この記事は本編「がちで起業」の詳細(ぶら下がり記事)です。
筆者が起業家として馬国で活動したのは1999年の後半から2004年の春ごろまでの約4年半(その他の期間は社員経験)です。そして2006年頃に完全に廃業するまで約7年に亘り、馬国IRB(Inland Revenue Board)、つまり馬国の国税局、に税務申告してきました。
7年の自営業運営を終えて今更ながら反省することは準備金の不足です。つまり、資本金の不足です。
2023年度の法規
一方、馬国での会社設立にかかわる法規は過去20年の間に大きく変化しました。
他のブログやサービスサイトに詳しい記述がありますので、ここでは2023年7月現在の基本情報をサラッと確認します。
■ 外国資本100%でも開業できる
■ 上記により馬国資本を求める規制が殆ど撤廃された
■ 外資による飲食・小売・貿易・サービス業はライセンス制
■ ライセンスの取得には最低100万RMの払い込み資本金が必要
■ 外資の場合、日本人の就労ビザ申請は50万RM以上の払い込み資本金が必要
尚、馬国人の資本比率が高い会社については資本金の縛りは緩和されるが、大幅に緩和されるものではないようです。コンサル系の企業が詳細を公開していますので、下にリンクを貼っておきます。(広告ではないです)
https://jm-experts.net/?page_id=39
https://www.yappango.com/keywordpage/malaysia_company.html
現在の馬国での起業(外資)は、20年前と比べると、数千万円を用意する条件が前提となっているようです。
筆者が開業した時代の法的要件
■ 外資100%は不可
■ 馬国人の登記は名義貸しでも可能
■ 個人事業ならライセンスについての厳しい規定無し
■ 日本人の就労ビザは交渉次第(資本金の縛り無し)
起業するための準備金
資本金という概念を一旦忘れて、とにかく起業のために準備すべき金額は幾らでしょうか? 筆者の自論は以下の通り
■ 年間の人件費+経費の総計(年間総コスト)の2倍
■ 2年間売り上げゼロでも暮らしていける生活資金
2番目の条件は最初の条件の一部であるか、あるいは最初の条件とは別に準備する金額(起業する会社から自分が報酬を取るかどうかの違い)
一方、登記簿や税務申告に記載する会社の資本金をいくらにすべきかは、Company Secretary なり税理士なりに相談して決めれば良いことです。
Company Secretary は毎年の馬国への税務申告 (Tax Filing) をしますので、彼らが業績と申告を纏める上で問題無いように資本金を設定するのです。
個人事業者の毎日に話を戻します。
日々の仕事で個人事業の資本金を聞かれたり、資本金を記載した書類を提示したりするような要件は一切無いです。ライセンス制の業種や日本人の就労ビザが必要な場合に資本金の金額が重要視されるというだけです。
会社を乗っ取られないための注意
馬国にあなたの「知り合い」が居るとします。その人(団体)があなたの起業の手続き(会社登記、ライセンス、就労ビザの段取り)を全部面倒見ると言ってきた場合、そういう申し出は全てお断りすべきです。
日系企業が現地でコンサルとしてそれなりの報酬を前提にサポートしてくれる場合はOKですが、「馬国人の知り合いが開業に詳しいので任せる」という考え方は大変危険です。
そういう話の本質、あるいは顛末、はおおよそ次のとおり
■ 始めからからあなたの会社を乗っ取る計画がある
■ 会社が順調に動き始めた時点で、支援者がその会社を欲しくなる
■ 会社が利益を出した時点で法外な利益配分を要求してくる
■ あらゆる打ち手でであなたの会社から利益を吸い上げる
マレー語だけで記載された公文書にも絶対サインすべきではないです。(英訳分が添付されていてもその訳文が正しいとは限りません)
性悪説ではないです。特に馬国が危険だという話でも無いです。馬国人も人間です。人間というのは欲に目がくらむと何をするかわかりません。日本で起きている詐欺・横領の類と同じです。
ではどうすれば良いのか?
2023年時点での筆者の意見です。
基本的には外資100%で起業する。
最低限のアシスタントとして専門学校卒の誠実なアカウンタント(会計係)を雇う。
絶対に馬国人の有識者(事業に詳しい人物)を雇わない。(コンサルとして契約するのは別の話)
現在の資本金の縛りを考えると、業種によっては、資本金の下限が撤廃された日本で開業して、馬国では支店を開設するほうが経済的かもしれません。
思い切って信頼できる日本の投資家から「借りる」というオプションもあります。筆者の場合、借金で始める起業方法は未経験ですので紹介できませんが、全ての事業は利益と資金回収ができるということを前提に(あるいは確認して)始めるのですから、借金をして起業しても必ず返済が可能だという理屈が成り立ちます。