
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