この投稿は、本編【がちで起業】の関連記事(ぶら下がり記事)です。
馬国でビジネスを営むなら、バック・チェックの使い方を知らないとどうにもならない。
しかし、一度慣れてしまえば、こんなに便利な取引手段は無いと実感します。
日本では、「約束手形」という支払い方法がありますが、
バンク・チェック(これも手形ではありますが)は、日本の約束手形よりもっと現金に近い書類で、しかも「裏書き」をしないので、安全性が高いと言えます。日本語では「小切手」ですね。
日本国内でも十分運用できるバンク・チェック
そこで、今回はバンク・チェックについて投稿します。
バンク・チェックとは・・・
バンクチェックは横長の紙製のシートです。支払いの際に一枚づつ手渡しや郵送などで決済します。
もちろん上の絵のようにブランクでは全く使えません。次の通り記載します。
- PAY: 支払う相手( Payee )の名前や会社名
- THE SUM OF : 金額を英文でフルスペルします(最後に ONLY)
- 右手のボックス内に数字をしっかり書きます(上の金額と一致)
- 右下のスペースに署名します(銀行に登録してある署名)
- DATE: 支払う日付を明記します(ブランクにしない)
上のイメージはコモンウェルス銀行のロゴを模倣したサンプルですが、どのバンク・チェックも発行元は利用者の口座がある銀行だけです。
チェックの下の端に数字が並んでますが、これらは、口座の所有者の口座番号が、支店などの属性とともにプリントされています。
この数字の羅列のなかに、このチェックのシリアル番号(このチェックが唯一無二であるための重要な連番)が打ち込まれています。
以上が全部整ったバンク・チェックを支払い相手に渡すと、
- 受け取った人は、自分の口座がある最寄りの銀行に出向く
- 口座への振り込み用紙に口座番号などを記入
- 窓口でバンクチェックを差し出す
というプロセスを経て、相手の口座に記載した金額が振り込まれます。
さて、個人の銀行口座には主にセービング・アカウントとチェッキング・アカウントの2種類があります。
セービング・アカウントは言ってみれば小口現金口座で、現金の取引はATMや店頭での伝票記入で成立します。バンクチェックは使えません。
チェッキング・アカウントは一定の条件を満たさないと開設できませんが、開設すれば、バンクチェック数十枚がセットになったブランクシートの束を受け取れます。これを手元に置いて置いて、支払い時にバンクチェックを作れば良いのです。
バンク・チェックのメリットとデメリット
メリットとデメリットをまとめました。
メリット4選
🔳 指定した相手以外は絶対に現金化できません
🔳 破れたり、紛失したり、落としたりしても現金は無くなりません
🔳 盗まれるリスクはほとんどありません
🔳 指定した日付までは支払いが発生しません
あなたが任意の支払い相手にバンクチェックを記入して手に持って町なかを移動していたとします。
もし、バンク・チェックを道端に落とした瞬間に強風が吹いてチェックが飛んでいってしまったら・・・
全く問題ありません。そのチェックは忘れて、新しいバンク・チェックを作るだけです。
何故でしょうか?
宛先を指定したバンク・チェックは、その宛先の人なり会社なりでないと振り込み処理できません。
ですから、悪意の第三者が他人宛のバンク・チェックを道端で拾ってもそれを自分の口座に振り込むことはできないのです。
ということは、人が持っているバンク・チェックを盗んだり、奪ったりしても現金化は無理です。
「同姓同名」の場合はどうでしょうか?例えば、あなたが「トウキョウ・ナゴヤ」さんという人や会社に宛てたバンクチェックを盗んだ人間の名前や会社が、偶然「東京名古屋」だったとしたら、この金額を銀行に持ち込めば振り込み可能です。
ところが、チェックを盗まれたあなたは、そのチェックが盗まれた事実に気づくので、振り込みが起きた段階で、銀行に異常を通報することになります。すると、正しい相手でない「東京名古屋」(人名なり会社名なり)は瞬時に特定されてしまいます。
日付の記入も利用価値のひとつです。
例えば、あなたが1000リンギットのバンク・チェックに署名して、チェックの日付を2ヶ月後にしたとします。
すると、チェックを受け取った人は、指定された期日まで、そのチェックを口座に落とし込むことができないのです。
ですから、支払いする原資が口座に無いままチェックを渡すような場合は、日付が重要な記入要件になってきます。
ブランクのまま渡してしまった場合は、当日振り込みされてしまいますから、原資がなければ「不渡り」になります。
デメリット4選
🔳 金額等の書き込みが面倒
🔳 署名が正しくないと支払いが成立しない
🔳 日付を間違えると支払いが成立しない
🔳 「不渡り」のリスクがある
金額のフルスペルを打つのは面倒です。署名も、ある程度シンプルな署名を登録しておかないと、長い間チェックを作らずにいるうちに自分
の署名の詳細を忘れてしまって、登録した署名と一致しなくなるリスクがあります。
筆者も、個人のチェック・アカウントの署名を複雑にしすぎたことがあり、何度か銀行から「あなたの署名と違うのだが、大丈夫か?」と言った電話が来て驚いたことがあります。(ただし、多少署名の詳細が違っていても、「間違いない」と回答すればOKです)
一番危険なのは、自分の口座に残っている預金額以上の金額のバンクチェックを渡してしまうことです。つまり「不渡り」です。
馬国では不渡りを出すことを「バウンスィング」(「小切手が跳ねた」と言います。
不渡を出すと、銀行から電話がかかってきて「あなたのチェックが不渡です」と通告を受けます(Your cheque has bounced )
最初の失敗は、概ね許されますが、2度3度繰り返して不渡を出せば、口座は閉鎖されてしまいます。
電話かかかってきたら、すぐに現金を持って銀行で不足分を支払えば、すんなり解決します。放っておけばどうなるかご想像の通りです。
キャッシュ・チェック
バンクチェックのPAYEEに「CASH」の4文字を書いて署名すれば、そのバンク・チェックは誰でも銀行で現金化できます。これをキャッシュ・チェックと呼びます。
自分の口座から現金を引き落とすのは、通常はATMカードで機械から現金を引きますが、
数万RMの大金を下ろすようば場合は銀行に出向いて、必要な金額のを指定したキャッシュ・チェックを窓口で差し出すのです。
キャッシュ・チェックは現金と同じですから、落としたり、紛失したり、盗まれたりしないようにしましょう。
別の意味で言えば、キャッシュ・チェックというのは自分が一定以上のキャッシュを手にしなければならない事例を除けば、原則的には作成してサインしないようのすべきです。
署名したブランク・チェックは危険
日本でも入手できるトラベラーズチェックは、利用する前に自分の署名をするのが一般的。
でも、馬国のバンク・チェックは、支払い要件が出るまでは絶対に署名はしません。
署名すみのブランクのチェック・ブックを持つことは、大金を持ち歩くのと同じで、非常に危険です。
著名が入ったチェックを含むチェックブックを落としてしまうと、キャッシュ・チェックを捏造されて一時的に大金を失うことになりかねません。
全てのチェックには連番がプリントしてあるので、悪意の第三者が現金化した場合は、お縄になります。
もちろん、立件できて、現金が戻るまで、かなりの時間がかかることになると思います。